BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール - All photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase)All photo by Tsukasa Miyoshi (Showcase)

●セットリスト
01.IN THE NAME OF
02.Distortion
03.ギミチョコ!!
04.新曲
05.GJ!
06.紅月 -アカツキ-
07.Starlight(新曲)
08.メギツネ
09.KARATE
10.Road of Resistance
11.THE ONE -Piano ver.-



「神バンド」の面々がオープニングナンバー“In the name of”を轟かせるステージの一段高くなったその壇上には、黒装束に身を包み杖を手にした7つの人影。そして、三角形にせり出した舞台前面スペースへ歩み出た7人ごとステージセットが高々と浮き上がり、驚きと歓喜の大歓声が巻き起こったところで、7人が舞台左右に展開。その中央にはSU-METAL、そしてすぐ後方にはMOAMETALの姿が――。

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

今年春からツアーおよび「Download Festival 2018」など海外フェス歴戦のためアメリカ→ヨーロッパを巡ってきたBABYMETALにとっての日本凱旋ツアーとして、幕張メッセイベントホール&神戸ワールド記念ホールにおいて各2Daysの日程で開催された、「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN」。
同時に今回のツアーは、10月19日に発表されたYUIMETALの脱退後初となる国内ツアーでもある。いつもならBGMとともにBABYMETALファンの熱気と祝祭感が刻一刻と高まっていくはずの開演前の場内が、静かな緊迫感に満ちていたのも印象的だった。
しかし、この日のステージで提示されていたのは、すでに世界共通のアイコンとして共有されているBABYMETALのイメージすらも更新するかのような、磨き抜かれたメタルポップアートそのものだった。

この日のゲストアーティストとして登場したのは、今回のツアー中に開催されたフェス形式のイベント「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN EXTRA SHOW “DARK NIGHT CARNIVAL”」(10月28日・さいたまスーパーアリーナ)にも出演したギャラクティック・エンパイア。
ダース・ベイダーやストームトルーパーなど『スター・ウォーズ』のキャラクターに扮したその出で立ちの通り、“Main Theme”、“The Imperial March”など同映画でお馴染みのサウンドトラック名曲群を、秀逸なメタルインストアレンジで次々に披露。デス・スター風のバルーンがスタンディングアリーナの頭上に跳ね回ったり、舞台に呼び込まれた兵士風のスタッフをダース・ベイダーがフォースで撃沈(?)させたり、『スター・ウォーズ』の世界観を徹底して貫いたメタルエンターテインメントを繰り広げてみせた。

そして――ついにBABYMETALのアクトがスタート。「METAL RESISTANCE EPISODE VII -APOCRYPHA- THE CHOSEN SEVEN」の文字が舞台後方の巨大ビジョンに映し出され、英語のナレーションとともに《光と闇の織り成すMETAL GALAXY》といった「EPISODE VII」のコンセプチュアルな世界観が綴られていく。
ワールドツアーではSU-METAL・MOAMETALに加え、各会場でダンサー2名を加えた4人編成でステージに立ってきたBABYMETAL。その「EPISODE VII」集大成となる今回のジャパンツアーでは、SU-METAL&MOAMETALとダンサー5名の7人で登場。神話の世界から抜け出してきたような、ゴールドをあしらった黒の衣装の厳粛なイメージと相俟って、壮大なる儀式の如きスケール感が会場を支配していく。

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール
BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

冒頭に記した“IN THE NAME OF”のオープニングに続いて、新編成の真価が早速発揮されたのは“Distortion”だった。BABYMETALの大きな魅力でもあるアグレッシブなダンスアクトは、7人フォーマットで格段にダイナミックな躍動感をもって体現され、「幕張! Show me a bigger circle pit!」と煽り立てるSU-METALのコールに、アリーナの各ブロックに巨大なサークルが生まれていく。
何より、SU-METALの歌声の凛とした強さが、そのステージングにこれまで以上にポップな訴求力を与えていたし、アリーナ会場の規模感を超えてその鮮やかな歌声はダイレクトに胸に飛び込んできた。
これまでYUIMETAL&MOAMETALのコンビで披露してきた楽曲も、今回のセットリストでは“GJ!”のみ、SU-METALソロ曲“紅月 -アカツキ-”も含めシンガーとしてのSU-METALの比重が高まる形になったが、そんなシチュエーションの中でも、SU-METALのボーカリゼーションは観る者すべての不安要素をリセットするには十分すぎるほどの輝度と強度を備えていた。場内一面に湧き上がる雄叫びのような大歓声が、観客の高揚感をリアルに物語っている。

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

そのまま“ギミチョコ!!”で会場の温度を天井知らずに高めた後、デジタルハードコア調のポップな新曲ではSU-METAL&MOAMETALとダンサー3人、続く“GJ!”ではMOAMETALとダンサー2人……といった具合にフォーメーションを変えながら、1曲ごとにメリハリを効かせたパフォーマンスを展開していく。
ステージ狭しと火の玉が噴き上がる中、ひときわ伸びやかなSU-METALの歌が響いた“紅月 -アカツキ-”が、アリーナを文字通り狂騒の渦へと導いていく。

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

そして、YUIMETALの脱退アナウンスと時を同じくして発表された新曲“Starlight”。舞台中央に立つSU-METALをMOAMETALとダンサーが囲み、レーザー光線の波と♪ラララランランランランラン のイントロのコーラスが、透徹した音の地平を切り開いていく。切迫感とヘヴィネスの果てに光を描き出すような“Starlight”の世界が、アリーナの大空間狭しと広がり、すでにレッドゾーン状態のオーディエンスのエモーションをなおも歓喜の果てへと誘ってみせる。

SU-METALの「Hey, 幕張! Are you ready?」のコールを受けてMOAMETAL&ダンサーの6人が一面のクラップを煽った“メギツネ”から、ライブは終盤戦へ。
アウトロ部分の《走れ》の絶唱に抗い難く胸震えた“KARATE”。7人でフラッグを掲げたイントロから、火の玉の熱量とせめぎ合うかのように圧巻のメロディックスピードメタル絵巻を表現してみせた“Road of Resistance”。会場一面に突き上がった拳もフォックスサインも、「Sing it!」のSU-METALのコールに応えて沸き起こった渾身のシンガロングも含め、そのすべてがBABYMETALというアクトの唯一無二の存在感を物語る至上の名場面だった。

BABYMETAL/幕張メッセイベントホール

最後はピアノバージョンの“THE ONE”で大団円。場内に巻き起こる大合唱の中、7人を乗せたステージが再び高々と持ち上がり、最高の一夜の終わりを厳かに彩っていた。
「我々はまた新たな旅に出るのだ」……7人と「神バンド」が舞台を去った後、ビジョンにはそんな言葉が黙示録のように映し出されていた。当初は「ポップとメタルの邂逅」から始まったBABYMETALの旅路は、いよいよポップやメタルの枠組みを超えた謎と神秘の域に達しつつある――ということを、この日のアクトはまっすぐに伝えていた。(高橋智樹)

終演後ブログ
【速報】BABYMETAL、新編成の日本凱旋ツアーは僕らの「BABYMETAL観」も刷新する
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