OKAMOTO'S @ SHIBUYA-AX

東名阪ツアーや多くの対バンに引っ張りだこだった春、全国各地のフェス&イベント出演、自主企画ライヴも開催した夏、そして9月には待望の3rdアルバム『欲望』をリリースするなど1年を振り替えるにはまだ早いが、今年はかなり多忙なスケジュールだったであろうOKAMOTO'S。今夜は、全14公演からなる秋のワンマンツアー『OKAMOTO'S Tour 2011“KICK OUT THE EYES”』、会場はSHIBHUYA-AX。12月に沖縄公演を残しているものの、ツアーとしてはひとまずファイナルと言っても差し支えないだろう。すでに破竹の勢いでシーンを座巻しまくっているオカモト・フォー、久々の東京公演。多忙なシーズンを乗り越え、今夜はどんなロックンロール・ショーを見せてくれるのか。オーディエンスは渇望感と高揚感の分厚い熱気を放ちながら、今か今かと開演を待っている。

岡本太郎「太陽の塔」が睨みを利かせる(オカモトショウ談)バックドロップのステージに、定刻18:00を少し回った頃にメンバーが登場する。沸きあがる大歓声に「いくゼ!シブヤァァァ!」とオカモトショウの咆哮一発、オープナーは“アイのテーマ”である。雷鳴のようなバンドのユニゾン・コーラスでがっちりとオーディエンスを焚きつけると、早速お返しとばかりにサビの「アイー・アイー・アイー」でフロアから特大のシンガロングがぶち上がった。続いて前のめりなビートの上をコウキのギター、ハマのベース、ショウのブルースハープがぶつかり合い転げ回る“スマッシュ”へ。にしても、相変わらずこの堂々とした立ち振る舞いはどうだ。全員90年代生まれ、まだ20歳そこそこの若い4人から欲望のままに吐き出される青臭いロックンロールが、10年選手並の圧倒的なクオリティをもって鳴らされ、ポピュラリティを獲得しているという事実。もちろんロックンロールの初期衝動のみでひた走るわけではなく、ねっとりとしたコウキのカッティング・ギターで幕を開けフロアの腰をじっくりくねらせるファンク・チューン“オ・マ・エ”など、時には立ち止まって周りを見渡す余裕も感じられる。

「ドウモ! 新宿からやってきたオカモトズです! よろしく!降ってた雨も止んだことだしオレらは晴れ男だゼ、イエー! ついてこれるか? おい! おい! そんなもんじゃねーだろ!」相変わらずMCでは歌っているように喋り倒すショウ。「カモーン!レイジ!」を合図に、ここからはファストなロックンロール・ナンバーが矢継ぎ早に投下されていく。満場のフロアがショウと共に「やりたいだけ!」と絶唱する“恋をしようよ”、原曲2割増しの超速ビートでカヴァーされたリンク・レイの“Run Chicken Run”、ハマの攻撃的なベースラインがこれでもかと敷き詰められた“The“M”Song”、ブルージーなガレージロック“まじないの歌”。偉大な先人達が鳴らしてきたロックンロールを力ずくでのりこなし、そのストレートな本質をこの時代にぶちかますという彼らのスタイルが単なる音のコスプレ化に成り下がらないのは、ロックンロールを転がすのではなく、聴き手を巻き込んで転がる彼ら自身がロックンロールそのものだからだ。それは彼らのビートを全身に浴びながら拳を振り上げ、飛び跳ね、汗だくになって踊るフロアのオーディエンスを見ればわかる。最高に爽快で、最高に気持ちの良いライヴだ。このレポートがなければ僕も今すぐビールをかっ喰らってその輪に飛び込みたいくらいに。

もちろん、それぞれが異なる演奏個性とキャラを爆発させた4人のプレイヤビリティの高さは言うまでもない。(この演奏個性とキャラ立ちの両立はザ・フーのよう)必殺リフから小気味良いファンキーなカッティングまで多種多様なサウンドを憑依的なギタープレイでぶん回すオカモトコウキ(G)。ハイ・ポジションにベースを構え、超絶フレーズを弾きまくる直立不動のクール・ガイ、ハマ・オカモト(B)。18番のスタンディング・ドラムはもちろん、絶えずセットを蹴り飛ばしそうなフォームで叩き出すドラム・アスリート、オカモトレイジ(Dr)。そして3人の超ド級アンサンブルに色艶と情熱を吹き込む天性のヴォーカリスト、オカモトショウ(Vo)。何より「オレらが聴かせたいのは歌やメロディだけじゃないぜ、グルーヴやビートも忘れんなよ」という気迫がパフォーマンスからビシバシ伝わってくるのだ。

7曲を終えると「オレ以外のメンバーとオレが少ししゃべるコーナー」(これまではオレ以外のメンバーがしゃべるコーナーだったため一応、新コーナーらしい)とショウが題した恒例のMCタイム。サンボマスターと同じ事務所になったことから(オカモトズが先に所属しているためサンボは後輩になります)山口隆に「今度いつごはんおごってくれるんですか」と詰め寄られた話、マキシマム ザ ホルモンとの対バン話、サカナクションの福岡公演を観ていたら終演後ハマが「ハマ・オカモト二階席で目立ちすぎワロタwww」とツイートされたtwitter話、ショウのお約束外人扱い話などなどすべらない話を連発。で、メンバーがお互いに一挙一動を片っ端から拾ってリアクション&突っ込み&ネタを無軌道に広げていくものだからもういちいち面白い、腹がよじれるくらい笑いました。トークはハマが仕切ってハマがメンバーに突っ込んでいくのが基本だが、気が付けばハマがいじり倒されているのはお家芸の域。と、彼らの年相応の表情が見て取れる一幕なのだけど、MCコーナーひとつとっても本編のパフォーマンスに見劣りしない、安心のクオリティなのである。(ライヴのDVD化の際にはMCの収録もぜひともお願いします)

“Pump It Up”、“Give It Away”と白眉のカヴァー・メドレーでフロアを今一度沸点に押し上げた後は、ショウが自分自身に宛てて書き上げたというミディアム・バラッド“手紙”。ショウのあどけない部分を抽出したような声と詩世界が3人の美しく練り上げたアンサンブルと結実し、フロアに「聴き入る」というOKAMOTO'Sのライヴにおける新鮮な風を吹き込んでいった。そして本編ラストのクライマックスは、“マダラ”、“欲望を叫べ!!!!”、“Run Run Run”の三連打。特に“マダラ”のミッドセクションではメンバー全員がぐるっとドラムを中心に円陣を組んみ、ショウが3人のアンサンブルを全身で受け止めタクトを振るアクションで音を統率、解放していく。まるでZAZEN BOYSお得意の楽器組手~ジャム・セッションのようだが、そこはさすが超ド級の演奏スキルを持つOKAMOTO'Sの面々、しっかりと様になっている。何気にすごいぞ、おい。しかもループする各楽器の音像が交錯し、音圧が徐々に膨れ上がる瞬間はなんとも奇妙なサイケデリアが描かれ洪水のようなトリップが一気に押し寄せる。単純に盛り上げただけでは終わらないOKAMOTO'S独特のカタルシスが滲み出る今宵のハイライトであった。

アンコールはフロントマンの外人(ハマ談)がお着替えドレスアップをしている間、3人の物販紹介で始まり“Future Eve”、“Beek”、“笑って笑って”の3曲でライヴは大団円を迎える。約2時間の濃密なOKAMOTOショウはこうして幕を閉じたわけだが、この日披露された全16曲は、そのすべてが眩しい陽性のエネルギーを放っていた。彼らのロックンロールに散りばめられたエモーションの形は、ただ楽しいだけという空虚なものであるはずもなく、たとえそこに時代への焦燥、苦悩、怒りを内に秘めていたとしても、自ら笑顔で音楽を鳴らしダンスしながら打破していくパワーが宿っている。そして彼らは、音楽が「音」だけでなく人前で表現するという「ショウ」としてどうあるべきかということが意識的ではなく感覚的にわかっているのだろう。ロックンロールの未来なんて言葉が空しく空回り続ける時代であったとしても、彼らのライヴを観た後では胸を張ってそう言い切れるほど晴々とした気分になれるのだ。本当に最高のライヴだった。

なお、今後のOKAMOTO'Sは、10月26日に日本武道館で行われる『ジュンスカ×ユニコーン』のライヴにオープニング・アクトとして出演、多数のイベントや学園祭に出演しながら11月からは香港・台湾・ベトナムのアジアサーキット・ツアーも決定している。これからもこの1人の外国人と3人の日本人(ハマ・オカモト談)から目が離せそうにないです。(古川純基)

セットリスト
1.アイのテーマ
2.スマッシュ
3.オ・マ・エ
4.恋をしようよ
5.Run Chicken Run
6.The“M”Song
7.まじないの唄
8.Pump It Up
9.Give It Away
10.手紙
11.Insane Man
12.欲望を叫べ!!!!
13.Run Run Run

アンコール
1.Future Eve
2.Beek
3.笑って笑って
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