Yutaka Furukawa @ 渋谷CLUB QUATTRO ゲスト:ART-SCHOOL

Yutaka Furukawa @ 渋谷CLUB QUATTRO ゲスト:ART-SCHOOL
「Yutaka Furukawa QUATTRO 3days ~first communication~」と銘打たれたこの渋谷CLUB QUATTRO 3デイズを足がかりに、元DOPING PANDAの古川裕 a.k.a. ロックスターがいよいよソロ・アーティストとして始動する。昨年4月のドーパンのラスト・ライブ(レポートはこちら→http://ro69.jp/live/detail/66808)から約10ヵ月。筆者含め、この日を待ちわびたメイニアもきっと多いことでしょう(実際3デイズ初日はチケット完売!)。各日一組のゲスト・バンドが招聘されていて、初日(1月26日)はQUATTROが、2日目(1月29日)は“ヘルマンズ”ことHermann H.&The Pacemakersが、そしてこの夜の3日目はスターの悪友(?)木下理樹率いるART-SCHOOLが先陣切ってステージに登った。

冒頭から4人は、“ロリータ キルズ ミー”“BABY ACID BABY”と矢継ぎ早に轟音を叩きつけて急加速。中尾健太郎のダイナミックかつ荒々しいベース・プレイも視覚的にオーディエンスを煽り、フロア前方では熱烈なコブシも突き上がる。フロントの木下は生憎ノドが本調子ではなかったようで、思うように発声できず苦しそうな場面も見受けられたが、振り絞るように歌う様は鬼気迫るものがあって苛烈なバンド・サウンドと共に観る者を圧倒。何と言ってもこの日いちばんのトピックは、3月13日にリリースを控えたミニ・アルバムからの新曲群だろう。立て続けに披露された2曲の前者は、暴力的ともいえるアンサンブルが強力な高速BPMナンバー。一転、後者は可憐なアルペジオが煌びやかに舞うミドル・チューン。新曲といえど試運転といった様子は微塵もなく、完全に血肉化されたヴァイタリティと説得力溢れるプレイでオーディエンスに鮮烈な印象を残した。「あいつ(Furukawa)が音楽シーンに復帰して、僕はすごくうれしかったですよ」「あいつは本当に性格が悪くて。根っこから腐ってるんで……。けど、俺は大好きです。今日はとても感慨深いです」(木下理樹)とMCでもスターの門出を祝福して(いささか屈折したアプローチだけれど・笑)、場内を十二分に過熱したアートだった。

Yutaka Furukawa @ 渋谷CLUB QUATTRO ゲスト:ART-SCHOOL
しばしの転換後の20時10分。暗転と共にトランシーなSEが流れるなか、バックバンドに続いて白シャツ姿のスターが登場! ワームアップ的なセッションからマニフェスト・ナンバー“too young to die”に雪崩れ込み、力強いグルーヴと旋律が場内をみるみるヒートアップ。まさに宣言そのものの《I’m too young to die!》のシャウトはもちろん、《あの丘の向こう側を確かめてみたいのさ》という一節にも胸が高鳴る。続く“BEAST”では、ひと足早くMVが公開中ということもあって享楽的かつダンサブルなビートと共に大沸騰! 早くも笑顔と歓喜に溢れた渋谷クアトロである。そう、この日のライブはとにかくスターの再始動を祝福する温かくもハッピーなヴァイブスに満ちていて、捻くれ者のスターも「幸せ者です」と素直に歓びを口にしていたのが印象的だった。そんな歓待ムード一色だったからか、MCでは「不安だったんだよ、俺」と赤裸々な胸中も告白――「マジで。やっぱりミュージシャンっていうのは、ここ(ステージ)に立って歌わないと不健全というか、ダメだね。そういう一年間でした」。続けて、「もうやるから! 期待しまくってほしいですよ!」と気勢を上げて 、口々に声援を送るオーディエンスには「素人が勝手に喋ってんじゃないよ!(笑)。君らと俺らで段差があるでしょ? それはやっぱり、何かが違うからですよ」と早くも普段のビッグマウス全開。「I'm ROCK STAR!」との高らかなシャウトも!

この日バックを務めたのは、ベースに村田シゲ(□□□、CUBISMO GRAFICO FIVE etc)、ギターに新井弘毅(ex.serial TV drama)、ドラムにカディオ(QUATTRO)という面子で、「これからもこの4人でやっていきたい」とスターも絶対的信頼を寄せる腕利き揃いのメンバーだ(事あるごとにスターに話しを振られるシゲは、「あまりにもMCを俺に頼りすぎてる!」とオカンムリでしたが・笑)。“punish me, hold me”“雨がやんだら”など、このクアトロ3デイズから販売されたソロ初音源『too young to die』収録曲はもちろん、MEGに提供した“LOVE EMOTION”なども交えて、4人は盤石のアンサンブルで右肩上がりにフロアを沸かせる。中盤には、スターひとりでの弾き語りコーナーも。「俺が書いた曲だから、歌いたいんですよ」とドーパン・ナンバーを披露し、ジョン・メイヤー顔負けのアコギ・プレイで歌われた“the miracle”では盛大なコール&レスポンスも交わされ、ファンとの絆が改めて浮かび上がるような心温まるシーンを描いた。

アンコールではサプライズも用意されていて、なんとHUSKING BEE不朽の名曲“WALK”をカバー! なんでも昨年12月に実質的ソロ1発目としてハスキンのツアーにゲスト出演した際、「古川くんに捧げます」と磯部氏が“WALK”を奏でてくれたそうで、いたく感動したスターは「クアトロで演ります!」と宣言してしまったとか(原曲に忠実なアレンジがリスペクトを如実に示していたように思う)。そして最後には、「木下理樹、ありがとう!」と盟友に感謝を届けて、再びの“too young to die”で3デイズは大団円……いや、むしろこう記すほうが適切だろう。Yutaka Furukawaのソロ・キャリアが華々しくスタート!と。「この4人でレコーディングしたい。全国ツアーがしたい! そう遠くないと思うよ!」とスター自身のはやる気持ちに期待が高まらずにはいられない、実に頼もしい快演だった。(奥村明裕)
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