超期待のニューカマー、おいしくるメロンパンのデビュー作にたまげた

  • 超期待のニューカマー、おいしくるメロンパンのデビュー作にたまげた
  • 超期待のニューカマー、おいしくるメロンパンのデビュー作にたまげた - 『thirsty』 12月7日(水)発売

    『thirsty』 12月7日(水)発売

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  • 超期待のニューカマー、おいしくるメロンパンのデビュー作にたまげた - 『thirsty』 12月7日(水)発売

ロッキング・オンが主催するアマチュア・アーティスト・コンテストRO69JACK 2016で優勝し、今年のROCK IN JAPAN FESTIVAL初日、BUZZ STAGEに立ったおいしくるメロンパン。ナカシマ(Vo・G)、峯岸翔雪(B)、原駿太郎(Dr)からなるスリーピースバンドだ。本格的に活動を開始したのは2015年9月。ということは、そこから1年も経たないうちに、RO69JACKで優勝し、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016に出演してしまったということだ。本日2016年12月7日にリリースされたデビューミニアルバム『thirsty』の巨大なポテンシャルに驚いた。

1曲目にはリード曲にもなっている“色水”。《色水になってく甘い甘いそれは/君と僕の手の温度で思い出を彩ってく/寂しくはないけどちょっと切なくて/流し込んだ空の味》。イントロから、飄々としながらも、少年性と透明感を振りまく強烈な個性のあるナカシマの歌声が、勇敢に鳴る。小気味良いビートが貫く、シンプルで隙間の多いギターアンサンブル。曖昧な「あの感情」が繊細な情景描写と相まって、胸を猛烈にチクチクさせる。「君と僕の手の温度」「くるくると回る風車」「下駄のかかと」「通り雨の香り」「茜色に溶け出した空」「飛行機雲が淡く線を引く」――。乾いたギターロックに乗せて次々と放たれる鮮やかなフレーズ。みるみるうちに夏の終わりの「あの空気」が匂い立ち、聴き手それぞれの思い出に彩りを与え、ぶわっとノスタルジーと焦燥を沸き上がらせる手腕が見事だ。

シャープなアンサンブルがドライブしていく“シュガーサーフ”。今、目に入っているこの光景には、どんな感情が漂っているのか。それを描くナカシマの視線の鋭さ、色使いの巧みさに舌を巻く。“5月の呪い”も良い。「くもり空」と「灰色の今日」、そして僕はベッドに体も心も沈んでいく――。描かれているのは、五月病というざっくりとした一言で片付けられてしまいがちなあの感覚――。粒ぞろいの5曲が収められた恐るべきミニアルバムだ。

バンド名と見た目はほっこりかわいげがあるが、そのパワフルでソリッドなアンサンブルとナカシマの歌声を武器にしたライブも強力だ。2016年12月30日(金)にはCOUNTDOWN JAPAN 16/17に初出演。2017年、最も飛躍が期待できるバンドのひとつだ。(小松香里)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2017年1月号より一部転載)

“色水”ミュージックビデオはこちら。

『thirsty』全曲試聴音源はこちら。

なお、JACKMAN RECORDS公式サイトでは『thirsty』のディスクレビューが公開されている。

『thirsty』- ディスクレビュー
http://jackmanrecords.ro69.jp/artist/oisiclemelonpan
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