Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館 - all pics by ほりたよしかall pics by ほりたよしか
「『Golden Circle』2日目にようこそ! 私、本日の司会進行、そしてちょっとだけ主賓の、20周年を迎えた寺岡呼人です。よろしくお願いします!」という寺岡呼人の挨拶に、アリーナ席の、そしてステージ&アリーナを360度ぐるりと取り囲む1階・2階スタンド席のオーディエンスから惜しみない拍手が降り注いでいく……寺岡呼人が2001年から続けているライブ・イベント『Golden Circle』、18回目となる今回は『Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~』というタイトル通り、寺岡のソロ20周年記念スペシャル・バージョンとして開催。4公演すべてに出演する桜井和寿(Mr.Children)をはじめ、東京公演2日目のこの日に出演した小田和正/植村花菜、さらに東京1日目(9日)に出演したゆず、さらに13日・14日の大阪城ホール公演に奥田民生/八木のぶお(Harm)、といった豪華ゲストが集結。この日の日本武道館のステージも、寺岡のこれまでの「ソロ・アーティストとしての20年間の軌跡」のみならず「プロデューサーとしての存在感」「いちミュージシャンとしての音楽への真っ直ぐで真摯な向き合い方」が高純度で凝縮されたような、晴れやかな多幸感に満ちていた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
4日間にわたって開催される今回の『Golden Circle Vol.18』の中でも、とりわけこの日は大先輩(小田和正)、同世代(桜井和寿)、後輩世代(植村花菜)という顔ぶれも含めて、世代を超えた「音楽という名の魔法」を会場一丸となって謳歌するような一夜だった。「寺岡呼人の友人代表」=ロンドンブーツ1号2号・田村淳の開会宣言ビデオ・メッセージが流れ、ほどなく寺岡呼人/桜井和寿/植村花菜の3人で歌い上げたGolden Circle名義のシングル曲“ミュージック”に続き、「プロデュースもすべて縁でございます。そこからいろんな方々とコラボレーションすることができまして。次は、そんなコラボレーションの中で、なんと紅白まで行かれた方を……」と寺岡に紹介されたのは植村花菜。「曲が長いので、持ち時間15分とかだと、これをやるとあと1曲しかできなくて(笑)」と言いつつ、出世作的な名曲“トイレの神様”を情感たっぷりに歌い上げ、2日目開幕から2曲目にして武道館を感涙モードに塗り替えてみせた。2009年の『Golden Circle Vol.13』に出演していたKは、林久悦(Dr)/林由恭(B)/佐藤健治(G)/磯貝サイモン(Key)/稲葉政裕(G)とともに「GCバンド」の一員として今回の『Golden Circle Vol.18』に参加。「日本に来たばかりの、数年前の自分に手紙を書くような気持ちで詞を書いてみれば」という寺岡のアドバイスで生まれたというピアノ・バラード“dear...”の珠玉のメロディで広大な空間を酔わせてみせた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
そんな「後輩組」のアクトに続いて、寺岡呼人のステージへ。13日・14日の大阪城ホール公演が控えているので、寺岡呼人・桜井和寿の演奏曲目については一部に触れるに留めさせていただくが、この日は11月6日にリリースされた20周年記念2枚組ベスト・アルバム『MASTER PIECE』から5曲を演奏。「ソロ10周年の時に、桜井が詞をつけてくれたことがありまして。僕のラジオにゲストで出てくれた時に、『この曲は実は、ブルース・スプリングスティーンの“明日なき暴走”へのアンサー・ソングのつもりで書いたんだよ』って10年目にして教えてくれた」と歌い上げたタイトなロック・ナンバー“競争る為にだけ生まれてきた訳じゃねえ”では武道館丸ごとクラップの嵐に巻き込んでみせる。かと思うと、舞台に呼び込んだ桜井和寿の「次に歌う曲なんですが、やらしい曲なんですよ!(笑)。そこそこ行った中年が、若い女の子と恋に落ちる歌」というMCから、2010年のアルバム『Golden Circle』ではムッシュかまやつが歌っていた“マチルダ”を桜井&寺岡のハーモニーで披露して狂おしいほどのセンチメントで客席を埋め尽くしてみせたり……といった具合に見せ場だらけの名演。何より、その1曲1曲が、客席とのコミュニケーションの塊のようなサービス精神にあふれていたのが印象的だった。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
そして小田和正! 「『Golden Circle』を立ち上げた頃の対談で『40歳までは自分のことしか考えなかったけども、40を超えて、自分の音楽人生の中で何ができるかを考えるようになった。だから、誰かのためになるんだったら、僕は喜んでどこにでも行くスタンスを取ろうとしてる』みたいなお話をされていたので、図に乗ってオファーをしたら快く引き受けてくれた」「自分がこの年になった時にこういうスタンスでやっていけるかな?という鏡のような存在。この方に出ていただけることを、自分の人生の糧にしたいといつも思う」という寺岡の熱い言葉とともに小田が登場。「対談のことはすっかり忘れていた」とか「昨日はゆずが来て、えらい盛り上がったって聞いて。で、今日は俺と植村さん。今日盛り上がんなかったら俺たちが悪い! いろいろ考えたんだけど、いい作戦が思い浮かばなかったので、一生懸命歌うしかないと(笑)」というMCで早速客席を沸かせていた小田だが、ピアノ・小田、アコギ・寺岡の2人で奏でた“言葉にできない”の研ぎ澄まされた歌世界が広がると、瞬時に空気が凛と透き通る。66歳とはとても思えない輝度と透明度を備えた小田の歌に、満場のオーディエンスが身動きも忘れたように聴き入っている。「ほんとお前、あっという間だぞ。今のうちにやれることはどんどんやったほうがいい!」と小田から寺岡ソロ20周年へのエール(?)が飛び出したところで、再び舞台に桜井を招いて小田・桜井・寺岡で歌うのは“ラブ・ストーリーは突然に”! 途中でテレキャスを置いて、ステージを取り囲むように設置された花道をハンドマイクでぐるりと駆け回りながら、40代の「後輩」2人の熱唱をも貫く歌声を響かせた小田。たった2曲で、会場をむせ返るような感激と熱気で満たしてみせた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
本編最後を飾ったのは桜井和寿+寺岡呼人。「何度も出たり入ったり……(笑)」とボヤいてみせたり、“あんまり覚えてないや”を歌う前に「タイトルと真逆の意味を持つ曲です。僕ら間違いなく、いろんなことをどんどんどんどん忘れていく年になってますけど(笑)、ちゃんと覚えてるんだよ!っていう」と語って客席を笑いで包んでみせたり、という桜井のリラックスしたモードからも、長年の盟友である寺岡主催のイベントであるこの場所が彼にとっての「ホーム」であるという実感が伝わってくる。寺岡いわく「今回は、僕が『この曲やりたい!』っていうリクエストを何曲か……」ということで、ここでは寺岡呼人セレクションのMr.Childrenナンバーを5曲。「最初、渋谷La.mamaっていうライブハウスで、僕の友達の対バンで、まだデビューする前のMr.Childrenが出てまして。その時の僕の印象は『リチャード・ギアみたいな青年が歌ってるな』って(笑)」と寺岡。「でも、歌声とか曲がすごく印象に残っていて。初めてのソロ・ツアーの時、いろんな友達を誘っていこう!ってなって、ふとあのリチャード・ギアのことを思い出しまして。『一緒にやらない?』って言ったら『行きます!』って。そこからの、20ウン年の付き合いでございます」と2人の「原点」をひもといていく。「人の運命って、みんなにチャンスが転がっていて。自分がどれだけ素直になれるかっていうところなんだなって。あの時、リチャード・ギアに声をかけなかったら……(笑)。僕が『いいな』と思ったものに、好奇心を持って声をかけられた自分がいて、今ここにいると思っているので。その縁に感謝しています!」という寺岡の言葉に、拍手喝采が湧き起こる。そして、「そのツアーに行く時に、『せっかくだから一緒に曲作ろう!』って2人で作った曲があります」と披露したのはもちろん、『Kind of Love』収録の“星になれたら”。ハンドマイクで花道を闊歩しながら、《この風は きっとどこかで君と つながってるから》の歌詞を♪この風は きっと武道館へと つながってるから~ とアレンジして歌い上げる2人に、抑え難い歓喜の声が沸き上がっていた。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
アンコールはもう一度桜井+寺岡でスタート。2014年春リリース予定の寺岡のアルバムに収録されるという寺岡&桜井の共作による新曲“バトン”の切なくも力強いメロディで会場の温度をさらに高めたところに、Mr.Children“innocent world”が鳴り響き、武道館が震えるほどの大歓声! 客席丸ごと覆い尽くすほどのクラップとハンドウェーブとシンガロングが巻き起こっていく。さらに小田和正・植村花菜が登場、オフコースの“Yes-No”のサビが至上の4声コーラスで色鮮やかに咲き誇っていく。割れんばかりの拍手に応えて4人で肩を組んで一礼、ゲストを送り出した後、舞台に残った寺岡とGCバンド。「これは小田さんのファン、植村さんのファン、Mr.Childrenのファン、寺岡呼人のファン……と、アーティストの曲でもあると思います。さらに言うと、これは『Golden Circle』の曲でもあるかなと思って」と披露したのは、“ご贔屓に~for Fan~”。と寺岡。フォーキー&カントリー調の感触のサウンドの中で、音楽を奏でることの喜びと責任感、ファン=「ご贔屓さん」との絆の大切さをじっくりと抱き締めるようなこの曲が、会場一丸のコール&レスポンスの心地好い余韻とともに胸に染み渡っていった。

Golden Circle Vol.18 ~Yohito Teraoka 20th Anniversary Special~ 2日目 @ 日本武道館
演奏が終わり、高らかな拍手を浴びながらひとり最後の挨拶に立ったものの、感極まって言葉に詰まる寺岡。「まだまだ10年、20年、やりたいなって。ここがゴールじゃないなって感じたので。すごい勇気をもらいました! これからも、植村さん、Mr.Children、小田和正、寺岡呼人、『Golden Circle』、そしてみなさん……どうか、ご贔屓に!」。音楽を追い続ける寺岡のひたむきさが生んだ、最高の一夜だった。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする