開演とともにステージを覆う白幕が開くと、メンバーを隠すほどの大量のスモークが焚かれ、その中からワタルの鋭いギターが響き渡る。1曲目はデビュー曲“明日は来るのか”だ。その瞬間からDOES5周年を祝う祝祭ムード全開のオーディエンスの熱狂ぶりが止まらない。1部のセットリストはアルバム『The Wolrd's Edge』以前の楽曲で組まれており、これまでのDOESが見せてきた3人編成でのタイトなバンドアンサンブルを前面に押し出した内容だ。荒れ狂うようなビートに身体を揺らさずにはいられない“シンクロニズム”や“ワンダー・デイズ”、前につんのめっていくような性急なリズムがヒリヒリと迫ってくる“デイ・サレンダー”など、彼らがこれまで最小限の音数で極限まで追求してきたスリリングなロック・ナンバーが鳴り響く。
「今日は特別だからね。やらないことばっかりしてるね。白シャツなんかもう着ないよ」と少し照れながらも昔はよく着ていた白シャツ姿で荒々しくギターをかき鳴らしていくワタル。この5年のDOESの進化を刻むように次々と繰り出される初期の名曲の中でも“光の街”や“眠れない夜に”“ステンレス”といったミドルテンポでスケール感たっぷりの聞かせる楽曲や、これまでのDOESの世界観を変えた“サブタレニアン・ベイビー・ブルース”のようなポップなナンバーが、徐々に進化していく中で彼らの間口を広げた楽曲として今も新鮮に響いているのが印象的だった。そして、早くも1部は後半戦へと突入。照れ隠しなのか、なぜか英語で「Next song is “Sunrise Again”!」と曲紹介すると、これぞDOESの真骨頂とも言える8ビートが炸裂する“陽はまた昇る”でフロアは拳の嵐に包まれた。そして、クライマックスはワタルの溜めて引っ張るようなギターのリフでオーディエンスを挑発した“曇天”!
最高潮に達したフロアの熱量を吸い上げるかのように3人は荒れ狂った爆音を叩きつけ、「第1部、完!」とワタルが言い残すと静かにステージを去っていった。
再び白幕が閉じ、ステージセット転換中にはこの5年間のアーティスト写真や年ごとに追っていったライブ写真、オフショット写真などで構成された映像が流され、フロアも懐かしさとともに振り返る。そして、いよいよ第2部がスタート。最新型のDOESともいえる、サポートにオサム(G)を加えた4人体制で主にアルバム『MODERN AGE』、そして最新作であるミニ・アルバム『FIVE
STUFF』からの楽曲をプレイ。「5周年記念のパーティーだからね、ちょっとおしゃれをしてみた」(ワタル)と黒スーツでビシッと決めた4人が現れ、前のめりに急かしていくようなケーサクのスネアから始まる“イーグルマン”で2部の幕が開けると、フロアは尋常ではないほどの熱気が立ち込めた。オサムのサポートギターを加えることで迎えた第2期のDOESは、3ピースの枠を超えた多彩で自在なバリエーションが武器だ。ストイックさを残しながらも自由に羽ばたくように楽しみながらプレイしているバンドの姿は見ている側としても嬉しい。ミドルテンポのダンスビートを組み込んだ“ユリイカ”やモータウン調の“天国ジャム”など変化に富んだリズムを盛り込みながらも、4人の音が複雑に入り組むことはなく、むしろ3人体制のときよりもシンプルなのではないかと思えるほどストレートに胸に響いてくるのが不思議だ。その最新曲たちが初期の“都会のスキル”や、さらに遡ったインディーズ時代の“ランプシュガー”などと並べられても全く違和感を覚えないのは、やはりこの5年間で着実に磨き上げてきたDOESサウンドが核にあるからなのだと思う。
「5年って長いようで短いようで、よくわからんね」とこぼしたワタル。続けて、「君たちも僕たちも今から、今日、ここからだから」と言うと、静かにギターを奏でる。“トゥデイ”だ。《それでもこれから始まる気がする/どこにでもあるような今日という日で》という素直な言葉が真っ直ぐ届く歌に、この5年を思い返すと同時にまた今日から始めようという漲るような活力を私たちに与えてくれる。演奏が終わると大きな拍手が鳴り響いていた。最近のDOESはシンプルに届く言葉を選ぶことでメッセージ性もより強まっていて、言葉の力を感じずにはいられない。「5年もこうやってやれているのも一重にあなたたちのおかげですよ。ありがとうございます」と素直に感謝の気持ちを述べるワタルが、なんだか大人になったなと微笑ましく思えてしまう。
BLITZベイビーは5周年ベイビーですかー! 今日も跳ぶか。跳べ! 跳べ!
レイジー・ベイビー!」というワタルの煽動から4つ打ちダンスビートでフロアが揺れに揺れた“レイジー・ベイビー”という怒涛の畳み掛けから、さらに追い打ちをかけるように“バクチ・ダンサー”でフィニッシュ!
クライマックスで眩いほどの赤と金の紙吹雪が発射され、バンド5周年を祝うに相応しい盛大な演出となった。
アンコールはDOES節全開、切れ味抜群の“ジャック・ナイフ”で会場を切り刻むかのような鋭さを見せたかと思えば、「愛を叫ぼう
愛を叫ぼうよ!」とこれまでのDOESにはなかったようなテンションで会場一丸のシンガロングが沸き起こった“タイニー・パンク”をプレイし、またも感動的なシーンを彩った。そして、時間ギリギリまでオーディエンスのアンコールに応えようと、ダブルアンコールでは新曲“今を生きる”を披露。シンプルなリズムにシンプルなコード進行、そしてなんと言っても「今を生きる」というシンプルな言葉が突き刺さる、これからのDOESのアンセムになり得る素晴らしい楽曲を届けてくれた。初めて聴いたにもかかわらずオーディエンスは拳を突き上げながら嬉々と笑顔で盛り上がっていたのが印象的だった。そして、最後の最後は“修羅”で約3時間にわたるアニバーサリー・ライヴは大団円を迎えた。バンドにとって長いようで短く、様々な出来事があった5年という区切りを超えて、次の5年に向けてのさらなる飛躍が期待できる幸先のよいスタートを切った日となった。(阿部英理子)
[セットリスト]
1部
1.明日は来るのか
2.シンクロニズム
3.戯れ男
4.田舎のライダー
5.ワンダー・デイズ
6.デイ・サレンダー
7.サブタレニアン・ベイビー・ブルース
8.愛がみえた
9.光の街
10.オーライとオーイエ
11.眠れない夜に
12.ウー・アー
13.ステンレス
14.陽はまた昇る
15.世界の果て
16.曇天
2部
1.イーグルマン
2.ウォークマン
3.ロッカ・ホリデイ
4.ユリイカ
5.都会のスキル
6.天国ジャム
7.ランプシュガー
8.欲望
9.スーパー・カルマ
10.神様と悪魔と僕
11.トゥデイ
12.夜明け前
13.僕たちの季節
14.黒い太陽
15.レイジー・ベイビー
16.バクチ・ダンサー
アンコール1
1.ジャック・ナイフ
2.タイニー・パンク
アンコール2
1.今を生きる
2.修羅