スクール・オブ・セヴン・ベルズ @ 渋谷O-WEST

スクール・オブ・セヴン・ベルズ @ 渋谷O-WEST - All pics by AZUSA TAKADAAll pics by AZUSA TAKADA
スクール・オブ・セヴン・ベルズ @ 渋谷O-WEST
2010年にデヘーザ姉妹の双子のかたわれ、クラウディアの脱退によりアレハンドラとベンジャミンの2人組となったスクール・オブ・セヴン・ベルズ。クラウディアの脱退直後の来日だった2年前の渋谷WWW公演ではサポートドラマーの力を借りての暫定的、過渡期的なパフォーマンスを見せた彼女達(それでも素晴らしい内容ではあった)だったが、今回はアレハンドラとベンジャミンに加えてドラム(元ソフトのクリストファー・コリー)、キーボード&コーラス(ペインテッド・フェイスのアリー・アルヴァラド)をプロパーに配したチームでの再来日公演となった。

開演の8時を少し回ったところで登場したのは今日のゲスト・アクト、Ametsub。東京を拠点に活動を続けている彼のステージは、シンプルにラップトップと背後の巨大スクリーンからなり、延々と荒涼たる一本道を行くドライビング映像と、果てしない反復の中に哀しみや孤独を閉じ込めたエレクトロが織りなすそれは壮大な物語のようで、ラストにスクリーンに「The Nothings of 66」とタイトルが映し出される頃にはまるで一遍の長編映画を観終わった後のような余韻に身体が包まれる。スクール・オブ・セヴン・ベルズの新作『ゴーストーリー』も「ラファイエ」なる少女と幽霊の交感を描いた御伽のコンセプト・アルバムだったわけだけれども、この日の渋谷O-WESTはもしかしたら一夜を通して「物語」を魅せるスペシャルなものになるんじゃないか――Ametsubは、そんなことを予感させるゲスト・アクトだったと思う。

そして9時をこれまた少し回ったところで遂にSOSBがステージに登場する。黒髪をタイトなショートボブにまとめたアレハンドラはますます美しく、大ぶりでデコラティヴなジュエリーを身に付けたその姿はアールデコ期のイラストから抜けだしてきたかのような迫力ある美人っぷり。その横のベンジャミンも相変わらずのナード系美男子で、このデュオは本当にフォトジェニックだし、そのヴィジュアルも含めて自分達の耽美で浮世離れした世界観を体現しまくっている。加えて前述の通り、今回はドラムにクリストファー、シンセにアリーを配した4人体制、ライヴ・バンドとしては2009年のサマーソニック来日以来となる盤石のフォーメーションでのステージである。

イントロから“Iamundernodisguise”へ、前作『ディスコネクト・フロム・デザイア』より顕著になってきたエレポップが牽引する出だしだ。この後も公演を控えているので詳しいセットリストの記載は控えるけれども、端的に言えば『アルピニズムス』のシューゲイズから『ディスコネクト・フロム・デザイア』のエレポップ&ニューウェイヴへ、そしてそれをさらに推し進め、ビートの面白さやエッジの切れ味を追求した『ゴーストーリー』へと進化してきたスクール・オブ・セヴン・ベルズの現在形をリアルに反映したパフォーマンス。彼女達のライヴ・パフォーマンスでここまで陶酔より覚醒を感じたのは初めてだったし、ここまでギターとキーボードが等価に鳴っているステージも初めてだ。サイケデリックなギターのレイヤーに象徴されるスクール・オブ・セヴン・ベルズ流ウォール・オブ・サウンドの平面に起伏が生じ、ガリガリとそこから立体が削り出されていくような興奮を感じる。ベンジャミンのギターは緩急の表情がより豊かになり、ロックンロール的なリフの格好良さも立ち現れるようになっている。アレハンドラとベンジャミンの2人で作った新作『ゴーストーリー』によって、SOSBはようやく2人組としてのアイデンティティを確立できたのだろう。

スクール・オブ・セヴン・ベルズ @ 渋谷O-WEST
スクール・オブ・セヴン・ベルズ @ 渋谷O-WEST
そう、『ゴーストーリー』に纏わる最大のトピックであり、2人組としてのスクール・オブ・セヴン・ベルズのアイデンティティ確立の上でどうしても避けては通れなかったのが「ハーモニーの消滅」というテーマだった。アレハンドラとクラウディアという双子の美人姉妹が上に下に絶妙に旋律を分け合いながら声を重ねる、その幽玄美には理屈を超えた魅力があったのは確かで、それが失われたことでスクール・オブ・セヴン・ベルズの構造が抜本的に変化するのも当然だった。『ゴーストーリー』とはまさにその変化を彼女達が勇気を持って受け入れたアルバムだったし、ハーモニーの代わりに生まれたのが、この日のライヴでも顕著だったギターとキーボードの拮抗による新たなスリルだったのだと思う。

その一方でラッキーだったのはアリーが予想以上に歌える人だったことで、どうしてもハーモニーが必須な『アルピニズムス』のナンバー等ではこの日もアレハンドラとの見事なハモりを聞かせてくれた。そして本編ラストの“My Cabal”へと続く最終コーナーの数曲、“White Wind”や“Low Times”といった『ゴーストーリー』からのナンバーは特に素晴らしく、4つ打ちの反復ビートにフリーキーなリフが絡みつき、徐々にカオティックに拡大していく様は、これまでのスクール・オブ・セヴン・ベルズのパブリック・イメージである耽美・幽玄・陶酔といったものをブチ壊すくらいの野蛮な迫力に満ちていたと思う。

今日は大阪、明後日は再び東京公演が控えています。「ネオ・シューゲイザーの頭目」とみなされてきたブルックリンの耽美派の大胆な変貌のステージ――それは必見の内容になっていると思うので、迷っている方はぜひ足を運んでみてください。(粉川しの)

Intro
Iamundernodisguise
The Night
Windstorm
Bye Bye Bye
Love Play
White Elephant Coat
Lafaye
Scavenger
I L U
White Wind
Low Times
My Cabal
- encore-
Half Asleep
Sempiternal/Amaranth

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