桃野:「ちょうど5年前の今日メジャー・デビューしました!」
ヒダカ:「あっという間だったね」
桃野:「あんた1年半しかいないでしょ!」
という掛け合いで序盤から笑いを取った、MONOBRIGHTのデビュー5周年記念ツアー「LIVE-RALLY」の初日。これまでもファン投票を反映した選曲のライブをやったり、全曲新曲ライブをやったりと、さまざまな企画でオーディエンスを楽しませてきた彼らだが、今回はスペシャルな仕掛けがてんこ盛り。事前にアナウンスされていた目玉企画のリクエストコーナー(開演前にオーディエンスに「演奏してほしい曲」を投票してもらい、ステージ上でメンバーが投票箱から引き当てた曲を演奏するガチンコ企画)に加え、新曲の披露やゲストの登場、果てはニュー・アルバムに関する驚きの告知も飛び出して、アニバーサリー・ライブに相応しい大祝祭会となった。
開演時刻を5分ほど過ぎた頃、ドット柄腕章付き黒ワイシャツ+白ネクタイ+サングラスという、お馴染みの出で立ちで登場した5人。桃野の「5周年だぜ、渋谷―!」というシャウトからオープニング・チューンへ突入すると、フロアはたちまちハンドクラックとオイ・コールに満たされる。ツアー初日のため曲目を明かすことはできないが、序盤は初期ナンバーの連打。イントロが鳴るたびに大歓声が沸き起こる展開で、壮大な祝祭ムードが築かれていく。なにより胸が躍るのは、5人体制になってグッと厚みを増したグルーヴの威力。桃野とヒダカが中心となってフロアを煽りまくる怒涛のパフォーマンスも手伝って、半ば暴走気味なテンションで会場全体が絶頂に導かれていくさまは痛快なほどであった。さらにふたつの新曲も披露。くんずほぐれつの性急なアンサンブルが場内を駆け巡った曲、「オーライ!」のシンガロングと瀧谷の手による祭り太鼓がダイナミックに炸裂した曲、どちらもフロアを一撃で揺さぶる即効性抜群のナンバーで、フロアを上下左右にオーディエンスが飛び跳ねまくる芋洗い状態に変えていた。
……と、バンドの過去と現在を見せつけたところで迎えたMCタイム。ここでは、ヒダカの口から驚きの告知が行われた。それは、8月14・15日に新代田FEVERで行われるワンマン・ライブで、ニュー・アルバムのレコーディングを行うということ。つまり、オーディエンスの目の前で全曲新曲のライブを行い、その音源をまんま5枚目のオリジナル・アルバムにしてしまおうというのだ。そんな仰天企画の発表を受けて、「おおー!」とどよめくオーディエンス。しかし、今までも何でもアリの展開でバンドを力強く推し進めてきた彼らにとっては、これも単なる通過点に過ぎないのだろう。現に、1年半という短期間で2枚のフル・アルバムのリリースと3回の全国ツアーの開催を含む10個の公約『monobright DO10!! 攻約宣言!』(詳細はコチラ:http://ro69.jp/news/detail/30968)を果たしたり、下手したらバンドそのものが「喰われる」リスクを孕む強烈な個性の持ち主=ヒダカトオルをバンドに迎えたりと、他のバンドであれば無謀とも思える展開を見せる中で個々のスキルが鍛え上げられ、バンドの地力は飛躍的にアップした。今回発表された試みは、そんな彼らの新たなる所信表明。5周年という節目のときに甘んじず、さらなる挑戦を課すことでバンドをビルドアップさせようとするストイックな精神が、なんともMONOBRIGHTらしいではないか。
そして注目のリクエストコーナーへ。まずは“夏メロマンティック”の投票用紙が引き当てられ、夏の匂いをふんだんにまとったノスタルジックなメロディが、場内に涼やかな風を吹かせていく。そして次に引き当てられたリクエスト曲は、これまた夏にピッタリのナンバー“boy”。奇しくも最高気温30℃の真夏日となったこの日、夏をテーマにしたリクエスト曲を立て続けに引き当てた桃野はご満悦の様子。さらに“まぼろし”“週末アンセム”“Timeless Melody”と立て続けに披露してリクエストコーナー終了。桃野が投票者の名前を読み上げるとフロアから「はーい!」と投票したお客さんの手が上がったり、メンバー間の乗り突っ込みトークに笑いが起こったりと、バンドとオーディエンスの垣根を越えてフレンドリーな一体感を築いていくMONOBRIGHTの魅力がギュッと濃縮された時間だった。
終盤では、再びアッパー・チューンの乱れ打ち。肉感的なグルーヴやセンチメンタルなメロディが次々と放たれて、壮絶なダンスホールと化した場内をカラフルに染め上げていく。そして「北海道から上京してシャカリキにやってきた気持ちを歌った新曲です」という桃野の前振りから、夢に向かってまっしぐらに突き進む想いを乗せたストレートなギター・ロックが放たれて本編終了。アンコールでは、メンバーと同じ衣装に身を包んだbloodthirsty butchersの吉村秀樹がスペシャル・ゲストに登場! 彼がゲスト参加した浮遊感たっぷりの新曲“ソシアル(仮題)”を披露して、フロアに心地よい横揺れを誘っていく。そして再び5人に戻った後は、強力なダンス・ナンバー2曲を叩きつけて完全燃焼! ダンスに次ぐダンスの肉弾戦と化した今夜の勢いもそのままに、本ツアーは7月25日の大阪・JANUS公演まで全速力で駆け抜ける。(齋藤美穂)
MONOBRIGHT @ 渋谷CLUB QUATTRO
2012.07.04