年末に始まったCoccoの「きらきらLive Tour」最終日、日本武道館2DAYSの初日。10日はアコースティック・スペシャルナイトなので、バンド・セットとしては実質的にツアー最終日とも言えるこの日のライヴは、最新作『きらきら』、そして最新シングル“ジュゴンの見える丘”で表現された通り、あったかくて、大きな歌の力に包まれた圧倒的なステージだった。 “燦”の、光の中、思い出は旅立つ、というフレーズをきっかけに歌われたのは、Coccoの幼い日々を彷彿とさせる“あしたのこと”や、「いつかきれいになりたいと思ってる(かつての自分自身も含めた)ここにいるすべての女子」に向けた“花うた”、そして“けもの道”の、あとにも先にもCocco以外誰にも歌えないだろうすべてを焼き尽くすような鮮烈なエモーション――聴いているうちに、まるでCocco自身の過去を旅しているような気分になってきた。後半“タイムボッカーン!”で一気に現在にタイムワープしたような感じ。「なんと今年もうデビュー10年目です。でも勝手にやめたり休んだりしたので、あんまり10周年じゃないけど…(笑)。いろんなことがあったけど、ここまでたどりつけたことを嬉しく思います」と語ったCocco。このMCがなくても十分に彼女の思いが伝わってくる歌だった。
圧巻はなんといっても、「東京」という土地に、生まれ故郷「沖縄」と同じように夢と愛情の種を蒔く感動的なMCとともに歌われた“ジュゴンの見える丘”、そしてバレエと沖縄民謡が混じったような前衛的な踊りと沖縄の言葉で歌われる“チョッチョイ子守唄”。インタヴューで、他にあげれるものがないから歌を人にあげたい、と語ったCoccoが、『きらきら』を経て気づいたこと、やりたいこと、やるべきこと、歌う意味といったものすべてがここに詰まっていた。光の中で長い手足を伸ばしてくるくる舞い踊るCoccoの姿は本当に美しく、軽やかで、自由で、いまだに目に焼き付いて離れない。(井上貴子)
Cocco @ 日本武道館
2008.01.09