go!go!vanillas/Zepp Tokyo

go!go!vanillas/Zepp Tokyo - All Photo by ハタサトシAll Photo by ハタサトシ

※以下のテキストでは、演奏曲のタイトルを一部表記しています。ご了承の上、お読みください。

ロックンロールバンドとは、転がる石のごとくどんなときも立ち止まらず、常に前進し続けるからこそ、その身に傷が増えたとしても、どんどん輝きを増していくものである。そんなことを生き様で、そして音楽で証明する素晴らしいライブだった。

11月15日、2デイズをソールドアウトさせたZepp Tokyo公演の1日目。ご存知のとおり、この「THE WORLD TOUR 2019」10月11日Zepp Nagoya公演より長谷川プリティ敬祐(B)が完全復活を果たした。その勇姿を見届けるべく、フロアには満場のオーディエンスが。ネオロカビリー系のBGMが“We are go!”に変わると、一瞬で大歓声とハンドクラップが巻き起こる。牧達弥(Vo・G)、ジェットセイヤ(Dr)、柳沢進太郎(G)、そしてプリティが全力疾走でオンステージ。「この日を待ってたぜ! この喜びを一緒に分かち合おう!」という牧の雄叫びを皮切りにアクトがスタート! 笑顔で飛び跳ねながら弾きまくるプリティがそこにいるというだけでグッとくるけれど、メンバーの手綱を引っ張る安定したグルーヴ、さらにコーラスワークを含め、彼の存在はやはり不可欠なのだと再確認させられる。手術した右腕は指弾きもピックも問題なさそう。ツアーは大阪の振替公演を残しているため、演奏楽曲の記載は一部にとどめるが、ものすごい爆発力で前半を疾走していく。今のgo!go!vanillas、ちょっと無敵である。

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「ただいま東京! みんなの祈りが通じて、ここにプリティが立ってるよ!」と牧。「大好きなみんなに音楽を届けたいから、万全な体で全国回って、帰って来たぞただいまー!」とプリティ。そこから“パラノーマルワンダーワールド”へ。最新アルバム『THE WORLD』のオープニングを飾るこの曲。ジョン・レノン松任谷由実も多大な影響を受けたプロコル・ハルム、その“青い影”を彷彿させる美しい和音を軽快なビートに乗せ、人間の切なくも愛らしい毎日を歌ってみせる。最高のロックンロールは最高のポップスでもあるのだと宣誓するような、そんな境地にgo!go!vanillasは達したのだと断言するような、極上の演奏ぶりだった。その後も牧と柳沢が向かい合ってギターをかき鳴らしたり、セイヤが次々にスティックを上へ投げ放ったり、いつも以上にはっちゃけながら、“チェンジユアワールド”を始めとするキラーチューンを連続投下。会場全体を揺らすほどの盛り上がりを作っていく。

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「1回死にかけた俺は、本物のデッドマンになったわけなの(笑)」というプリティのMCから、“デッドマンズチェイス”へ突入。やっぱり彼らの高速2ビートが持つ爆発力はハンパない。元来ロックンロールは、4ビートによるたっぷりとした「間」で、ギターのホンキートンクな味を生かすものだ。最たる例はザ・ローリング・ストーンズあたりか。でもバニラズはあえて疾風怒濤のリズムにすることで、「踊れる」ことが求められた2010年代の荒波を乗り越えた。これって、画期的な闘い方だったと改めて思う。

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ラストスパートはまさに一気呵成、息つく暇もなかった。「プリティ、おかえり!」、「バニラズ、おかえり!」、「全員揃ってgo!go!vanillas」というコール&レスポンスを経て、“カウンターアクション”の《それでも僕らはそう生きていく》、“平成ペイン”の《あなたと行くのさ この道の行く末を》という歌詞が響き渡る。さらに「むちゃくちゃ幸せやあ!」と牧が語り始める。「3人でのツアーは、強くならなきゃって思ったけど、弱い部分もたくさん出ました。そのなかでも何も変わらなかったのは、自分たちの音楽が最高だってことと、聴いてくれてるみんなが大好きだなってことです」。そして「4人でこの曲をやりたかった。プリティが死にかけたときに、この曲が俺たちを支えてくれた」という“No.999”にて、万感の本篇を締めくくった。

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アンコールは、まずプリティがひとりで姿を現した。「こうやって演奏してるとさ、俺の生きる場所って本当にステージだと思う」。「この話はするか迷ったんやけど、みんなになら言えるなと思って。事故って頭打ったせいで、目覚めたときに『俺は高校生だ』って思い込んでて。しかもバスケ部の(笑)。でもある日、牧に『お前は高校生じゃない、バンドマンだ!』って言われて、記憶が戻ったんよ。スラムダンクみたいな世界にいたんやけど、俺高校のとき、パソコン研究会やってん(笑)」。「帰ってこれたのは、走り続けてくれた3人のおかげやと思うし、スタッフさん、みんなの気持ちのおかげやと思います」。そして再びメンバー全員が揃うと、牧がプリティに「お前が寝てるときに、みんなこの曲を歌って、『起きろ!』って言ってくれたんやぞ。今日は一緒にでっかい声で歌おう!」と誘い、“おはようカルチャー”へ。とんでもなく壮大なシンガロングが鳴り響いた。さらにもう数曲を披露したのちライブは見事終幕。去り際の4人は、この記念すべき1日はゴールなどでなく、新たなスタートなんだと噛みしめるような、そんな笑みを浮かべていた。(秋摩竜太郎)
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