ジャパンドロイズ @ 渋谷WWW

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ジャパンドロイズの、余りにも熱く人間味溢れるライヴ・パフォーマンスを味わう夜だった。昨年、2作目のアルバム『セレブレーション・ロック』を携えてフジ・ロックで悶絶モノのショウを繰り広げたこのカナダ/ヴァンクーヴァー出身のロック・デュオが、豪州、韓国を巡って日本では東京と大阪でのツアーを敢行。初のワンマン来日公演である。一時たりともヴォルテージが下がることのない約1時間半を駆け抜ける大熱演。翌2月19日には大阪でのステージが控えているので、参加予定の方は以下、レポートのネタバレにご注意を。

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劇場風の階段状になったフロアへと詰めかけたオーディエンスの歓声を浴びながら、まずはブライアン(Vo./G.)が自分自身とデヴィッド(Vo/Dr.)を紹介し、東京での初ライヴの喜びと来場者への感謝の言葉を投げ掛ける。そして“Adrenaline Nightshift”から2ピースの性急なロックンロールが転がり出していった。デヴィッドの鋭角に決まりまくるビートの連打の中、“Fire's Highway”では早々に雄々しく高らかなコーラスも沸き上がり、ブライアンは昂るほどにギターのカッティングが猛烈な速度で踊りまくる。彼のウェーヴがかった髪の毛が、瞬く間に濡れてしまうほど初っ端から全力のパフォーマンスだ。

まるでブロック・パズルのように積み上げられた、フェンダーやハイワットのギター・アンプとアンペグのベース・アンプ。そこから繰り出されるギターの爆音とソリッドなビートが雷鳴のようなコンビネーションを形成し、『セレブレーション・ロック』からシングルとしてリカットされることになるキラー・チューン“The Nights Of Wine And Roses”では、舞い上がるような高揚感の中でオーディエンス(外国人客と思しき面々を筆頭に)が歌声を上げる。酒とタバコ、憂鬱と逃避、そしてロマンチックな旅路の情景。今時珍しいぐらいにロック的なロマンを引き受けるジャパンドロイズの歌は、爆音とスピード感の中でキラリと輝くソング・ライティングの確かさと相まって、大きな一体感をもたらしてくれる瞬間が多々ある。ブライアンはバスドラに腰掛けて体を固定し、目一杯激しく弦を搔き毟ってみせる。

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強烈なドラム・プレイとは裏腹に、「アリガト、アリガト」と淡々としたマイペースな人柄を覗かせるデヴィッドも面白い。自らメインで作曲を手がけた“Rockers East Vancouver”ではメイン・ヴォーカルを担当し、途中でビートをスロウ・ダウンさせてグルーヴに抑揚をつけてみせる。「新しい曲をもっとやってくれよ!」といった外国人客の声には「ん? いや、俺たち古い曲をやるんだよ。オールド・ソングをね」と軽くいなすのも彼の役目。これまた男臭いロマンを振りまく“Wet Hair”を披露するときには、ブライアンはギターのボディに貼られた2枚の写真を指して「これ、俺のお爺ちゃんとお婆ちゃんの、結婚式とハネムーンのときの写真だよ」と説明してくれていた。

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バンド名にせよ、作品群の周到なアートワークにせよ、僕はジャパンドロイズについて、とても計算高く、デジタルな知性で現代的なロックンロールを創造してきたグループなのだと思い込んでいた節がある。高度な知性については否定する訳ではないが、しかしそれ以上に、今回のライヴの中で印象深かったのは彼ら2人の人間味だった。デビュー・アルバムのタイトルとなった『ポスト・ナッシング』(誰の後釜でもない)という宣言は、突然変異で生まれたニュータイプのロックンロール・バンドというよりも、記号化されない、ロックンロールを愛する生身の人間として解釈すべきだったのかも知れない。デヴィッドのドラム・ソロが挟み込まれる“Evil's Sway”の後、 ブライアンが嬉々として説明しながらマクラスキーのカヴァー“To Hell With Good Intentions”を熱演し、デヴィッドが「ちょっと退屈だった?」と気にしているような場面もいちいち茶目っ気を覗かせていた。もちろんフロアからは「最高だよ!!」と返されていたが。

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興奮とスリル、情感を分かち合うことが出来る最少の編成=2人の渾身のパフォーマンスがオーディエンスに伝播し続け、ギターの轟音の中から美しい音響がキラキラと余韻を残す“Young Hearts Spark Fire”では、ブライアンが衝動任せにオフマイクのシャウトを繰り出す。右肩上がりにひたすらヒートアップしていったステージを締め括るナンバーは、ザ・ガン・クラブのカヴァーで《お前は地獄からやってきたエルヴィスみたいだ》と歌い出される“For The Love Of Ivy”だ。ジャパンドロイズのロックには、ソニックスもストゥージズも、ヴォイドイズもダムドもフガジもピクシーズもロイヤル・トラックスも息づいていると思う。しかし彼らは誰の後釜でもない。誰とも括られることはない。ただ、今日にも最高に熱くてロマンチックなロックンロール・デュオがいるというだけだ。

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フジのときと比べると、若干音圧が低かった(あの堆く積まれたアンプは、音量よりも鮮やかに広がって届けられる音響効果を目的としているはず)のは少し心残りだったが、全17曲、アンコールなしでビシッと締め括ったのち、名残惜しそうにフロアで待ち続けるオーディエンスのために、ブライアンとデヴィッドは改めて挨拶に出てきて、一人一人と言葉や握手を交わし、或いはサインをしたりしていてどこまでもフレンドリーだった。3月後半からはザ・ガスライト・アンセムと帯同してEU諸国を巡り、4月にはコーチェラ・フェスへの出演(ストーン・ローゼズ&ブラーがヘッドライナーの日)が控えているが、ぜひまた近いうちに日本でのライヴを行ってほしい。(小池宏和)

01 Adrenaline Nightshift
02 Fire's Highway

03 Art Czars
04 The Boys Are Leaving Town
05 The Nights Of Wine And Roses
06 Rockers East Vancouver
07 Younger Us
08 Heart Sweats
09 Wet Hair

10 Evil's Sway

11 To Hell With Good Intentions
12 The House That Heaven Built

13 Crazy/Forever
14 Sovereignty
15 Continuous Thunder

16 Young Hearts Spark Fire
17 For The Love Of Ivy
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