メタリカ、スレイヤー、メガデスとともに、4大スラッシュ・メタル・バンドとしてメタル界に多大な影響を与え続けてきたANTHRAX。しかもスラッシュやヘヴィ・メタルだけでなく、メロディアスなサウンドを取り入れたり、1991年にはパブリック・エナミーと共演するなど、時代を先駆けるサウンドを展開してきた大御所バンド。リンキンパークがバンドを結成するきっかけとなったのが、ANTHRAXとパブリック・エナミーのジョイント・コンサートだったと聞けば、多少興味を持ってもらえる人も多くなるだろうか。
1980年代からの長い歴史の中で、ボーカルやベースのメンバーチェンジを何度か経験するも、LOUD PARK 06ではジョーイ・ベロドナ(Vo)とロブ・カッシーノ(G)が復活したメンバーでのステージが実現し、話題に。が、残念ながらジョーイはバンドに残らず、オーディションによって加入した新ボーカリスト、ダン・ネルソン、居残ってくれたロブ、そしてスコット・イアン(G)、チャーリー・ベナンテ(Dr)、フランク・ベロ(B)の5人で新生ANTHRAXの誕生!となった。
その新生ANTHRAXのお披露目という、記念すべき今夜のライブのオープニングを飾ったのは、日本へヴィ・ロック界の中核をなすcocobat! このバンドも度重なるメンバーチェンジを経てきたバンドだが、抜群の存在感を放ち、今夜もTAKE-SHITのバッキバキのベースが冴え渡っていた。
そして、サイレンが鳴ると同時に巨大な幕が下り、登場したANTHRAX。“INDIANS”で始まった瞬間から、オーディエンス側も拳は大量に突きあがるわ、ヘッドバンキングの嵐だわで、かなりすさまじい状態に! 新ボーカルのダンも歴代の歌を見事に自分のものにし、少しでもオーディエンスからのレスポンスが弱いと、煽りに煽って場を盛り上げさせるのも見事だ。そしてドラム以外の他のメンバーも前へ前へとせりだし、メタルの見せ所のひとつであるギターソロのときだけでなく、常に見せ場を作ることができるのも大御所のなせる技。
途中、新曲も披露し、最後に名曲“ONLY”で一旦ステージを去るも、アンコールではPANTERAの“A NEW LEVEL”を演奏! 一段と観客は狂喜乱舞し、次でほんとに最後だというMCが入ると、ブーイングが起こるほど、まだまだ足りない、もっともっとやってくれというレスポンスにバンド自体もにこやかに笑っていた。スコットによると、ニュー・アルバムは来年3月には完成し、LOUD PARKにも戻ってきてくれるとのこと! 新編成でのアルバムが待ち遠しい! (石井彩子)
ANTHRAX @ 川崎クラブチッタ
2008.08.15