まずは、ステージ上に登場した4人の佇まいが最高なのである。デビュー当時のギャラガー兄弟が着ていたような微妙なサイズ感の柄シャツを着用し、ギターはもちろんハイポジで、一方のベースはもちろんローポジというUKギター・バンド伝統のセットアップ。そしてド新人バンドの初来日公演の一発目のステージに既に黒人女性ヴォーカルとサポート・キーボードが参加しているという、照れることなく形から入るスケール感覚。思わず懐かしいやら微笑ましいやらでニヤニヤしてしまったが、最初の一曲の出だしの一音、その100%の確信と共にブン投げられた直線剛速球にピンと背筋を伸ばされた気がした。
セットリストに関してはサマソニでのステージをお楽しみにということで詳細は伏せるが、「全曲シングル・カットできるくらい強力なポップ・ソングしか収録されていない」と彼らがうそぶいた『フェイマス・ファースト・ワーズ』の10曲を、自分達のビッグマウスを証明する最大のチャンスとして全力で再現するのがビバ・ブラザーのライブである。妙な駆け引きや緩急は一切なし、そもそもアルバム自体が緩急とは無縁の「アンセム×10」という構成のため、ライブ・パフォーマンス自体も次から次へと畳みかけるような必殺技の応酬になる。
「ここから革命が始まるんだ!」と真顔で宣言するリー(Vo&G)のMCも最高だ。彼らの目にはキャパ1000弱のリキッドルームが数万人収容のスタジアムのように映ってるんじゃないかと思うほどの振る舞い、言動、そして音楽。この2011年にこの底抜けの潜在的大物メンタリティはもはや天晴れとしか言いようがない。
ビバ・ブラザーがリアム・ギャラガーに同族嫌悪的にディスられる理由も、モリッシーにその若さと傲慢と蒼さを愛される理由も共に理解できたような一夜だった。明日から始まるサマソニでは彼ら念願の「一番デカいステージ」=マリン・ステージに登場するので、参戦される方はぜひ見逃さないでほしい。「ヘッドライナーのつもりでやる」と意気込んでいた彼らだが、バックステージでビーディ・アイを率いるリアムと鉢合わせしたらどうしよう……なんて下世話な興味も尽きません!(粉川しの)