1月に4thアルバム『1-2-3』をリリースしてから、ちょうど半年。THE BAWDIESは彼ら史上初であり最大規模となる全国全県ツアーを廻ってきた。そして、全59公演中、57公演目となる横浜アリーナに辿り着いた。会場に足を踏み入れると、年齢もファッションも様々な人たちが、高揚感に満ちた表情を浮かべて開演を待っている(特に印象的だったのは、50代くらいとおぼしき夫婦。揃ってTHE BAWDIES Tシャツを着ていて、可愛かったなあ)。開演を告げるアナウンスが終わると、待ち切れない感情を込めた拍手が起こり、いよいよ客電が落ちる。
ステージに現れた4人は、真っ赤な幕とでっかい電飾というゴージャス且つ、彼らの世界観にピッタリなセットに囲まれながらも、まるでライヴハウスみたいに真ん中にギュッとまとまる。そして、前触れもなく演奏をスタート。でも、それだけで、このでっかい会場をロックンロール・ワールドに染めてしまうくらいの力を、いつの間にか彼らは身に付けていた。“ROCK ME BABY”や“LEMONADE”といった、タイアップの付いた楽曲では、その華やかな盛り上がりに、誰もが知る楽曲の力を痛感したけれど、それ以上に彼らの根本的な魅せ方が進化しているような気がする。例えば、“JUST BE COOL”でTAXMAN(G&Vo)がステージの端まで来て、ギターを弾いて始まった場面。凄くシンプルなんだけど、どんな人のテンションも上げてしまう、ロックンロールのツボを心得た動きを、彼らはでっかい会場でも自然にやりきっていた。ステージの左右には丸いスクリーンがあったのだが、ライヴの序盤には何も映し出されていなかったにもかかわらず、後方のオーディエンスまで踊っているのが見えたくらいだ。
最初のまとまったMCの口火を切ったのがMARCY(Dr&Cho)というところも、嬉しい驚きだった。まあ「ありがとうございます………もうないよ」だけだったけれど! ROY(Vo&B)には、ツアーがはじまった頃に、たった2行のコーラスを覚えられないと相談していたことも暴露されていたけれど! そんな愛らしいキャラを、他のメンバーもどんどん開花させていった。TAXMANは「こんなに人がいるから、そろそろ僕も歌いたいと思うんですけど!」と叫んで、大喝采を浴びながら自身のヴォーカル曲を披露したり、「耳コピしたやつ、やっていい?」とiPhoneの着信音をギターで弾いてみせたり。JIM(G&Cho)はスクリーンに映し出されるのはピッカピカの笑顔ばかりだったし、「ありがとう!」ってマイクを通さずに叫んでいた。そして、ROYは昔と変わらないくらいに噛みながらも(笑)、昔と変わらないテンションで大観衆にロックンロールについて熱弁をふるう。ロックンロールが教えてくれたことは、悲しみや苦しみを消し去るのではなく、出てこないくらいに楽しむこと。ロックンロールが教えてくれたことは、自分を愛すること。ROYは、まるで嘗ての自分がこの場所にいるかのように、強い口調で語り掛けていた。
まだツアーは2公演が残っているので、詳しいセットリストや演出について触れることは出来ないが、新旧様々な楽曲を織り交ぜながら、でっかい会場ならではのお祭り感が発揮された楽曲や、いつもと違う雰囲気でパフォーマンスした楽曲まで、記憶に残る場面が展開していった。でも、その全てが、ロックンロール最高! ボゥディーズ最高! で感想を終わらせてもいいくらい、気持ちいい簡潔さに満ちていたのだ。ROYが「ロックンロールは、感じて頂かないと、意味がないと思っています」と言っていたけれど、難しいことを考えずに、メンバーもオーディエンスも自由に感情を表に出しているように見えた。如何にもアリーナらしく構築されたライヴも魅力的だけど、こういった規模でロックンロールの威力を証明することに徹したボゥディーズからは、ロックンロールへの愛情と、彼ら自身のポテンシャルが溢れていた。
アンコールでは「全部出し切ってから帰って欲しい!」というROYの煽りで、大音量の「イェー!」が巻き起こる。ROYが「感じましたか?」って言っていたけれど、本当にゾクッとした。「ロックンロールは何十年も何百年も変わりません。それで最高だからです」――そう、ROYは言っていたけれど、楽曲や成果で身をもってそれを証明しているバンドは、なかなかいない。今の時代に彼らに出会えたことに、本当に感謝したい。そう思わずにはいられない夜だった。(高橋美穂)