Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ

Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ - All Photo by 岸田 哲平・本田裕二All Photo by 岸田 哲平・本田裕二

●セットリスト
1. Rock Me Now
2. Zero Gravity
3. Focus On Me
4. Lipstick
5. ain't on the map yet
6. It's Who We Are
7. SESSION
8. NEW ERA
9. Kiss Me
10. Sweet and Sour
11. Kiss You Back
12. Ordinary
13. Follow Me
14. Look Up
15. Almost There
16. Silent Wonderland
17. Lost Game
18. Get Ready
19. VOICE
20. Twilight
21. Super Sonic
22. Stop Us Dreaming



Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ

場内が暗転するとスタンドの上の方からカラフルに光るボールが落ちてくる。そのカラフルさとは対照的にダークなSEが流れるステージには大量のスモークが溢れる。観客一人ひとりの手につけられたリストバンドが点滅し、すべてが消えると硬質のビートとヘビーなギターリフが鳴り響く――そんなオープニングの展開から、1曲目“Rock Me Now”をJQが歌い終えるまで、およそ10分。さいたまスーパアリーナのサイズと形状をフルに生かしたハイクオリティな光と映像の演出にまま見惚れるなかで過ごした時間が、ある意味でこのライブを象徴していたのかもしれない。

Nulbarich最大規模となるワンマンライブ「A STORY」。そこで繰り広げられたのは、音楽的純度をとことん磨き上げることで極上のエンターテインメントへと進化したNulbarichの最新型ショウだった。ステージ背面のスクリーンには曲ごとにコンセプチュアルなイメージが映し出され、統一された色彩感のライトがステージとフロアを照らす。その演出が、バンドの引き締まった演奏と相まってさいたまスーパアリーナを圧倒的な世界観で包み込む。

Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ

常に逆光で照らされオーディエンスに顔を見せないままテンション高く走り抜けた4曲目までとは対照的に、5曲目“ain’t on the map yet”でようやく彼の表情がスクリーンに映し出されると、会場の空気は一変する。ステージ中央に設えられた花道を歩いて客席に近づくと大歓声。続く“It’s Who We Are”でJQはステージの端から端まで歩いて大きな身振りでオーディエンスとコミュニケーションを取っていく。

「でかいって聞いてたんですけど、でけえわ!」と言いながら、フランクに「元気っすか?」と客席に向かって尋ねるJQの出す空気はいつもどおり。だが、この序盤のタイミングでいきなり彼がステージから消え、バンドメンバーによるセッションタイムが始まるあたりにも、ひとつのメッセージを感じずにはいられない。僕たちの眼前にあるのは、この広いステージに立ってなお……というより、このスケールに至ってますます音楽的にピュアであろうとするNulbarichの姿、音楽的であることを突き詰めた結果として破格のエンターテインメントに化けた彼らの今である。

Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ

“Sweet and Sour”ではとことんハッピーで美しい世界を、“Kiss You Back”ではどでかいビートに乗せて大空をかけるようなスケール感を。曲ごとのポテンシャルが、インパクトのある照明演出とバッキバキの演奏によって次から次へと開放されていく。ミラーボールが回るなか歌い上げられた“Look Up”、いつでもバンドのその先を照らし続けるように響く“Almost There”……すべての曲に込められたものが、この広い会場でなおさらダイレクトに届く。

「みんな、ここまで連れてきてれて本当にありがとう。だがまだ終わっちゃあいない。僕たちが購入したこの片道切符はどこにつながっているのか。見てみたいでしょ。話したいこといっぱいあるんだけど、大体事故っちゃうから歌っちゃう」。JQはMCでそう語っていた。その言葉どおり、彼の歌はいつにも増して雄弁だった。Nulbarichの新たな「基準」のような存在感をもつ“VOICE”、軽やかに鳴らされたダンスナンバー“Twilight”。“Super Sonic”ではメンバーのソロパートも挟みながらパワフルなアンサンブルを展開してみせる。畳み掛けるようなクライマックスの展開には、問答無用の説得力があった。

Nulbarich/さいたまスーパーアリーナ

「楽しかったやつも退屈だったやつも最後に1個になって、終わり良ければ全てよしでまとめてもらっていいですか?」そんなJQらしい言い回しで誘ったラストチューン“Stop Us Dreaming”。手拍子とシンガロングで巨大なユニティが生まれるなか、空からはカラフルな風船が降ってくる。ケレン味たっぷりなビッグメロディが、この場所、この光景にピタリとハマるのを目の当たりにしたとき、Nulbarichが目指しているものの一端が見えた気がした。(小川智宏)
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