10-FEET @ 新木場STUDIO COAST

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10-FEET @ 新木場STUDIO COAST
10-FEET @ 新木場STUDIO COAST - pic by RyoNakajima(SyncThings)pic by RyoNakajima(SyncThings)
アメリカってすごい。

と、まず言いたくなった。先頃のアメリカ・ツアーから帰国して以降初のツアー『10-FEET“1sec”TOUR 2009』の東京公演。ゲストはNUBOとロットングラフィティー。が、今日だったんだけど、なんだかもう、「え? これ10-FEET?」みたいなことになっている。やっている曲もパフォーマンスもMCも前と変わらない、なのに違う。太い。ごつい。たくましい。別にTAKUMAとかけてません。

特にリズム隊、NAOKIとKOUICHI。もう明らかに、以前と違うプレイヤーになっている。別に上手くなっちゃいない。相変わらずラフなとこはラフだし、たまにコケるとこはコケるんだけど、そういう、「技術向上」とか「上達」みたいな成長ではなくて、「肝がすわった」というか「覚悟を決めた」というか、「殺すなら殺せ」というか「でも最低5人は道連れにしたる」というか、そんなような、腹をくくったみたいな、人間性もひっくるめたみたいな、よくなりかたなのだ。

びっくりした。これ、やっぱりアメリカ・ツアーの経験でこうなったんだろうなあ。でも俺、前回の国内ツアー観れてなくて、こうしてちゃんと10-FEET観るの、実は久しぶりなんだよな。もしかして、前からこうなってたのかな。隣がライター高橋美穂だったのできいてみた。
違うそうです。明らかにアメリカから帰ってからであり、特にリズム隊が見違えるように変わったと、彼女も思うそうです。

あと、フロアの様子も、僕には、驚くほど以前と違ってみえた。
みんなアガりまくり、みんな暴れまくり、汗かきまくりで湿度と温度上がりまくり、なのは前からだけど、なんというか、爆発度合いが2、3年前とは違う。
みんな死ぬほど楽しみにしていたというか、今夜のこの場に懸けているというか、ここしかないというか、そんな必死さと切実さに満ちている。そこが、明らかに以前とは違う。と、僕には見えてしょうがなかった。

元々熱い人たちだし、クサいことを歌うし、MCで恥ずかしいことも言うし、「共感」とか「感動」とか「感涙」とかの要素が、いっぱいあるライブをやるバンド、それが10-FEETだった。
だったが、以前が、「暴れて笑って興奮して泣いて、ああすっきり」みたいな、言ってしまえば「感動というレジャー」だったとしたら、今はレジャーじゃなくなっている。プロレスではなく、ガチになっている。「この場だけでも発散しようよ」じゃなく、「で、明日からどう日常と闘うか」につながるような、ライブになっている。
とか思いながら観ていたら、後半のMCで、まさにそれに近いことをTAKUMAが言っていた。

という変化は、アメリカ・ツアーは関係ないと思う。異様に真剣に、自らの音楽とそれにまつわる活動を追求して行くうちに、だんだんそうなったんだと思う。その結果、隣の優しいお兄ちゃんだった10-FEETは、いつの間にかカリスマになっていた、ということだ。
とか書くとTAKUMAがすっげえいやがりそうだが、優れれば優れるほど、ある種の宗教性みたいなものから逃れられなくなる、ロックってそういうもんだ、とも言えるわけで、もうしょうがないので、腹をくくってその道をつき進んでほしい。つき進んでも大丈夫そうなタフさは、これまで常に己の力や己のやっていることを疑いながら、あきれるほどクソまじめに歩んできたことによって、ついていると思うので。

というようなレポートを書くと、なんだか10-FEETがとんでもなくまじめなバンドになったみたいですが、くだらないギャグやしょうもない脱線も、相変わらずいろいろありましたのでご安心ください。
特に、後半のTAKUMAの長いMCは、あらゆる意味で最高だった。最高だったが、最高すぎてこのあとのツアーでも使うかもしれないので、というかできればぜひ使ってほしいくらいなので、書かないでおきます。(兵庫慎司)
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