カサビアン @ SHIBUYA-AX

カサビアン @ SHIBUYA-AX - pic by Ryo Horiuchipic by Ryo Horiuchi
6月初めにリリースされた3rdアルバム『ルナティック・アサイラム』がUKアルバム・チャートで2週連続1位を獲得し(3週目はマイケル・ジャクソンに阻止された)、いよいよ間近に迫ったサマーソニック09では7日に東京、8日に大阪に登場するカサビアン。今夜のライブは今回の来日で行われる唯一の単独ライブとなる。言うまでもなく、チケットは即日ソールド・アウト。

ステージの背景幕には、新作のジャケットと同じ緋色で「KASABIAN」の大きな文字。もはや待ちきれずにあちこちで歓声が上がっていたオーディエンスの前に15分遅れで現れたカサビアンは、ギターとキーボードのサポートを含む6人体制。ボーカルのトム・ミーガンは長かった髪をばっさりと切り、まるで別人みたいだ。

「トーキョー! 調子はどうだい?」とトムが曲中で訊ねた“アンダードッグ”で火蓋が切られ、立て続けに“シュート・ザ・ランナー”へ突入。会場は初っ端から一体に。ただ、ギターとキーボードの音がかなり大きく、ドラムがややかき消され気味。そのせいか、サウンド全体が少し縮こまって聴こえる。

だがギターのセルジオ・ピッツォーノがマラカスに持ち替えた4曲目の“プロセスド・ビーツ”でキーボードがCDでは部分的にしか使われていないスペーシーな音を前面に押し出すと、曲のスケールがぐっと広がり、その世界にあっさりと引き込まれてしまう。地に足のついたギターとベースとドラムの演奏に、異物のように入り込んでくるエレクトロニクスはすごくよく映える。「あいつ、ニックっていうんだ」とトムが曲の間で紹介していたPAが調整したのか、ドラムもいつの間にかよく聴こえるようになっていた。

新作に収録の“ファスト・フューズ”、そして9月公開の映画『ドゥームズデイ』のエンディング・テーマに使用されることになった人気曲“クラブ・フット”の2曲は、“エンパイア”、“ファイア”、“ザ・ドーバーマン”などの大人気曲が惜しげもなく披露されたこの夜の中でも、ベストと言える素晴らしい演奏。特に本編最後の曲となった“クラブ・フット”が始まったときの客席(とトム)の盛り上がりには、文字通り圧倒的なものがあった。

一度メンバーたちがステージを去って少し経つと、フロアから“L.S.F. (ロスト・ソウルズ・フォーエヴァー)”のコーラス部の大合唱が始まって驚く。あれは一体どんなきっかけで始まったのだろう? あまりに自然に始まったので、一瞬、何が起こったのか分からなかったほどだった。

まだメンバーの戻らないステージに“ヴラッド・ジ・インペイラー”のイントロが鳴り響き、会場は再度カサビアンの狂気の世界にいざなわれる。ラストは、セルジオがエフェクトをかけたボーカルで歌うキャンディ・ステイトンのカバー曲“ユー・ガット・ザ・ラヴ”から、そのまま“L.S.F. (ロスト・ソウルズ・フォーエヴァー)”へ。「アリガトウ、トーキョー! サマソニで会おうぜ!」とトムが言い、天災に襲われたような80分のライブはあっという間に幕を閉じた。(高久聡明)

1.アンダードッグ
2.シュート・ザ・ランナー
3.カット・オフ
4.プロセスド・ビーツ
5.エンパイア
6.ホウェア・ディッド・オール・ザ・ラヴ・ゴー?
7.スワーフィガ
8.シック・アズ・シーヴズ
9.テイク・エイム
10.ファイア
11.ファスト・フューズ
12.ザ・ドーバーマン
13.クラブ・フット

アンコール
14.ヴラッド・ジ・インペイラー
15.スタントマン
16.ユー・ガット・ザ・ラヴ
17.L.S.F. (ロスト・ソウルズ・フォーエヴァー)
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