「ただいま！ 俺らすげえパワーアップして戻ってまいりました。昔の俺らもいいけど今の俺たちを見てほしい。それだけだ」というFurukawa（Vo／G）のMCに沸き起こる大歓声！ バンドにとって実に2年ぶりとなる、4月13日発売のアルバム『YELLOW FUNK』を引っさげた全国ツアー「YELLOW FUNK 2011」。そのファイナルとなったZepp Tokyo公演は、ドーパンのライブバンドとしてのタフネスと新たなステージの幕開けが力強く証明された圧巻のアクトだった。

そもそも、ここに至るまでの道のりは決して楽なものではなかった。2年前、トータル40本以上にも及ぶロング・ツアーでバンド史上最高レベルの熱狂を全国のライブハウスで生み出してきたドーパン。そこである種の高みに到達してしまったことで、今後の方向性を見失いかけていたからである。このままドーパン流ダンス・ロックを貫くか、それとも音楽的な新しさを追求するか。その深い模索の中で、ときにバンド存続の危機に陥ったこともあったという。だからこそ、シビアな状況を乗り越えて生み出された『YELLOW FUNK』はかつてなく重くシリアスな作品となった。アルバム1曲目の“the anthem”で幕を開けた今夜のライブには、そんなアルバムの空気感がしっかりと投影されていた。照明を落としたステージに静かに現れるなり、冷ややかでメランコリックなメロディを紡いでいった3人。これまではロックスターキャラ全開のカラフルなファッションに身を包むことの多かったFurukawaも、黒のＴシャツ＆黒のパンツというラフな出で立ちで熱っぽいボーカルを響かせていく。

特に中盤にプレイされた、“I said”～“catastrophe”の新曲3連発がものすごく良かった。青く透明なサウンドが火花を散らす“I said”と“You can change the world”、そして色気をまとったダーティーなグルーヴが不敵に花開く“catastrophe”……。そこには、ゴリゴリのダンス・ビートで観客を絶頂に導くかつての楽曲とは明らかに一線を画した、ディープな覚醒感が宿っていた。淡々と、しかし確実に聴き手の脳細胞をクリアにしていくような緊張感をたたえたサウンドの数々。それは、かつてのパーティー的狂騒感とはまったく別種の新しい興奮をオーディエンスから喚起させるものだ。

とはいえ、Furukawaのロックスター節は今夜も絶好調。「『YELLOW FUNK』を出して、やっと音楽がわかってきた気がするんですよ。それがお前らに伝わればいいなと思うんだけど。……あのー、何て言うかね、俺はみんなに憧れてほしいんだよね。憧れの目で俺を見てほしいんです。もう、そういう風に生まれちゃったんだからしょうがない！」と言ったところで、「せっかくだからオイシイところをやるね」と“stairs”へ。ここからは、クライマックスへ向けてひたすらアガり続ける「MUGENDAI DANCE TIME」へと突入する！ Hayato（Dr）＆Taro Houjou（B）の華麗なソロ・プレイあり、“Transient Happiness”恒例のFurukawaの開脚ステップあり……と、これでもかとアッパーに攻めまくってドーパメイニアのテンションを天井知らずに上げまくっていく3人。その鉄板の盛り上がりはさすがドーパンなわけだけど、先のシリアスな新曲群があったからこそ、よりアグレッシヴに絶頂へと上り詰めている印象が今夜のアクトにはあった。そう、ただでさえ快感のツボを押しまくるドーパンのハイパーなステージは、光と闇が乱反射する新曲群を織り込むことで、よりバラエティに富んだスキのないエンタテインメントへと昇華されていたのである。すべてを吐き出すような無限大の興奮が描かれた本編ラストの“MIRACLE”は、ちょっと感動的なほどだった。

アンコールでは、アコギを抱えたFurukawaが一人で登場。「最後だし、気分いいからね」と元々セットリストに予定のなかった“standin’ in the rain”～“love song”の3曲を弾き語りで歌う。その後はリズム隊2人を再びステージに招き入れ、「『YELLOW FUNK』の中でまだやってない新曲があるんで。そこらへんの若造には絶対につくれない楽曲だから、オーラたっぷりでやります」と再びスター発言をブチかまして、浮遊感あるメロとキレのあるビートがカオティックに絡み合う“song for my harmonics”を披露。その後も4曲のダンス・チューンを畳み掛け、2時間に及ぶカタルシスだだ漏れの煌びやかなステージを締め括った。
なお、アンコールでは秋のツアー告知も。今回は震災の影響で中止となった、東北方面のライブもガシガシ行うことが発表された。詳細はライブ終演後21:00にオープンした特設サイトに公開中。2年ぶりの大フィーバーを終えたドーパンの快進撃はまだまだ止まらない。（齋藤美穂）

セットリスト
1.the anthem
2.beautiful survivor
3.Lost & Found
4.GAME
5.We won’t stop
6.majestic trancer
7.I said
8.You can change the world
9.catastrophe
10.stairs
11.de la papa
12.YA-YA → Dr&Ba SOLO → YA-YA
13.The Fire
14.I'll be there
15.crazy one more time
16.because of the love
17.Hi-Fi
18.Transient Happiness
19.the miracle
20.MIRACLE

アンコール
21.standin’ in the rain
22.jamaica song
23.love song
24.song for my harmonics
25.beat addiction
26.It’s my life
27.Crazy
28.Candy house