Mr.Children/東京ドーム

Mr.Children/東京ドーム - All photo by 渡部伸All photo by 渡部伸


●セットリスト
1.Your Song
2.Starting Over
3.himawari
4.everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-
5.HANABI
6.Sign
7.名もなき詩
8.CANDY
9.旅立ちの唄
10.ロードムービー
11.addiction
12.Dance Dance Dance
13.Monster
14.SUNRISE
15.Tomorrow never knows
16.Prelude
17.innocent world
18.海にて、心は裸になりたがる

(アンコール)
EN01.SINGLES
EN02.Worlds end
EN03.皮膚呼吸



Mr.Children/東京ドーム

「いつも、このステージの上に立って思ってること――音楽っていう乗り物に、ここにいるみんなを乗せて、悲しみや寂しさや退屈から、できるだけ遠い、遠い、遠い場所へ連れて行きたいと、そう願ってます!」

最新アルバム『重力と呼吸』を携え、アリーナツアー「Mr.Children Tour 2018-19 重力と呼吸」に続いて開催されたドームツアー「Mr.Children Dome Tour 2019 “Against All GRAVITY”」、東京ドーム公演2日目・5月20日。見渡す限り客席を埋め尽くした観客に向けて桜井和寿(Vo・G)が叫び上げた冒頭の言葉はそのまま、ロックの強度と突き抜けるような開放感、誰ひとり置き去りにすることのない歌と音楽の力で、聴く者すべてを「その先」へと導こうとするMr.Childrenの真価を改めて明快に象徴するものだった。

Mr.Children/東京ドーム

田原健一(G)、中川敬輔(B)、鈴木英哉(Dr)とサポートプレイヤー=SUNNY(Key)&世武裕子(Key)が奏でるアンサンブルの中、ビジョンの映像にバックステージを進む桜井の様子がカットインされる。そして、メインステージ〜センターステージを結ぶ花道の中央に桜井の姿が現れた瞬間、5万人の観客の間に巻き起こる大歓声! その巨大なエネルギーはやがて、“Your Song”コーラスパートの圧巻のシンガロングへと姿を変えていく――。
「行くよ東京ドーム!」という桜井のコールとともに、続く“Starting Over”では舞台背後から巨大ビジョンが起き上がり、メンバー4人の姿がつぶさに映し出され、桜井の力強い歌が会場の熱気と歓喜を刻一刻と高めていく。

Mr.Children/東京ドーム

この日のステージ背後には、1面ずつ可動式のLEDビジョンが計9面設置されており、曲ごとに舞台の全体像を変えることで、視覚的にもまったく異なる効果と感激を呼び起こしていた。
先頃のアリーナツアーでも、舞台と花道の随所に意匠を凝らして、アリーナの距離感を無効化するほどの歌と演奏の「近さ」を体現してみせたMr.Children。そのマインドをドームクラスの会場でさらにアップデートした今回のステージングが、『重力と呼吸』で浮き彫りになったロックバンド・Mr.Childrenのタフなスケール感と渾然一体となって、過去最高レベルのダイナミズムと一体感を生み出していた。

Mr.Children/東京ドーム

“himawari”など『重力と呼吸』の楽曲を要所要所に配しつつも、“everybody goes-秩序のない現代にドロップキック-”、“HANABI”、“Sign”、“名もなき詩”などシーンと時代を彩ってきた名曲の数々を織り込んでいたこの日のアクト。
「Against All GRAVITY」=「すべての重力に対峙する」というタイトルに関連して、「ここで直面すべき僕らの重力は――『時間』です」と桜井。「『楽しい時間は永遠に続けばいいな』と思っても、そういうわけにはいかないんですけど。たまに奇跡的に『心の中に永遠に刻まれるんじゃないか』という一瞬があって。そんな一瞬を、今日はひとつでもふたつでも、10個でも、100個でも、みなさんと作っていけたらいいなと思います」……そんな桜井の言葉に、熱い拍手と歓声がドーム一面に広がっていく。

Mr.Children/東京ドーム

そして、「平成から令和に変わりました。変わった方がいいものと、変わらない方がいいものがあると思うんですが……我々Mr.Childrenはそのどちらなのか?という自問自答をしながら、この曲をお届けします」と披露したのは“名もなき詩”。センターステージでアコギ弾き語りで歌い始める桜井に、田原・中川・鈴木が曲中に合流。ドームの中央から放たれる歌と演奏が、会場一丸の歌声と響き合って、至上の高揚の風景を編み上げていった。

Mr.Children/東京ドーム

『I ♥ U』(2005年)のジャケットデザインの由来を語りつつ披露した“CANDY”、2000年元旦の「ミレニアム問題」の最中に歌詞ができたという“ロードムービー”……など、あたかもバンドの歴史とその裏側にあった自分たちの想いのすべてを全開放するかのように、楽曲の背景を丹念に語り、ひときわ強靭に響かせてみせたMr.Children。
“addiction”ではメインステージを駆け回る桜井&花道にせり上がったお立ち台の田原・中川・鈴木という異色のフォーメーションでミステリアス&アグレッシブな音像を立ち昇らせ、花火の特効から“Dance Dance Dance”へ流れ込んで一面のシンガロングとハンドウェーブを巻き起こしていく。

Mr.Children/東京ドーム

さらに、“Monster”のダークでミステリアスな音像の中、9面のビジョンが左右に波打つように角度を変えながら歌詞の「KNOCK」のフレーズを映し出し、花道が桜井の立ち位置をピークに階段状にフォルムを変貌させていく。
“SUNRISE”で描き出した雄大な朝焼けの光景。“Tomorrow never knows”で9面ビジョンを彩った空撮映像とともに鳴り渡った、5万人の高らかな歌声――。大会場のスケール感と楽曲の訴求力が、コンセプチュアルな枠組みを飛び越えて、驚くほどの躍動感とリアルな肉体性を帯びて、頭と心をダイレクトに震わせてくる。

Mr.Children/東京ドーム

「その笑顔、その声を聴きたくて、僕らはやってます。僕らは生きてます。幸せです!」―― “Prelude”曲中の桜井のエモーショナルな叫びが、会場の温度をなおも押し上げていく。
「すっげえ笑顔を見せて!」のコールとともにどこまでも晴れやかに響いた“innocent world”がドームを揺さぶり、「日頃背負い込んでるもの、全部この会場に捨ててって! みんなを裸にしたいと思います!」のシャウトをきっかけに突入した本編ラストの“海にて、心は裸になりたがる”のアッパーな加速感が5万人の大合唱と共鳴して、最高の祝祭空間を繰り広げていた。

アンコールでは“SINGLES”から“Worlds end”へつないでさらに客席を歌声で包み、桜井の気迫のロングトーンに大歓声が巻き起こる。

Mr.Children/東京ドーム

「もし明日、歌えなくなって、バンドを続けられなくなっても、絶対に後悔しないだろうと思います。なぜなら……結成してもう30年になろうとするバンドが、デビューして27年も経つバンドが、今だにこうやってライブをやると、大勢の人が――月曜日だというのに!――足を運んでくれて、僕らの音楽を聴きに来てくれて、歌ってくれて。こんなに幸せなことは本当にないと思います。日本一幸せなバンドだと思ってます」……バンドの「今」の感慨を、桜井はそんなふうに語っていた。
「でも同時に、今思うことは――バチが当たるかもしれないんだけど、僕らができなくなるその時までの間に、せめてあと1曲、この5万人の心をひとつにできるような曲を作りたいって思ってます。でも、1曲っていうのはきっと謙虚すぎるのかもしれない。10曲以上作って、また5万人を相手にライブをしたいと思ってます」
切実に未来への意志を語る桜井の言葉に、そして「このツアーが終わったら、すぐロンドンにレコーディングしに行きます」という宣言に、惜しみない拍手喝采が湧き起こっていった。

珠玉の名演の最後を飾ったのは、『重力と呼吸』のラストナンバー“皮膚呼吸”。《I can’t stop dreamin’》というフレーズにこの上ない魂の熱量を注ぎ込む歌声。6人で一礼した後、去り際に力の限りに突き上げた「最高の月曜日! また会いましょう! 気をつけて帰って! 愛してます!」の絶叫……。そんな桜井の佇まいまで含め、Mr.Childrenのバンドヒストリーのみならず音楽史にその瞬間のひとつひとつを深々と刻み付けたい、感動的なまでに壮大なロックアクトだった。(高橋智樹)

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