井上ジョー@代官山UNIT

井上ジョー@代官山UNIT - pic by MASANORI  NARUSEpic by MASANORI NARUSE
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今年春には3ヶ月連続で配信による新曲をリリース、10月には2ndアルバム『DOS ANGELS』を発表し、海外配信もスタートさせた井上ジョー、今宵は代官山UNITで一夜限りのワンマンライブ『JOECASE #04 ~LIVE "DOS ANGELES"~』である。彼がワンマンを行うのは今年3月以来、およそ8ヶ月ぶりのこと。会場には、彼のファンはもちろんのこと、親子連れも意外と多く(たぶんテレビアニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のOPを担当したこともあって)、10代から50代くらいの幅広い年齢層のオーディエンスが集まり、開演前には「井上ジョー!」なんていう子供の声援も聴こえる、ピースフルなムードに包まれていた。

定刻の18:00ちょうどに会場が暗転。バックの大きなスクリーンに彼のホームタウンであるLA、アメリカ西海岸のようなビーチが映し出され“Can you hear me?”をSEに、ギターの佐藤裕晃、ベースの野田剛史、ドラムのクリスチャン・ムール、そして井上ジョーがステージに姿を現すと、一瞬にして嵐のような黄色い歓声が会場を覆いつくす。SEがフェード・アウトし、オペラのようにシアトリカルな彼の声とタフでハード・エッジなバンド・サウンドが、壮大なアンサンブルに編み上げられていく1曲目は“風のごとく”だ。昂った歓声とラウドなバンド・サウンド、彼の声はそれを掻い潜るように天高く突き抜けていき、続いて“LIGHTS”、“キミゴゴロ”、“車”とハイブリットなミクスチャーサウンドを次々と畳み掛けていくステージ上の4人。オーディエンスは、飛び上がりながらも拳を突き上げ、急激な上昇線を描くバンド・アンサンブルに必死に喰らいついていき、フロアはその熱気の最高値を幾度も更新していくのだった。

6 曲目の“ANIMAL”では、井上ジョーが1コーラスを歌い終った後、「Yoko Yazawa!!!」と呼び込んで、アルバムでも共演していた矢沢洋子がオン・ステージ! 黒のライダースを身に纏った彼女は、歓喜に沸き立つフロアを華麗にアジテートし、まるでロックの化身のような凄まじいバイタリティでシャウトする。「かっこいいー!」。フロアからはそんな歓声が何度も飛び交っている。そう、とにかくかっこいいのだ。彼女を見ていると、ロックがサウンドだけではなく、ショウとしてライブとしてどうあるべきか、というのが意識的ではなく感覚的にわかっている、そんな気がするのだ。LA時代の高校の同級生でもある井上ジョーと矢沢洋子は、ウェットな声色もどことなく似ていて、お互いの力を何倍にも増幅させるような鬼気迫るボーカルでフロアを盛り上げた“ANIMAL”の一幕は、ライブのハイライトであった。

その後は、小気味いいビートにいたずらっ子のような彼のラップが乗った“パッパッパ”、強靭なバンド・アンサンブルにスペイシーな打ち込みのシンセが映える“GO★”、「Say Ho!」のコール&レスポンスに後押しされ、力強く響いたミディアム・バラッドの“ハミングバード”、軽快にスウィングするジョーのキーボードと心地よいシーケンスが絡み合う“AFTERGLOW”と、カラフルで万華鏡のようなポップネスを振りまいていき、ライブもいよいよ終盤へ。

本編ラストは“CLOSER”と“世界のかけら”とハードロック・モードの2曲を畳み掛けてひとまず終了し、続いてアンコールへ。最初は盛大なハンドクラップに沸き立つフロアだったが、それがいつの間にかフロア一体となった歌へと変わり、《目を開いてよ/君は見えるか?/丘の方から/昇る朝日が/歌え》、“ANIMAL” のラストの一節が、何度も何度もシンガロングされていくのだった。いったい何がきっかけで始まったのだろう?気がついたらフロアは大合唱だったのだけど、もうとにかくオーディエンスは弾けるような笑顔で歌い続けているのである。井上ジョーとオーディエンスを繋ぐ絆の強さを象徴する印象深い光景だった。

そして再びステージがライトアップされ、まずは井上ジョーが1 人でステージに登場する。登場と同時に大きな拍手と歓声に包まれ、タモさんのいいともよろしく「チャッ!チャチャチャ!」で拍手を纏め上げると「ここからはアコースティックのコーナーです」と一言。そして、ギターの佐藤を呼び込み、最近はまっているもの、というお題のMCを挟んで(佐藤が今ハマっているものは、海外ドラマの「プリズン・ブレイク」だそうだ)、初期の楽曲“たいせつ~ties the two~”へ。研ぎ澄まされたラウドネスを存分に爆発させた本編とは異なり、彼の「声」と「歌」にフォーカスしたセットだ。

ネイティブな英語と流暢な日本語を操る彼だけど、日本的ともアメリカ的ともいえぬ独特の拍の取り方から、英語のイントネーションのまま日本語で歌ったりと、その狭間を彷徨っている彼独特の感性が色濃くでている。井上ジョーほど楽曲によって声色とボーカルの表情を変える人も珍しい。ラウドな曲からバラードまでというくらいの振れ幅があれば、普通誰でも歌い方は変化するのだろうけど、彼の場合はもっと一曲一曲にフォーカスして、歌詞や言葉の乗せ方、そしてバンド・アンサンブルと共鳴しながら、言葉の発音から声の響き、発声の仕方までがらりと変え、声を選んでいる。レコーディングですべての楽器を演奏し、アレンジからプログラミング、ミックスまでこなすマルチプレイヤーっぷりがつい注目されがちな彼だけど、この声色の多用さにも、日本とLAの両方を故郷に持ち、音楽異邦人とも言える彼独特のキャリアが表れているのだと思う。

井上ジョーがアグレッシブにドラムを叩いた“深海”を挟み、ラストは再びバンドメンバーとともに“ふたりひとり”をプレイ。「もうみんなの顔見てるからな!覚えてるからな!またね!」と言ってステージを後にしてライブは大団円…と思いきや、バックのスクリーンにカラフルなパーカーを纏った姿が映し出され、最後にDJジョーとしてのパフォーマンスを。「みんなに聞かせたいミックスがあるんだ!」と言って音源をCDJでスピンしていくのだけど、吉幾三の“俺ら東京さ行ぐだ”をかけ、続いてユーロビートでパラパラを踊りつつノリツッコミをして、本命のダンス・チューン“The Journey”を投下し、しばしのダンス・タイム。最後の最後まで、ただ盛り上げただけで終わらないのが井上ジョーである。

なお、本日は8ヶ月ぶりのワンマンだったように、LAと日本をさかんに行き来している彼のライブはタイミングを逃してしまうとなかなか観ることができないが、年内は多数のイベントに出演、クリスマスイブには東京公演、さらに年末にはスコット・マーフィーのジャパン・ツアーに帯同することも発表された。ぜひこれを機会にチェックしてみて欲しい。(古川純基)

<セットリスト>
1.風のごとく
2.LIGHTS
3.キミゴコロ
4.車
5.INTO OBLIVION
6.ANIMAL feat.Yoko Yazawa
7.パッパッパ
8.GO★
9.ハミングバード
10.AFTERGLOW
11.HOME
12.CLOSER
13.世界のかけら

ENCORE
14. たいせつ~ties the two~
15.幻
16.人工衛星
17.深海
18.ふたりでひとり / The Journey
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