AFI @ 渋谷クラブクアトロ

昨年9月にリリースされた通算7枚目のアルバム『Crash Love』を携えての、実に3年ぶりとなる単独公演だ。前日の大阪に続いて行われた今夜の渋谷クアトロ公演には――いまにも雨が雪に変わろうという大変厳しい寒さのなか、大勢のオーディエンスが詰めかけた。ステージにはベース・アンプ3発、ギター・アンプ6発がドドンと鎮座。沸き立つような高揚感がクアトロの空気を奮わせている。

午後7時すぎ。場内が暗転すると、瞬間的にフロアから歓声が沸き、AFI登場!
冒頭からギターのジェイドはモニターに乗り上げてアグレッシブにプレイ。そして、勢いよく駆け出してきたボーカルのデイヴィー・ハヴォックが、ステージ前に半身を乗り出してオーディエンスの熱狂を煽る。アルバムからの1stシングル“Medicate”で幕開けだ。続く“Girl's Not Grey”でバンドはさらに一段ギア・アップ。真っ白なセットアップのスーツできめたデイヴィーは大きなアクションで力強い歌声を響かせ、“Leaving Ⅱ”ではジャケットを脱ぎ捨て、タトゥーで覆われた両腕を剥き出しにして強烈にシャウト! オーディエンスも目いっぱいにコブシを突き上げ、「ヘイ! ヘイ!!」「ウォオー!」と時にコーラス部隊と化してバンドの進軍をバックアップ。序盤からとんでもない一体感だ。

「Good evening Tokyo! We are AFI!」とのデイヴィーのMCを挟んで、“Trying Very Hard”、“Kill Caustic”、“End Transmission”と強靭なゴシック・ロックを続けざまに叩きつけていくAFI。デイヴィーを筆頭として、フロントの3人はステージを所狭しと走りまわり、モニターからモニターに飛び移ったりしながら、とにかく忙しなく動き回ってフロアをアジテート。エキサイトしすぎたのか、ベースのハンターがステージから転落というハプニングもありつつ(無事で何より!)、驚異的な運動量で観衆を魅了する。なかでも重厚なリフから華麗なバカテク・フレーズまで、シャープなアクションで自在に弾きこなしてみせるジェイドの身体性には瞠目。スキルとタレント性にも恵まれた、希有なギタリストだと思う。

性急なビートで畳み掛けるだけでなく、クリーンのコード・ストロークが爽快なネオアコ的ナンバー“Veronica Sawyer Smokes”など聴かせるナンバーも織り交ぜて、一時も飽きさせない。「This is absolutely fantastic!」とジェイディーもゴキゲンだ。勢い重視の前半と対照的に、後半は打ち込みやサンプリング/効果音を交えてドラマチックに攻勢。圧巻は“Death Of Seasons”での、烈火のごときバースト感! 同期するストリングスの調べが耽美的かつ壮観な情景を立ち上げ、魂の泉から最後の一滴を絞り出すようなジェイディーのシャウトに誰しもが圧倒された。

フロアからの盛大な「AFI!AFI!」コールに応えて再登壇したメンバー、“The Interview”で再びリミッターを振り切ってクアトロを最高潮に持ち上げ、“Too Shy To Scream”ではアダムともう1人(ローディさん?)の2人掛かりで強烈なドラミングを披露。そして 「アリガトウ! サンキュー・ソー・マッチ!」(デイヴィ-)と感謝を届け、最後はキラー・チューン“Miss Murder”でフロア中をジャンプ・アップさせて大団円。万雷のアプラウズにデイヴィーは投げキッスで応え、満ち足りた笑顔でステージを後にしたのだった。

1時間強と比較的コンパクトなセットだったけれど、最後まで衰えない運動量とショーマン・シップに溢れたステージングには、ダウン・トゥ・アースな活動で独自のスタンスを築き上げてきたAFIの底力を見る思いだった。夏フェスでの再来日、切望!(奥村明裕)
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