●セットリスト
01. こんな僕で良かったら
02. 若い広場
03. 炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]
04. MERRY X'MAS IN SUMMER
05. 可愛いミーナ
06. 真夜中のダンディー
07. 明日晴れるかな
08. いつか何処かで (I FEEL THE ECHO)
09. ダーリン
10. NUMBER WONDA GIRL〜恋するワンダ〜
11. 赤い靴 〜 SMILE~晴れ渡る空のように~
12. 鏡
13. BAN BAN BAN
14. Blue ~こんな夜には踊れない
15. なぎさホテル
16. 平和の街
17. 現代東京奇譚
18. ほととぎす [杜鵑草]
19. Soulコブラツイスト〜魂の悶絶
20. 悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)
21. ヨシ子さん
22. 真赤な太陽(美空ひばりカバー)〜波乗りジョニー
(Encore)
EN1. ROCK AND ROLL HERO
EN2. 銀河の星屑
EN3. 白い恋人達
EN4. 100万年の幸せ!!
激しい雨の降りしきるSEが聴こえる中、「若い広BAR」という名のバーを舞台にライブは幕を開け、バーテンダーやホールスタッフ、サラリーマン男性に扮したダンサーたちも目につく。ジャジーなピアノ演奏に導かれるバンドサウンドが鳴り始めると、ドアを開けてコートを羽織った姿で登場し盛大な拍手に包まれながら“こんな僕で良かったら”を歌い出す桑田佳祐である。今回のセットリストは『いつか何処かで』の収録曲を中心に構成されているのだが、いきなりベストアルバムには未収の『明日晴れるかな』(2007年)のシングルカップリング曲でスタート。ファンを喜ばせるツボを知り尽くしている。
「どうもありがとうー! こんばんはー! 私、原 由子の夫です」とあらためて挨拶する桑田は、今回のツアーに備えて毎日3本の葛根湯を飲んできたと報告。「私のライブ、盛り上がりませんから。すぐに終わります!」(←ジョークである)、「いいの? パーン!とか出ませんよ!?」(←1発目のテープキャノンはもう出た)、「波乗りの歌とか、やりませんよ?」(←大嘘である)というふうに、もちろん歌声含めて絶好調だ。
ソロデビューよりも時期を遡るKUWATA BANDの“MERRY X'MAS IN SUMMER”では、門松付きのソリに晴れ着サンタの女子ダンサーが乗り込む、和洋折衷のカオティックな演出が楽しい。斎藤の骨太なリフと中の雄弁なギターソロが交錯し、桑田も自らディープ・パープル“スモーク・オン・ザ・ウォーター”のリフを奏でてフィニッシュする“真夜中のダンディー”にもまた、和洋折衷でロックの高みを目指したKUWATA BANDのスピリットが織り込まれるようだ。
さらに今回のツアーで重要だったのが、アコースティックコーナーで披露された楽曲たちである。軽やかなカントリーテイストの奥底から孤独な内省の時間を浮かび上がらせる“鏡”や、アコースティックアレンジでありながらむしろ楽曲のスケール感と包容力が際立つKUWATA BANDの“BAN BAN BAN”、トーチが灯されるステージ上で妖艶に舞うダンサーたちを迎え、甘い狂気に誘い込む“Blue 〜こんな夜には踊れない”。アコースティックだからといって静謐なだけではない。むしろエレクトリック編成すら凌ぐほどにパワフルでエモーショナルな時間を生み出してみせた。
アンコール部分を含む同公演の徹底レポートを、次号1月30日(月)発売『ROCKIN'ON JAPAN』3月号に掲載!
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