め組の最新配信シングルリリース日に、TSUTAYA O-nestで繰り広げられた自主企画「7月のお化け屋敷は8月より怖いぞ」。ゲストに迎えられたのは、今年初のフルアルバムを発表したONIGAWARAである。
先攻のONIGAWARAは、竹内電気直系の愉快でダンサブルなポップテロルが、まんまとオーディエンスを笑顔の混沌へと叩き込む。演奏中にシャッターチャンスを作り、はたまたダンスをレクチャーして沸かせまくっていた。ポップの毒性が異様に高くて困る。
そして主役のめ組。菅原達也は、配信シングル1曲で自主企画を行うのは初めてで、バンド作品としての新曲“お化けだぞっておどかして”の手応えの大きさと喜びを、早くライブの場でリスナーと共有したかった、と語っていた。この日22時にインターネット上で公開予定だったMVも、特別にプロジェクターを用いて先攻公開された。
で、細かいことは後日公開のライブレポートに書くのだけれど、もしかするとめ組は今後、あっという間に遥かな高みへと到達してしまうバンドになるかもしれない。僕の知る限りこれまでのベストライブだったし、あそこにいたすべての人が、すごいライブに触れたという実感を抱いているはずだ。
菅原達也という、思い込みが強く妄想に苛まれやすい、人一倍ロマンチストである表現者は、彼自身が抱える厄介な業やズレと折り合いをつけるために曲を書き続けてきたところがあった。
め組というバンドには、言わば菅原の脳内ワールドを全力で色づかせ、ブーストするための最強メンバーが揃っているわけだが、今回のライブでは最初から最後まで、ステージ上とフロアの歯車が完璧に噛み合っていた。音楽が、菅原と世界のズレを補完したのである。
楽しく、エモーショナルに、菅原ワールドが共有されてしまうことのとんでもなさを、我々はあらためて味わった。10月25日にニューアルバム『僕だってちゃんとしたかった人達へ』(このタイトルの素晴らしさよ!)をリリースすることも発表され、その収録曲も披露された。
明らかに、技術とアイデアとモチベーションが高いレベルで合致している今のめ組から、目を逸らしてはならない。ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017の出演(8月12日。ONIGAWARAはその前の週の8月5日に出演)も、俄然楽しみになってきた。(小池宏和)
【速報】め組、自主企画で見せた「事件」としてのポップ
2017.07.15 00:05