SiM @ 新木場STUDIO COAST

SiM @ 新木場STUDIO COAST - pic by H.and.Apic by H.and.A
3rdフルアルバム『PANDORA』を引っ提げた全国ツアーを昨年11月から続けてきたSiM。そのファイナル2daysが、1月25日、26日に新木場スタジオコーストで行われた。初日はワンマン、2日目はジャンルレスなバンドを招聘することで話題を呼んできた『DEAD POP FESTiVAL』の5回目として開催。ここでは初日の模様をレポートする。

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会場の外にはグッズを求める長い列、中に入ると1階から2階までビッシリと埋め尽くすオーディエンス。盛り上がりは加熱する一方であると、早々に感じた。ステージを見ると、フロアの天井には白い布がドレープを描き、バックドロップだけではなく上手と下手にも絵が飾られている。ラウド系のバンドには珍しい演出が醸し出す特別感に胸が高鳴った。

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客電が落ちると、期待を込めた大歓声。1曲目は、アルバムのタイトルチューン“PANDORA”だ。MAH(Vo)だけではなく、SHOW-HATE(G)もSIN(B)もしょっぱなからぐいぐい前へ。その後ろでGODRi(Dr)は安定した超速ビートを叩き出す。魅せて聴かせる、ツアーの成果がヒシヒシと感じられるパフォーマンスだ。MAHは天性のフロントマンだと思うが、ここ最近は楽器隊の3人の進化の速度がハンパじゃない。大振りの華やかな動きと、それでいてブレない的確な演奏は、外タレのようだ。しかも、楽しそうにやっているところが凄くいい。オーディエンスも、それに触発されるように、いきなり2階がグラグラ揺れる勢いでフルスロットル。MAHは“Boring People,Fucking Grays”ではフロアにマイクを向け、“Pieces of Troops”ではイントロからハンドクラップを煽り、さらにさらに巻き込んでいく。

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「3000人ですか? 正直言ってさ、みんながどんな気持ちでそこに立っているか、俺はわかりません。でも、俺は、俺たちは、ここでぶっ倒れてもいいと思っています。カカッテコイヤー!!!」と最後は絶叫で締めたMAHの最初のMCから、さらに火を点ける選曲である“Blah Blah Blah”へ。そして、MAHの左回りの仕草からはじまった“BRAiN”、切実なメッセージが響いた“We’re All Alone”と、『PANDORA』の収録曲が続く。バンドが頭一つ抜けたと感じる理由の一つに、個々で暴れるのではなく、皆の意識がステージに向かっているように見えるということが挙げられるが、まさにこの時そう思った。

SiM @ 新木場STUDIO COAST - pic by kohei suzukipic by kohei suzuki
吠えるような歓声を起こすほど大興奮なオーディエンスに向けて、MAHが語り出した。「みんな学校とか会社で、こんな会話したことないですか? 『どんな音楽好き?』、『ロックとか』、『なんてバンドが好きなの?』、『SiMとか』、『誰それ?』って。すみませんね(笑)」……身に覚えがある人たちから笑いが零れる。「でも、ここに来れば3000人いる。遊びやすいように、なるべく柵も少なくした。遊び場を守っていくために、協力して下さい」……これらは、彼ら自身が、バンドマン以前に、ライヴハウスを愛するキッズだったからこそ切実に響く言葉だろう。そう言いつつも、さらに暴れたくなる“JACK. B”を次に持ってくるあたりからは、オーディエンスを信頼したいという気持ちが伝わってきた。
ヨコノリとタテノリが訪れる“March of the Robots”、ピアニカの哀愁が大人っぽい“Rosso & Dry”と、豊潤なアレンジセンスを味わったところで、MAHがお馴染みの時計のジェスチャー。SHOW-HATEのライトハンドからはじまったのは、もちろん“Faster Than The Clock”! さらに「昔の曲も知って欲しい」と、レゲエパンクバンドの真髄を聴かせるような“paint sky blue”と続ける。彼らはどんな時でも、自らに誇りを持ってやってきたのだな。そんな思いがさらに炸裂したように見えたのが“ANTHEM”だった。そして、「“paint sky blue”や“ANTHEM”のような曲があったからこそ、この曲が生まれました」と言ってはじまったのは、キラーチューン“Amy”。待ってましたの熱狂が、あたりを包み込む。

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終盤に踏み込んだところで、MAHの長いMC。今年で結成10周年を迎えたこと、それを記念したDVDを作っていること、そして新木場スタジオコーストのこれまでのライヴでの悔しかった思い出……でも最後、MAHは「ここに立てて、満員で、幸せな限りです」と笑顔を見せた。そして「夢あるって奴、手を挙げてくれ!」と呼び掛ける。たくさん挙がった手に向かって「お前だけは、お前の人生に愛想を尽かさないで」と言い、“Dreaming Dreams”を響かせた。スポットライトに照らされたMAHの姿は、まるで夢の象徴のように映った。最後は「10年も掛かったからもっとやりたいけど、俺ら次に進まなきゃいけないから、ありがとう、ありがとう」と“KiLLiNG ME”へ……と思いきや、すぐにストップ。「一個だけお願いがある。この曲を、今ここで生で聴けるのは君らだけ。DVDを見てる奴が悔しがるくらい踊って!」と、事件のような光景を生み出してステージを降りた。

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まだまだバンドもオーディエンスも元気がありそう! と思っていたら、アンコールに迎えられて、再び4人が登場。記念写真を撮影する時も、MAHが「肩車は止めてもらっていい? 後ろの人が写らないから。ジャンプはあり!」と配慮したかと思えば、MAHが「(対バンがいないから)4人は寂しいね」と言うとオーディエンスが「俺らがいる!」と叫んだりするという、なかなかいい場面が見られた。そしてMAHが「俺らにとっては、めちゃめちゃ特別な一日。みんなにとっては、どうですか?」と問い掛け、“Same Sky”へ。シンガロングするオーディエンスが、キラキラと照らし出される。さらに“Get Up, Get Up”を経て、SINがアンプに登ると、オーディエンスがウォールオブデスの準備をはじめる……そう、ラストは“f.a.i.t.h”! 共に全てを出し尽くし「また新しい夢に向かって走っていきます。最後までついてきて下さい!」というMAHの言葉で、大切な節目を刻んだライヴは幕を閉じた。(高橋美穂)
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