レキシ/横浜アリーナ

レキシ/横浜アリーナ - All photo by 田中聖太郎All photo by 田中聖太郎

●セットリスト
1.SEGODON
2.なごん
3.年貢 for you
4.Let’s忍者
5.ペリーダンシング
6.KMTR645
7.墾田永年私財法
8.SHIKIBU
9.GET A NOTE
10.SAKOKU
11.奈良に大きな仏像
12.KATOKU
13.きらきら武士
(アンコール)
EN1.GOEMON
EN2.狩りから稲作へ
(ダブルアンコール)
WEN1.マイ会津


横浜アリーナの2デイズ。その2日目、1月23日のライブに足を運んだ。いつもテーマを設けて、その設定に沿って構成していくレキシのライブ。今回のツアーは「まんま日本ムキシばなし」と題して、オープニングの映像から、『まんが日本昔ばなし』へのオマージュを盛り込んでの構成だった。途中何度か出てくる映像には、稲の神様役としてロバート秋山竜次が登場。レキシ(池田貴史)扮する農民、吾作が米の不作を神様に相談するという体で、なんとも可笑しい間のやりとりを展開。「ライブで神様を楽しませたら豊作になるはず」ということで、本編に突入。期待通りの笑い満載のオープニングに気分が高まる。

レキシ/横浜アリーナ

この日、池ちゃんは「こんなの横アリでやることじゃないよ」と何度も言って、その規模の大きさと、投下するネタの(もちろんよい意味での)くだらなさのギャップを心底楽しんでいるようだった。「ムキシ話、始まるよ~」とラフな登場から繰り出された1曲目は“SEGODON”。開演前から「本気で楽しもう」という気持ちが溢れている客席は、アリーナの最後方までが全力のコール&レスポンスで応えていく。壮観な景色。そしてもちろん、曲間に様々な小ネタをぶっこんでくるのがレキシのライブの醍醐味。いきなり健介さん格さん(G・奥田健介/NONA REEVES)がヴァン・ヘイレンの“JUMP”のフレーズをはさむと、客席が大きく跳ねる。このレスポンスの良さ。レキシのライブはステージと客席とで作り上げている──その全員参加型のパフォーマンスがとにかく楽しいのだ。また今日みたいな大きな会場には、“JUMP”のようなスタジアムロックのフレーズがよく似合う。「バカか(笑)。こんなもんで簡単に盛り上がるなよ」といつものように悪態をつきながらも、池ちゃんはとても楽しそうだ。

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そして“Let’s忍者”で聴かせるとびきり甘いソウルバラード。サビのシンガロングは池ちゃんに促されるまま、いつしか客席の声だけが大きく響きわたって、普通ならその様子を見て演者が胸を熱くするところだが、レキシのライブはそんな湿っぽさを全力で回避してくる。さんざん歌わせておいて、その様子に「ちょっと怖い」とか言う。このキャパシティでも変わらぬ客いじり、はっきり言って最高に痛快(笑)。さらに「横浜! 開国してほしい~!」と叫んで“ペリーダンシング”に突入すると、5つのミラーボールが同時にまわりだし、横アリはさながら巨大なフロアの様相で、極上のディスコグルーヴに気持ち良く体が揺れる。伊藤に行くならヒロブミ(Dr・伊藤大地)のドラムが生みだすリズムがとても気持ちいい。そしてブリブリのベース音の心地好さ。その良きタイミングで「こいつは初めての参加だよ」と、ベースのパーマネント奉行(B・真船勝博/FLOWER FLOWER)を紹介。その流れで差し込まれたネタは、なんとも懐かしい「武富士」のダンスCMネタ。こうしてレキシの演奏で歌われると、なぜだか妙にかっこいい曲に聴こえるから凄い。もちろん池ちゃんのCMオマージュ溢れるダンスの決めもバッチリ(?)で、何度もそのパートを繰り返す。あげく「腰痛い」。

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イルカ(の浮き輪)がステージ上に落ちてくると、会場は早くも次の曲を察知して大歓声。客席が盛り上がれば盛り上がるほど、この日の池ちゃんは意地悪なことを言う。「もうイルカポンポンやめようか」。もちろん客席は「えーーーーー!」とブーイング。その声にさらに「だから何しに来たんや!」とツッコミ。この巨大空間で、これほど距離感なしのやりとりが成立するのはさすが。で、たぶん20体以上のイルカがアリーナの客席上を、(観客の力加減で)ポンポンと飛び跳ねて、“KMTR645”はもちろん大盛り上がり。その余韻も冷めやらぬ中、「『レキミ』の中から1曲やらせてください」とピアノが切なく響く“墾田永年私財法”へ……行く予定が、元気出せ!遣唐使(Piano・Cho/渡和久/風味堂)が奏で始めたのは誰もが知るあの名曲バラードで、池ちゃんもそのピアノに合わせ《I love you 今だけはレキシの歌 聞きたくないよ》とのっかっていく。元気出せ!遣唐使と池ちゃんの絡みはいつ見てもほのぼのとした笑いを誘うのだ。

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ステージは終盤へ。インタールード的に「鶴の恩返し」の映像が流れた後、まるで美空ひばりのようなゴージャスな羽根をあしらった衣装の池ちゃんがバックライトを浴びて登場。昭和歌謡へのリスペクトとオマージュがたっぷりのクール&ジャジーな濃密な演奏を堪能。改めて、このバンドの演奏スキルとセンスに裏打ちされたサウンドにノックアウトされた。TAKE 島流し(Sax・Flute/武嶋聡)と元妹子(Trumpet/村上基/在日ファンク)がまわすソロにもぐっと引き込まれる。レキシのライブの楽しさは、この演奏力の高さ、バンドアンサンブルの心地好さがあってこそ。横浜アリーナでさらにそのスケール感の大きさを感じ取った。

本編最後は“きらきら武士”。アリーナ仕様の、妙にリバーブの効いた歌声に大歓声で応える観客。その声の大きさたるや。みんなの「レキシ大好き」な気持ちが思い切りステージに届いたのだと思う。そのとき「俺の力じゃねえよ。あんたらの力だよ」と、つぶやくようにさらっと言った池ちゃんの声、聞き逃さなかったですよね? ああもう、ほんとに感動してしまう。跳ねるようなアップテンポのリズムに会場中の腕がぶんぶんと左右に揺れて、クライマックスではテープキャノンも弾けて、コール&レスポンスは宴の終わりの名残惜しさもあって、どんどん声が大きくなっていく。でも、もちろんライブはまだ終わらない。「大丈夫です。長いアンコールがありますから」。

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アンコール1曲目は“GOEMON”。歌い出そうとした池ちゃんが、突然「あれ? やっぱりオレ、1人じゃ月明かりを盗みにいけないなあ」と小芝居を入れたかと思うと、「ご紹介しましょう!」と、舞台後方のせりあがりから姿を現したのはなんとビッグ門左衛門、こと三浦大知! 2人のユニゾン、三浦の、そして池ちゃんのダンスのかっこいいこと。「ここからは別料金かかります」と茶化す池ちゃんもとても嬉しそう。その後も“狩りから稲作へ”で2人呼吸ぴったりの動きで魅せてくれるし、ビッグ門左衛門による「セイホー!」の煽りで稲穂を振る贅沢さ。さらに「高床式!」「劇団四季!」の恒例のコール&レスポンスの流れからの、「キャッツ!」には、ビッグ門左衛門も「嬉しいです」と笑顔しきり。これだけではなかった。池ちゃんのたっての願いで、なんと! 三浦大知は“EXCITE”までも披露したのである。もうスペシャルすぎるでしょう。

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1度目のアンコールが終わり、再びスクリーンでは、秋山扮する神様と、レキシ扮する吾作のやりとりが。「ライブっていいね」、「お客さんていいね」、「今日のお客さんいいね」、「関係性いいね」、「距離感いいね」なんて、笑わせながらぐっとくる言葉をつないでいき、『日本昔ばなし』の名エンディング曲“にんげんっていいな”の演奏音源が流れ始める。《いいな いいな》の歌詞が「稲(いな)」に変わり、やがて「I.N.A.」のローマ字表記に変わると、音楽はいつしかDA PUMPの“U.S.A.”のビートに変わっている。そして、メンバー全員が、DA PUMP風ファッションでダンスを披露。「アメリキャッツ!」と、ここでもしっかり「キャッツ」を入れ込むなど、つくづくレキシのライブに隙なしと思わされた。ラストは“マイ会津”でしっかり今日の感謝の気持ちを会場に伝え、観客は最高に感動的なシンガロングで応えると、この日のステージは幕を閉じた。

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この日、アリーナクラスの会場でもレキシのエンターテイメントは一番後ろまでしっかり届くものであることが証明されたし、大きな会場ならではのサウンドと歌の気持ちよさも存分に堪能できた。これ、たぶんものすごいことだと思うんだけど、大上段に構えることなく、いつものとおりレキシらしさ全開で距離を感じさせないのが本当に見事。いつものお約束芸を楽しむ常連ファンだけでなく、初めてレキシのライブに触れる人も置き去りにされることなく楽しめる。その「初見の人でもわかりやすい内輪ウケ」って、とっても高度なワザだと思うのだけれど、それをさらっとやってのけるレキシは本当にかっこいい。そして見終わった直後にすぐ次回が楽しみになるという、なんとも幸せなライブなのであった。(杉浦美恵)

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