大阪城ホール2デイズからスタートした『UVERworld ARENA LIVE 2013 winter』。彼らにとって、クリスマスの武道館公演は2008年以来続く恒例行事である。女性限定、男性限定のライヴというのも、それぞれCrew(ファン)にはお馴染みである。そこで2013年は、武道館2デイズで、クリスマスに「女祭り」こと[QUEEN”S PARTY]を、翌26日に「男祭り」こと[KING’S PARADE]を開催。今回レポートする「男祭り」においても、ステージを取り囲むように360°の座席が解放され、ステージの裏側に位置するエリアには少数の(とは言え、実数で言えば数百人〜1000人前後の)女性オーディエンスがいる他は、見渡す限りの男・男・男。キャリア最大規模の「男祭り」、その異様な熱気とエクストリームな爆音、狂騒にまみれたひたむきなメッセージが、UVERworldらしい特大スケールのロマンを導き出す一夜となった。
12/30及び31にはマリンメッセ福岡での公演を控えているため、演出やセット・リストについての記載は控えるけれども、少々の楽曲表記などを含むため閲覧にはご注意を。レギュラー・サポートのSEIKA(Sax./Manipulation)が、客電の点いたままの武道館にイントロSEをキックし、先に真太郎(Dr.)、克哉(G.)、彰(G.)、信人(Ba.)が登場すると、5人がかりの暴れ太鼓で肌にビリビリと伝わるような音の振動を叩き出すオープニングだ。そこに猛ダッシュで飛び込んでくるのはもちろんTAKUYA∞(Vo.)。さっそく強靭な歌メロが雄々しいことこの上ないシンガロングを誘い、北東・及び北西エリアの2階席にまで届いてしまいそうなデザインのステージを駆け回る。そして「テメェら、キンタマ付いてんだろうが、オラァー!! 今このとき、最高の夜にしようぜー! 今しかねえぞーっ!!」と、叫ぶように煽り立てるのだった。
UVERworldの、時と場所を選ばない、驚異的なヴォルテージとスピード感はどこからやってくるのだろう。常に焦燥感にまみれた人生を歌い、鳴らし、思考をかなぐり捨てんとするメッセージを投げ掛けては瞬く間にオーディエンスとそれを共有してしまう。前のめりなロック・サウンドも、ダンサブルなエレクトロニック・サウンドも、小気味良く弾けるラップも大振りなギター・リフも混在する彼らの音楽は、極めて知的にデザインされている。ただ彼らはいつでも、その知性を突き動かす感情/衝動に忠実なのである。TAKUYA∞の伸びやかな歌声が力強いグルーヴに乗って急激に展開し、過去と未来に馳せる想いを抱えながらオーディエンスの間の手を呼ぶ、そんな決して軽くはないはずの“DEJAVU”(目下のニュー・シングル『ナノ・セカンド』に収録)がすこぶるキャッチーに響くのも、彼らがフレッシュな衝動から一切ブレないからだろう。
「始まったなあオイ! これだけキンタマが集まってんだ、でっかいキンタマ代表、ビシッと言ってやれ!(TAKUYA∞)」「やって参りました! 本日、2万個のキンタマが集まっております! え? 客席って、寒いの? じゃあ脱いだら? それが祭りだろう。昨日は女祭りやりましたけど、まさか負ける気はないですよね!? ホントうるせえ、お前ら(笑)。いつも男祭りばっかやってズルいとか言われてますけど、すみません! 我々ただ単に、男祭りが好きなバンドです!(真太郎)」。そう言う彼は今回、最初っから上半身裸である。「昨日はたくさんのオッパイ……オッパイじゃない女の子と、楽しかったですよ。可愛いパンツ……パンツじゃない笑顔でね」と、TAKUYA∞が改めて来場者数10,183人「なので2万飛んで366個のキンタマ」を報告しながら、こちらも遠慮なしに次々と投入されるド派手なステージ演出の中で、狂騒のパフォーマンスは続いてゆく。
「クリスマス、12月は鬼門なんだよ。知ってんだろ? でも今年はこんなに幸せな年末を過ごさせてもらって」。TAKUYA∞は、先輩や後輩、友人からプレゼントされたという衣装やアクセサリーを指しながら「脱がせるもんなら脱がしてみろ。お前ら、なんか戦うってときに、こういうのくれる奴いんのかよ!? モノじゃなくてもいいよ、言葉を掛けてくれる奴いんのかよ!? 俺、12/21が誕生日だったんだけどさ、今まで以上に俺らしく生きようって決めた。お前は、お前で行け。お前も、お前で行け。カッコいい生き方、見せようぜ!」と告げて熱い友愛のメッセージ“23ワード”へと飛び込んでゆく。期待はしていたけれど、やはり素晴らしい一幕だった。更にこの後には、「今、楽しすぎて、ちょっと正気を失ってた。正気を失いながら、15歳のときに見た夢のことを思い出してた。俺、武道館の夢を見たことがあるんだよ。大好きな、大仁田厚さんの試合を観に来る夢で。大好きな大仁田さんが、血まみれになってて、ヤバい、って思って目が覚めたら、チンコがビンビンになってた(笑)」という話題を挟んだ後に、「ミュージシャンっぽい夢を見た」というエピソードに繋げて今回のハイライトと呼ぶべき感動的な時間を作り上げていったのだが、激しくネタバレになってしまうので、詳細な内容は伏せさせて頂きたい。
2階席のオーディエンスの眼前にまで迫って煽り立てる克哉、アップライト・ベースを操ったり力強いスラップを放ったりする信人、雷鳴のごときギター・ソロを繰り広げる彰、そしてソウルフルにサックスを吹き鳴らすSEIKA。それでも6人のサウンドは、生々しい感情の形をメッセージとして伝える怪物のように、終始一丸となって襲いかかって来る。そしてTAKUYA∞は、楽しさの余りに「今日は人間やめるわ」と何度も告げながら、そのくせ誰よりも人間臭かった。「昔、地元で言われたんだ。おいタクヤ、おまえ東京行って勝負するんだったらな、現実見ろよ。夢や幻想ばっか追い続けてたらダメだよ、って。男が現実ばっか見てるんじゃねえよ! 俺たちにはもっと、想像力とかがあるだろう! マボロシとか幻想とかが、マボロシとか幻想のままで終わって行って良いわけないだろう!!」と歌詞を踏まえて切り出される“ナノ・セカンド”は、キャリア最大規模の「男祭り」にふさわしいスケールのロマンで武道館を包み込み、オーディエンスの歌声をリードするのであった。
「普通に女の子好きだけど、真面目に音楽に向き合ってるからさ。次は、横浜アリーナでやろうよ。女の子がいないとつまんないって言う奴もいるんだよ。でも、こうして男同士で話して、カッコいいもん見せ合って、お互い高め合って、それで女の子を守れればいいと思うんだよ」「いつか、東京ドームでもやりたい。あ、でもこれは、出来ないって思ってくれていいや。その方がいい。俺たち、反骨精神の塊だから」「夢は叶うとか、くっさい、使い古された言葉だよ。UVERworldが言うから意味がある言葉。哀しいだけの言葉は、テレビのニュースに任せておけばいいよ。UVERworldの言葉ってのは、聴いてる間に強くなれる、歌ってる間に強くなれる、そういうものじゃないと意味ないじゃん」。そうなのだ。感情とメッセージを乗せたバンド一丸の音の振動、現実を越えてゆく、だが確かに眼前に広がるステージの光景。それらに裏付けられた夢や幻想もまた、もはや夢や幻想ではない、と思わせてくれるものだったのだ。(小池宏和)
UVERworld @ 日本武道館
2013.12.26