【ライヴレポ】NICO Touches the Walls、勇気と愛を信じて鳴らす会心のツアーファイナル!

【ライヴレポ】NICO Touches the Walls、勇気と愛を信じて鳴らす会心のツアーファイナル!

NICO Touches the Wallsが、4月23日にZepp DiverCityで全国ツアー「NICO Touches the Walls TOUR 2016“勇気も愛もないなんて”」のファイナル公演を行った。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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「6枚目にしてこんなこと言うのもなんだけど、やっと等身大の俺たちになれたと思う。待たせたな!」——ライヴ終盤、光村龍哉(Vo・G)は自信に満ちた笑顔を浮かべながら、オーディエンスにそう語りかける。

ついて離れない苦悩や葛藤だって音楽への「勇気」や「愛」に基づいたものだったんだ、と彼ら自身が気づくまでのドキュメンタリーのような作品、『勇気も愛もないなんて』。NICO Touches the Wallsの6枚目のオリジナルアルバムである同作を引っさげた全国ツアーは、Zepp DiverCityにてファイナルを迎えた。今抱く全てを振り絞るような4人の熱演を観て真っ先に感じたのは、ここが彼らの到達点ではないということ。音楽を通して「勇気」や「愛」、自分自身やその先に待つ聴き手と向きあっていくニコの旅は、まだ始まったばかりだ。

ツアータイトルや動物の姿が映る映像が流れるなか、光村のファルセットに他3人がコーラスを重ね、1曲目の“フィロローグ”が始まった。白と赤の対比が効いた照明とともに、《やめられなくて イヤになりそう/さあ イヤになったって歌にしてしまうんだ》と音楽家としての性(さが)を曝け出す。そんなオープニングシーンを経て“エーキューライセンス”へ。拳を掲げたり共に歌ったりしているオーディエンスを、「ツアーファイナルですよ!最後まで楽しんでこうぜ!」と光村がさらに焚きつけていく。

音源とは異なるアレンジを聴かせてくれるニコのライヴの楽しさが表れた前半戦。特に、「春といえばユーミン、マッキー、そして対馬さんの口笛でございます」(光村)と少々強引に紹介された対馬祥太郎(Dr)が口笛でイントロのフレーズを吹いて“口笛吹いて、こんにちは”をスタートさせたものの、演奏が中断されそのまま“ブギウギルティ”へ……という大胆なアレンジには驚かされた。「学生時代、デートの日に寝坊をしてしまった」という光村の実話に基づく同曲では、「僕と一緒に歌ってこの罪を浄化しませんか!?」とコール&レスポンスが行われる場面も。そんな2曲の他にも、坂倉心悟(B)のリフが効いたファンク全開の“有言不実行成仏”から“THE BUNGY”へ続くパートはドラムのリズムパターンを活かした繋ぎが見事だったし、独白と決心を経て歓喜を弾けさせる“ウソツキ”“ローハイド”“手をたたけ”の3曲はバンドが歩んできた道のりを凝縮したようだった。

ツアーを通して得た「勇気」と「愛」についてのMCでは、メンバー全員で自動車免許の取得を試みたことを報告。古村大介(G)は本ツアー中に免許をゲットしたことを自らの口から発表し、「いつでも運転できるように常備している」という免許証と若葉マークを堂々と掲げてみせた(ちなみに坂倉は残り3コマだが、光村&対馬はまだ教習所のパンフレットを貰った段階とのこと)。そんなMCから一転、「まだまだライヴ続きます!」(光村)という一言をキッカケに“渦と渦”がスタートすれば、堰を切ったように轟音が溢れ出す。シャウトにちかいスキャットを連続した末に、やりきった表情でステージ上に寝そべる光村。“まっすぐなうた”のパンキッシュなビートを、目を輝かせながら叩きまくる対馬。機材トラブルに見舞われながらも、満面の笑顔ととも会心のフレーズをキメまくる古村。全身全霊をかけて誠実かつ力強い演奏をする坂倉。ありったけの感情を曝していく4人の姿は、絶対的なスターが放つカッコよさとは少しズレたところにあるかもしれない。しかし、剥き出しの音楽だからこそ、目の前にいる生身の人間の心を直に震わせ、奮い立たせることができる。今のニコは、そういう自分たちの強みを誰よりも信じている。会場中どこを見回しても笑顔という状況のなか、ライヴはクライマックスへ。“天地ガエシ”でフロアに放たれたいくつもの風船が、歓喜と熱気によってカラフルに染め上げられた。

今回のアルバムとツアーを通して浮き彫りになったのは、天邪鬼で不器用で、それでも愛し愛されることを心のどこかで望んでしまうこのバンドの性格。彼ら自身がそれを認め、背負い、鳴らし続けていくんだという覚悟が、この日の演奏に強く打ち出されていた。「日本でいちばん勇気と愛が似合うバンドになろうと思います。だからその日が来るまで追っかけててよ!」という光村の言葉通り、ニコの旅はまだまだ続く。それを証明するように、アンコールで披露された最新曲“ストラト”は信じる道を進む意志を改めて言葉にした曲だったし、音楽に対するラヴソングである“僕は30になるけれど”は、この日の最後に、聴き手との再会を約束する歌として届けられたのだった。

来る5月6日には昨年末の振替公演「NICO Touches the Walls LIVE SPECIAL 2016 "渦と渦 ~西の渦~"」が大阪城ホールにて行われる。リベンジのその日も、すぐそこまで迫ってきたところだ。(蜂須賀ちなみ)

●セットリスト
01.フィロローグ
02.エーキューライセンス
03.image training
04.TOKYO Dreamer
05.口笛吹いて、こんにちは
06.ブギウギルティ
07.有言不実行成仏
08.THE BUNGY
09.ウソツキ
10.ローハイド
11.手をたたけ
12.渦と渦
13.妄想隊員A
14.ニワカ雨ニモ負ケズ
15.まっすぐなうた
16.天地ガエシ
17.勇気も愛もないなんて
(encore)
18.April
19.ストラト
20.僕は30になるけれど
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