今回まずやりたかったのは、ピンクの色。CDジャケットの背景がピンクなんですけど、ピンク色の中でこういう家族というものが、お母さんだったり、お父さんだったりがいるミュージックビデオにしたいというアイデアがあり、それを今回、監督の関さんにお伝えして、あとディレクションは吉田ユニちゃんでお願いしました。お2人の本当に素晴らしいディレクションのもと、ミュージックビデオ撮影が行われました。なんでそうしたかっていうと、先々週もお話しましたが、この曲っていうのは今までの家族像を歌っているわけではなくて、これからの家族像を歌いたいなっと思って作った曲なんです。例えば両親が医学的な性別では男性同士だったり、その両親のもとに子供がいるっていう家庭だったり、それがどんどん増えていく。それが日本でも増えていくと思うんですね。これからの普通の家族の風景になっていくんじゃないのかなと。いろんな種類の家族の形っていうのがこれから普通になっていくんじゃないのかなと思っていて、それを表すのに、いわゆる(今回のMVって)ミュージシャンも含め演じている家族っていうものの役割っていうのが年齢も性別もぐちゃぐちゃなんですよね。一発でいうと『サザエさん』なんですけどね(笑)。『サザエさん』的な風景の中で性別がぐちゃぐちゃであるっていうものの未来がもしかしたらあるかもしれない。家族ってものがどんどん多様化していく中の曲のコンセプトっていうものをまず映像として示したかったというのがあります。例えば、一緒に暮らしてるペットも家族だし、友達とか仕事仲間っていうのもファミリーっていう言い方するし、だから血がつながっていなくても家族って思っていいんじゃないかとか、相手をほんとに幸せであれと思う気持ちとか、無事であってくれって思う気持ちがあれば家族なのではないのかと。もっと言うと、血がつながっていても家族って思わなくてもいいんじゃないのかなと。その中に愛情というものがあればそれでいいんじゃないのかなっていうことを歌いたいなと思って楽曲を作りました。あんなに、家族的な楽しさがすごく温かい気持ちになる楽しい映像なんですけど、あれもやっぱり全員他人なんですよね。でもそういうの関係なく、多幸感みたいなのが今回のミュージックビデオにはあるじゃないか。そういうのが生まれるんじゃないのかなと思います。“Family Song”は、1960年代末から70年代初頭のソウルミュージックっていうものを現代の日本にJ-POPとして表現したかったんです。というのは、昔の楽曲をモチーフにする=ノスタルジックになってしまうんですけど、あの頃に戻りたい訳ではないんですよね。今の音楽を作りたい、今の家族をテーマにするのであれば、今のこれからの家族をテーマにしたいっていうことで、いわゆる『サザエさん』的な風貌をした皆さんが、俺たちのファミリー感というか、俺たちのソウルってやっぱり『サザエさん』だろうなって思うんですよね。
星野源が『オールナイトニッポン』で語った“Family Song”MVの解説を掲載!
2017.08.03 12:30