ユニコーン @ 三郷市文化会館

ユニコーン @ 三郷市文化会館 - all pics by TEPPEIall pics by TEPPEI
 すごい。「バンドを楽しむこと」のみならず「形振り構わず楽しさを追求することに関して一切の迷いや衒いを振り捨てること」に徹した大人のエネルギーにはもう誰も敵わない!という何よりの証明のような、あるいは「ロック・バンドのライブはそれ自体がここまでパワフルなエンターテインメントになれる!」という高らかな宣誓のような、最高のステージだった。なにせ10月まで続くツアーの初日なので、書けることは限られているが、以下、あくまでネタバレしない程度にレポートしていきたい。

 ただでさえ武道館公演2本を含む一大ホール・ツアー(震災の影響で会場使用不能になった仙台サンプラザホール公演のみ、Zepp Sendai×2公演に振替)だったところに、つい先日発表されたばかりの日本ガイシホール/さいたまスーパーアリーナ/大阪城ホール各2公演というアリーナ・クラスの追加公演6本を合わせて約5ヵ月・計41本に及ぶ規模となった全国ツアー=『ユニコーンツアー ユニコーンがやって来る zzz…』の初日:埼玉・三郷市文化会館。「本日から始まりました……えー、『ユニコーンがやって来る』……これ『zzz』は何て読むの?」(民生) 「『ズズズ』じゃないの?」(EBI)とか「なにぶん初日なので……まだ初々しいところが観れるっていう(笑)。4~5本もやるとスレた感じになるので、初々しい感じを楽しんでもらえれば」(民生)とか「ここ三郷は、わりといろんなアーティストが初日を迎えることで有名なんですけど。あとは府中と、戸田? (ゲネプロ含めて)2日借りると安い!(笑)」(民生)とかいう砕けまくったMCのモードはまさしく平均年齢46.6歳そのものだったが、いざ演奏に入れば1音1音がとんでもない弾力と輝きでもってキャパ1300人ほどの会場を跳ね回って、満場のオーディエンスの熱気をさらに天井知らずにアゲていく。
ユニコーン @ 三郷市文化会館
 なお、ツアー・グッズの海賊マークが事前のヒントにはなっていたが、今回の5人は『パイレーツ・オブ・カリビアン』よろしく海賊スタイルでビシッとコーディネート。特に、アーティスト写真やジャケットでも一貫して「テッシー推し」で通してきた最新アルバム『Z』だけに、ジョニー・デップばりにキメたテッシーこと手島いさむに関しては、誰もがあっと驚くような仕掛けが用意されてた……が、当然ここでは伏せておく。序盤から何度も連発されるその「仕掛け」に、ステージでは……
民生「……意味あるんすかね、それ?」
川西「ない! DON'T THINK. FEEL!」
民生「今日のセットとか演出とか、全部この人(テッシー)がやりたかったことですからね!」
手島「いやー、やってみて初めてわかることもあるね(笑)」
民生「どうツイートされるかが問題だね。ネタバレしちゃうんで、伏せ字でお願いします。『◯◯シーが◯◯った!』って書いといてください(笑)」
……という会話が繰り広げられたことだけ記しておく。とにかく、1人でも多くの人に「あれ」を目撃してビビって笑っていただきたい。切に願う。

 選曲的には、『Z』14曲の大半に加え、再始動第1弾アルバム『シャンブル』からの楽曲、解散前の曲はもちろん初期の曲まで……と、アッパーな曲も地味めの曲も極彩色のセットリストに編み込んだ、トータル2時間40分に及ぶ一大アクト。もはやお馴染みとなった川西&EBIのラッパー・コンビあり、民生のハンドマイクのヴォーカルありスタンディング・ドラム(!)あり、阿部/手島/民生のトリプル・ギター炸裂!の場面あり、「みなさん、身体がホットになったと思うんで、今から私がクールにしたいと思います!」というEBIが「え、クールってどういうこと? 『引かせる』ってこと?」(民生)といいようにいじられたり、「昔の曲やっても、似てないんすよね。まず声が違う(笑)」(民生)といいつつ過去曲で割れんばかりの大合唱を巻き起こしたり……と、初日とは思えないほどの超高気圧的な歓喜が客席狭しと充満していく。
ユニコーン @ 三郷市文化会館
 そして……そんなエンターテインメント性に満ちたステージの中でも、いやそんなステージだからこそ、ユニコーンの5人のプレイヤーとして/ソングライターとしての圧倒的な音楽的キャパシティがひときわ眩しく見えてくる。特に阿部B。それこそポール・マッカートニーの向こうを張らんばかりの勢いの『Z』での名曲路線ひた走りっぷりは、実際にステージで目の当たりにすると、感動とか高揚とかをすっ飛ばして、魔法にでもかかったような白昼夢感に囚われてしまうしかない。

 後半に入ると「……ちょっと休憩さして」と疲れを隠さないのもご愛嬌。「お客さんも優しいですよ、ベテランだから」と民生が笑いを誘っていたが、2年前の復活直後の『蘇える勤労』ツアー時に比べれば明らかにオリジナル世代ではないはずの観客の姿が目立っている。たった2年半ほど前までは「復活してほしいバンド」「でも復活しないであろうバンド」の筆頭だったのに、今や「ユニコーンのいない2011年の音楽シーンなんて考えられない」という存在にまでなってしまったユニコーン。今回のツアーと夏フェスを通して、リリース間もない『Z』の楽曲が「みんなのアンセム」として共有され解き放たれた時、その輝きはさらに強いものになっていくに違いない……というワクワク感が、会場を出てからもずっと止まらずにいる。次の公演は5月30日、神奈川県民ホール 大ホールにて!(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする