重々しくダークなオープニングから、AFIのねっとりとしたロマンティシズムが炸裂する4年ぶりの新作。前作『クラッシュ・ラヴ』は、曲作りの要となるジェイド(G)とデイヴィー(Vo)がサイド・プロジェクトのブラック・オーディオでエレクトロニック・サウンドを極めた反動もあって、ロック寄りのアルバムになっていたが、今回の新作はその中間でうまくバランスが取れている印象だ。ギル・ノートンをプロデューサーに迎え、2年かけてじっくり作ったというだけあって、音の層が幾重にも重ねられた深みのある世界が広がっている。
「お前も俺みたいに苦しむがいい」と歌う先行シングル〝アイ・ホープ・ユー・サファー"が象徴するダークなエモーションが全体を貫き、アップテンポな曲でさえも冷たい狂気を孕んで聞こえる。アルバムの雰囲気を決定付けたという 〝ア・ディープ・スロウ・パニック"はドラマチックな展開から「ゴス・オペラ」と称されているほどで、どの曲をとっても前々作の『ディセンバーアンダーグラウンド』を思わせる凛とした美しさがある。空気がひんやりとしてきたこの季節にぜひ。(網田有紀子)
埋めきれない激情
AFI『ベリアルズ』
2013年10月23日発売
2013年10月23日発売
ALBUM