MONOBRIGHT @ 赤坂BLITZ

MONOBRIGHT @ 赤坂BLITZ - pic by 橋本塁(SOUND SHOOTER)pic by 橋本塁(SOUND SHOOTER)
「モノブライト家 披露宴会場」という立て看板が掲げられた赤坂BLITZで執り行われた今日のライブは、ヒダカトオル(ex- BEAT CRUSADERS)を迎え、新体制となったMONOBRIGHTによる『淫ビテーション・ツアー』のファイナル公演。昨年秋にヒダカトオルとの「結婚(加入)」を発表、そして先日1月12日にヒダカ加入後の初音源となるミニアルバム『淫ビテーション』をリリースし、目下新婚生活を大満喫中の彼らの変化と進化を見届けようと、会場には多くの観客が詰めかけた。

「もしかすると今後のMONOBRIGHTは、ビークルのような『ヒダカトオルのバンド』に変わっていってしまうのではないか」。そんな我々の想いを払拭するかのように、ライブ序盤のステージ上で展開されたのは、もうこれでもかってぐらい壮絶な肉弾戦。ステージ上手で異様な存在感を放つヒダカに飲み込まれまいと、メンバー一人一人が強烈な個性を爆発させることによって生まれたアグレッシヴなグルーヴで会場の狂熱を加速させていく。そしてMCでヒダカとの結婚を改めて報告し、祝いの酒樽を桃野が叩き割る鏡開きを終えて突入したのは、『淫ビテーション』に収録されたThe Turtlesのカバーー“HAPPY TOGETHER”。エレクトリックな“結婚行進曲”のイントロで半ば強引に祝祭ムードを作り上げ、ヒダカボーカルの激烈ポップ・ワールドにオーディエンスを誘い込んでいく楽曲だ。続いてはスカのビートと歌謡のメロディで疾走する変態ソング“この人、大丈夫ですか”。この楽曲には、これまでのMONOBRIGHTにはなかった「緻密に計算されたポップさ」がある。しかもそれが彼らの武器であったダイナミズムや突破力との共存を果たすことにより、今まであらゆる方向にぶちまけられていた感のあった途方も無いエネルギーがオーディエンスに一直線で向かっていく仕様に変化を遂げている。つまり楽曲のエネルギーをそのままに、「巻き込む性能」が飛躍的にアップしたのである。ヒダカによってもたらされたのがバンドの「ビークル化」ではなく、MONOBRIGHTとしての進化だということがはっきりと見て取れる新曲だ。

宇宙規模の一大スペクタクル、カラッとした西海岸フレイヴァー、湿り気のあるアンビエントと、ここ最近の「何でもアリ」なMONOBRIGHTの魅力をぎゅっと凝縮したかのような濃厚な中盤戦を経て、映画『婚前特急』の主題歌に抜擢された新曲“DANCING BABE”からライブは加速。「踊ろうぜ赤坂ーー!!」という桃野の絶叫から雪崩れ込んだ、松下の敬愛する有頂天のカバー“オードリー・ヘプバーン泥棒”、続くYMOのカバー“RYDEEN”でフロアをダンス地獄に変化させると、そのままたたみかけるように“踊る脳”を発射! 曲の途中でステージ後方からヒダカ加入時から使用されているバンドロゴと、鶴と亀のイラストが描かれた幕がせり上がってきて、クライマックスに向けて激しさを増していくフロアの狂騒に更なる拍車をかける。そして本編ラストは『淫ビテーション』から“旅立ちと少年2”をプレイ。《進もうと先を急ぐ 二度と戻らないと誓え》と、昨年2月に掲げた「monobright DO10!! 攻約宣言」以来、ひたすら前だけを見つめて猛進してきたMONOBRIGHTの潔い決意が込められたエモーショナルなサビの部分がオーディエンスの心を熱く滾らせると、曲が終わると同時に爽やかな一体感に包まれた会場から大歓声が上がった。

「お色直しが終わりましたので、それでは皆様、今一度大きな拍手でお迎えください」という影アナの後に安室奈美恵の定番ウェディングソング“CAN YOU CELEBRATE?”が流れ出し、本編で着ていた現在のアーティスト写真と同じ白いロゴシャツの黒バージョンに着替えたメンバーがアンコールで登場。そしてこの度の結婚によせて、MONOBRIGHTと親交の深いバンド仲間から届いた祝電を読み上げる。どれもそのアーティストらしさが表われていてなかなか面白かったので、この場を借りていくつか紹介したい。

■YOUR SONG IS GOOD サイトウジュン
「ヒダカさん、最近急にきれいになったと思ったら、こういうワケだったんですね。お幸せに。以上、祝電.com『プロに読まれる祝電例文集』よりすべて引用」

■UNCHAIN
「ご結婚おめでとうございます。やはり結婚生活には、いやバンド生活には三つの袋が肝心でございます。一つ目は、日々の制作やら長期のツアーやら、疲れに耐えるための堪忍袋。二つ目は、腹が減ってはバンドはできぬ、やっぱり胃袋。そして三つ目は遊びも芸の肥やし、池袋でしょう。池袋北口でお待ちしております。末永くお幸せに」

■怒髪天 増子直純
「ご結婚おめでとうごジャーメス。愛があれば、年の差なんて! この変態的夫婦からどんな子供達が生まれてくるのか楽しみにしています」

祝電の紹介が終わり、「披露宴の二次会にありがちな、新郎新婦の友達が歌うコーナー」という前置きから披露されたアンコール一発目の楽曲は郷ひろみの“お嫁サンバ”! 続く二曲目は、まさかのビークル“BE MY WIFE”! 桃野とヒダカのツインボーカルによって届けられるこの予測不可能の大サプライズに、オーディエンスはただただ狂喜乱舞するばかり。そして「二次会っぽくなってきたねー! ではここからは三次会ということで!」(ヒダカ)と、新曲“COME TOGETHER”を披露。ダイレクトに高揚感を攻め立ててくるサッカーのチャントのようなサウンドがフロアに「オーオーオーオー」という大合唱を巻き起こし、その後もアンセムを連発して留まることなく上がり続ける歓喜のヴォルテージが最高潮に達したとき、桃野が突然ステージからダイブ! そのままもみくちゃになりながら“正義にて”を歌い上げ、最後はマイク無しで「どうもありがとう!!」と絶叫すると、会場から再び大歓声が上がった。

客電が点き、終演後のSEが流れ出しても鳴り止まない拍手に応え、披露宴はまさかの四次会へ突入! 「スタッフにお疲れさまですとか言ってたけど、みんなの歓声が聴こえて戻ってきたぜー!」(桃野)と、疾走感溢れる獰猛なメロディにのって桃野とヒダカがツインボーカルを絡ませ合う新曲“国産バイブレーション”、そして初期の名曲“未完成ライオット”を立て続けにプレイ。最後は「以上を持ちまして、結婚披露宴は終了いたします! 風邪ひかないように気をつけて帰るんだよ! ありがとう!」という桃野の閉幕宣言をもって、ひたすらにカオスだった今日の結婚披露宴は今度こそ終了。前作『ADVENTURE』以降の、無作為に拡大していくMONOBRIGHTの音楽世界に確信犯的なポップを注入し、どんな内容・曲調でも激ポップに変えてしまう良妻ヒダカトオルとの結婚。それによりジャンルに縛られない自由な発想をすることが可能となったバンドが向かうべき方向は完全に定まった。果たして彼らはこのままのバランスを保ちながら音楽的絶頂に達することができるのか!? それともMONOBRIGHTを使ってやりたい事に目覚めたヒダカが全てを飲み込んでしまうのか!? なにはともあれ、今後も末永くお幸せに!(前島耕)

[セットリスト]
1. 英雄ノヴァ
2. ポーツス
3. JOYJOYエクスペリエンス
4. HAPPY TOGETHER
5. この人、大丈夫ですか
6. 紅色ver.2
7. デイドリームネイション
8. 宇宙のロック
9. California Sun, California Rain
10. 雨にうたえば
11. wonder world
12. 孤独の太陽
13. DANCING BABE
14. オードリー・ヘプバーン泥棒
15. RYDEEN
16. 踊る脳
17. 旅立ちと少年2

アンコール
1. お嫁サンバ
2. BE MY WIFE
3. COME TOGETHER
4. 頭の中のSOS
5. アナタMAGIC
6. 正義にて

ダブルアンコール
1. 国産バイブレーション
2. 未完成ライオット
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