ステージ登場の際のSEに、恐れ多くもオアシスの“ドント・ルック・バック・イン・アンガー”を使ってみせるようなバンドである。バーミンガム出身のツイン・ヴォーカル5ピース、ザ・トゥワング。このオープニングSEの選択こそ、このバンドの性格を端的に物語っているが、すべてはクライマックスでなければならないし、そして、それは何よりもおれらの歌でなければならないという、そんな信念を持ったバンドである。実際、今日のライヴもそんなアティテュードそのままのものだった。
新人にとっての初の単独来日公演だとかいう力みはまったくなし。ヴォーカルの2人、フィルとサウンダースは最初から千鳥足である。そして、ステージ上でもしこたま飲む。遠目からではグラスの中身がエールなのかワインなのか判別がつかなかったが、ライヴ中のローディーの主な仕事は、アルコールを間断なくフィルとサウンダースに供給すること、そして、フィルが倒しそうになるマイクスタンドを元に戻すことである。と書くと、どうしようもない酔っ払いのライヴのように思うかもしれないが、これが実にいいのだ。
スタイリッシュなたたずまいだとか、批評家の評価だとか、なにかの賞を貰うだとか、そんなことはこのバンドにとってどうでもよくて、うだつのあがらない日々のなかで今日の夜を目の前にいるオーディエンスと盛り上がれるかどうか、そこにすべてを賭けているバンドである。UKのように曲の度に合唱が巻き起こる状況ではなかったが、フィルとサウンダースのちょっとした仕草からそんな彼らのバックグラウンドが嫌味なく伝わってくる。そして、この手のバンドにしては異常に演奏がしっかりと安定しているのは、北部イングランド人としてのプライドだろう。
本編最後にアンセムの“ワイド・アウェイク”を持ってきたライヴ。俺は、このバンドどうにも好きだな。(古川琢也)
ザ・トゥワング @ 渋谷クラブクアトロ
2007.12.05
