Theピーズ @ 東京キネマ倶楽部

Theピーズ @ 東京キネマ倶楽部
Theピーズ @ 東京キネマ倶楽部
Theピーズ @ 東京キネマ倶楽部
「ONEMAN LIVE 2011 初夏シリーズ」と題された5月3日:千葉LOOK、14日と15日:東京鶯谷・東京キネマ倶楽部、計3本のワンマン・ライブの最終日。なお、千葉と鶯谷の間に、フラワーカンパニーズとの「ヨサホイツアー」(年に1回この2バンドで普段あまり行けない地方に行くという恒例ライブ)で、三重県松坂市と滋賀県大津市の2本がはさまっていたので、なんとなく5本のショート・ツアーの最後、みたいなニュアンスも醸していた、そんな日でした。

セットリストは以下。

1 ドロ舟
2 真空管
3 とどめをハデにくれ
4 かまわない
5 霧の中
6 ラブホ
7 風の夜
8 バカになったのに
9 いんらんBaby
10 脳ミソ
11 トロピカル(新曲)
12 ロンパリンラピン
13 電車でおでかけ
14 実験4号
15 底なし
16 階段
17 絵描き
18 好きなコはできた
19 初夏レゲ
20 ノロマが走っていく
21 焼めし
22 グライダー
23 生きのばし

アンコール
24 しげき的な日々
25 そばにいたい
26 どこへも帰らない
27 何様ランド

以上27曲、ほぼ2時間半。ご覧のように、活動休止前の曲、復活後の曲、アルバム出さなくなって3曲入りとか4曲入りのシングルを自主制作で出しているここ5~6年の曲、の、3つの時代の曲が入り混じった選曲でした。11曲目“トロピカル”は、はるが「新曲です」と前置きしてからやったので、(新曲)って付けたけど、考えたら2曲目の“真空管”も、ライブではおなじみだけど音源化はまだなので、新曲っちゃあ新曲なんだった。あと、27曲目は、5枚目のアルバム『どこへも帰らない』の収録曲ですが、確か、正しくは“じゃますんなボケ(何様ランド)”ってタイトルじゃなかったっけ。と思い、調べてみたところ、活動休止中の2001年に出たベスト盤『ブッチーメリー』に入ったタイミングで、“何様ランド”に改題されていたことがわかりました。

それから、事前にファンからリクエストをつのっていて、その結果を一部反映させた、という意味合いもありました、という意味合いもありました、このセットリストには。6曲目の“ラブホ”は、リクエストがあったのと、鶯谷だから、やったそうです(ラブホだらけな土地柄なのです)。続く“風の夜”も、同じくリクエストで選ばれたものだけど、演奏が難しいとかで、はるさん、やるの、すごくイヤそうでした。で、何とかプレイし終えたあとも、「こういうのはレコードで楽しむように!」と、愚痴っておられました。

それから。はる、「病み上がり」と自分でも言っていたが、正直、歌は本調子ではなく、ところどころピッチが危うかったりした。が、「だからダメ」なのではなく、それを「だからアリ」に持っていくのがTheピーズである。って、今さら言うまでもないが。「ダメな姿をも輝かせる」というロックンロールの魔力を、おそらく今この国に現存するロック・バンドの中で最もリアルに体現している人たちが、このバンドなわけである。って、これも、今さら言うまでもないが。
なので、今夜も、頭っから最後まで最高のライブでした。特にアビさんのギター、さえまくり。アメリカンではなくブリティッシュの系譜にいるロックンロール・ギタリストとして、ほんと、日本有数だと思う。

にしても思うが、初期の曲・活動休止前の曲もすばらしいけど、さっき書いた「ここ5~6年の曲」、つまりキングレコードと契約が切れて、まとまったフルサイズのアルバムを作るのをやめて、年に1枚とか2枚のペースで、3曲入りとか4曲入りのシングルを自主制作で出している時期の曲──要は最近の曲ってことですが、どれもほんとにすばらしい。
それらの曲、明らかにある種の傾向性が見える。どれも文学的。どれも深い。で、どれも、いわば、「重いのに軽い」みたいな、矛盾した感触がある、ということだ。過去と比較すると、たとえば休止前の4枚目『とどめをハデにくれ』が、最も文学的で最も深い感触のアルバムだと思うが、あれはストレートに重かった。ここ5~6年の曲たちは、そこが違う。どれもなんか、軽やかだ。ロックンロールの軽はずみなところや勢いまかせのところが、そこで歌われていることの重さと、矛盾しながら、でも自然に共存している、というか。

しかし、アルバム作らなくなってからシングルで出した曲、全部合わせると、もう18曲とかそれくらいになっているわけで、下手するとアルバム2枚分くらいなわけで、だったらまとめればいいのに。と、ちょっと前まで思っていたけど、「まあ、これでもいいのかなあ」と、この日のライブを観ていて感じた。そもそも、この国で、プロとして、職業としてロック・バンドをやっていくためのレールの上を走っていたの、デビュー直前からデビュー直後までのほんのちょっとの時期だけだったバンドだし。で、あとは、どんなに独自だろうがどんなに浮こうがどんなにババ引こうが、自分たちのやりかたでやってきた人たちだし。
ただ、せっかくこんなにすごいことやってるんだから、若いロック・ファンにも、もうちょっと届けばいいのになあ、とは思う。OKAMOTO’S、初期ルースターズとかダイナマイツとかカヴァーするのもいいけど、Theピーズもやればいいのに。“全部あとまわし”とか“Yeah”とか“脳ミソ”とか“とどめをハデにくれ”とか、OKAMOTO’Sが超速くしてやったら、かっこいいと思うんだけどなあ。
って、OKAMOTO’Sがピーズのことを好きかどうか、知りませんが。あと、今、書いてて「若いもんの力借りようとするんじゃねえ」と、自分に対して思いましたが。
でも、確かにそういう気持ちも半分はあるけど、あとの半分は、思いっきり上から目線ですが、「OKAMOTO’Sぐらいかっこよければ、ピーズのカヴァーやってもいーよ。その資格あるよ」というのも、あります。
一体何の権限があってそういうことを言っているのか、俺は。
と、つくづく思うので、このへんで終わります。

あ、あと、はる、最初のMCで「昨日に続いて今日もこんないいとこでやれて、すごく幸せだと思います。人もいっぱいいるし」と言った。で、後半のMCでも、「すごく幸せだと思います。感謝します」みたいなことを言ってました。(兵庫慎司)
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