「THE BAWDIESには何度か対バンのオファーをしていたんだけど、ずっと断られ続けていて。ホットスタッフ35周年の力を借りて、ようやくここで2マンが実現しました!」というホリエアツシ(Vo/G)のMCに送られる万雷の拍手! さらに「(THE BAWDIESのドラムの)MARCYとはゲーム友達で……」とナカヤマシンペイ(Dr)が明かせば、満場のフロアから大きな笑いが沸き起こる――イベントの企画・製作・運営会社として、首都圏のライヴイベントを数多く手がけるホットスタッフ・プロモーション。その設立35周年を記念したライヴイベント「HOT STUFF 35th Anniversary Live」にて、ストレイテナーとTHE BAWDIESの2マンライヴが初めて実現した。昨年メジャー・デビュー10周年を迎えたストレイテナーと、今年で結成10周年&メジャー・デビュー5周年を迎えるTHE BAWDIES。まさにアニヴァーサリー尽くしのステージで一体どんな競演が繰り広げられるのか。満場のオーディエンスで膨れ上がったフロアは開演前からむせ返るような熱気に包まれている。
暗転と共にサム&デイヴ“ソウル・マン”のSEがスタートし、巨大なミラーボールが勢いよく回り出す。そこに颯爽と現れたのは揃いのブラックスーツでキメた4人――そう、先攻はTHE BAWDIESだ。1曲目から弾むビートを繰り出して、「一言で言えばロックンロールです。ロックして、ロールしてくれ。つまりテンション上げて騒いでください!」というROY(Vo/B)の絶叫と共にフロアを熱く燃え上がらせた4人。その後もビリビリと火花を散らすような豪快かつスピーディーなロックンロールを畳み掛け、一瞬一瞬がクライマックスのような圧倒的な高揚感を築き上げていく。MARCYの高速ドラミングからスタートした“HOT DOG”では、JIM(G)&TAXMAN(G)のギターコンビが激しいデットヒートを披露。肩まで伸びたロン毛姿のJIM、一段とボリュームアップしたアフロヘアーのTAXMANが髪を振り乱しながらギターを掻き毟るさまも痛快で、THE BAWDIESならではの、目にも楽しいパフォーマンスが格段に華々しさを増しているような気さえする。
その後も、3月5日リリース予定のカバー・アルバム『GOING BACK HOME』のリード曲“SHAKE A TAIL FEATHER”あり、インディー時代のアルバム『Awaking Of Rhythm And Blues』収録曲の“I’m In Love With You”ありと、キャリアを凝縮したようなセットリストでフロアを翻弄。MCでは、ナカヤマシンペイとの仲の良さをメンバーに自慢するMARCYを非難したり、TAXMANのアフロならぬ天然パーマをイジり倒したりと、同級生同士で結成された彼らだからこその気の置けないトークで爆笑を巻き起こしていく。終盤もライヴ定番のキラー・チューンを繰り出してフロア一面のジャンプとハンドウェーブを導くと、ソウルミュージックへの敬愛を示すようにラストでプレイされたのは、レイ・チャールズの“What’d I Say”。ROYの呼び掛けから一糸乱れぬコール&レスポンスを完遂させると、MARCYの「ホットスタッフ35周年おめでとう」という祝福の言葉を経て会場一丸の「ワッショイ!」コールで大団円。ステージ中央に並んで一礼をしてステージを去る4人の姿が実に頼もしく映るほど、その音とパフォーマンスの力でフロアのテンションを上げに上げ続けた貫禄のステージだった。
そして。ナカヤマシンペイが椅子に立って腕を突き上げた登場シーンから、地鳴りのような歓声を引き起こしたのは後攻・ストレイテナー。日向秀和(B)の大きくうねるベースラインから“VANDALISM-Prototype-”へ突入すると、鋭利に研ぎ澄まされたアンサンブルが青い火花を散らして走り出す。そのまま2曲目へ流れると、シンペイのビートが無尽蔵に地面を揺さぶるダイナミックな轟音が炸裂。これには満場のオーディエンスも一気呵成のハイジャンプで応え、壮絶なダンス空間が築かれていく。続く“シンデレラソング”でも、激しいビートと切ないメロディがせめぎ合うソリッドなサウンドを叩きつけ、暴力性と端正な輝きに満ちたロックンロールの理想郷へとまっしぐらに突き進んでいく4人。2月9日に福島県いわき市で予定されていたライヴイベント「STEP in FUKUSHIMA」が大雪で延期になったため、この日が今年初めてのライヴとなった彼らだが、そこで温存されたエネルギーをも燃やし尽くせとばかりに冒頭から激烈を極める4人のパフォーマンスには、ただただ圧倒されるばかりである。
ホリエと大山純(G)のシャープなギター・サウンドが冴えわたる最新シングル“From Noon Till Dawn”を経て、ステージ中央に置かれたキーボードの前に移動するホリエ。「次はMARCYが好きな曲です」という紹介から、“シンクロ”をしっとりと奏でていく。美しいピアノの調べに乗って、聴き手を一人残らず抱きしめるような優しさでもって歌われるロマンチックなラヴソング。その柔らかな響きは、続いて演奏された“BRILLIANT DREAMER”と共にストレイテナーのアナザー・サイドと言える耽美で静謐な音世界を鮮やかに描き出していた。
“THE REMAINS”で再び激しく燃え上がった後は、クライマックスへ向けて容赦なしのアップ・チューン連打。「今日のライヴはBAWDIES家のROYおじさんに僕がどんな仕事をしてるか見せつける場だと思っています」と口を開いたシンペイ、「MARCYとはゲーム仲間で……」と冒頭に記したMCでフロアを沸かせたかと思いきや、間髪入れずに「親愛なるZepp Tokyoのバーサーカーに捧ぐ!」と叫んで“BERSERKER TUNE”へ。ふrオアからのコールを巻き起こして沸騰させると、THE BAWDIESに負けず劣らぬ豪快なロックンロールが疾走した“YES, SER”、眩く強靭な輝きに満ちた“TRAIN”と畳み掛け、むせ返るような場内の狂騒感をどんどん色濃く塗り込めていった。そして、「年明けてから何をやっているかというと、新曲を作ってます。すごくロックな、皆が思っている倍以上の曲を作っています。楽しみにしていてください」というホリエの発表で拍手喝采を沸き起こすと、“BRAND NEW EVERYTHING”で本編終了。
アンコールでは「最後に皆で飛び跳ねて帰ってください!」と“VANISH”を力一杯ブチかまし、大山が奏でる高速のギターフレーズとともに場内の興奮レベルを天井知らずに上昇させて圧巻のフィナーレへ……ただひたすらに己の信じるロックンロールをエネルギッシュに鳴らすTHE BAWDIESと、ただひたすらに己の理想を追い求めて高純度のロックンロールを鳴らすストレイテナー。まったく異なるアプローチでありながら、ロックンロールへピュアな想いを露わにする両者のアクトを前にして、ただただ胸を熱くさせられた最高の一夜だった。(齋藤美穂)
ストレイテナー/THE BAWDIES @ Zepp Tokyo
2014.02.20