17年ぶりの奇跡の来日となった2008年のフジロックから早10年、22年ぶりの奇跡のニュー・アルバム『m bv』のリリースと共に再来日した2013年からも既に5年が経ったこの2018年、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインがいよいよ日本再上陸を果たす。しかも今回の彼らの舞台はソニックマニアだ。つまり、「深夜のマイブラ」なのだ。彼らはソニックマニアのメイン・アクトだから、0時を回ったまさにド深夜のオン・ステージが予定されている。マイブラの音楽、彼らのノイズの圧倒的密度と圧倒的ヴォリュームの体感は、その時の聴き手の身体的コンディションに加えて、実際に音が鳴る「環境」がその聞こえ方、響き方と無視できない重要な相関関係を持っている。
たとえば苗場の広大なグリーン・ステージは、野外ならではの開放感とヌケの良さ、反響の少ないクリアな音の放出によって、ノイズの奥底の旋律の美しさに触れられるとてつもない体験だった。一方で前回単独の新木場スタジオコーストなどでは、配られた耳栓で厳重にプロテクトしてなお平衡感覚が奪われ、ノイズに翻弄されて滅私の恍惚に至る、これまたとてつもない体験だった。そして今回は幕張メッセという、苗場のように広大でありながら、スタジオコーストのような密閉空間であるという初の環境になる。そしてオーディエンスの肉体的疲労と脳内アドレリンがせめぎ合っているド深夜という時間帯も、私たち自身のコンディションにとてつもない影響をもたらすはずだ。
そしてもうひとつ、今回のマイブラ来日の大きなポイントが、ケヴィン・シールズが新作のリリースを具体的に匂わせ始めているのを受けてのステージになるということだ。しかも彼はアルバムの前にEP的なミニ作品の断続リリースを予告していることから、近々にいきなり新曲がドロップされる可能性に加えて、今回の来日がまさにそのお披露目の場となる可能性も非常に高い。また、ケヴィンは「22年ごとにアルバムをリリースし、ツアーをし、また5年ぐらい消息を絶つ……っていうサイクルを止めたい」と、バンドの活動方針の根源に関わる発言もしている。思えば『mbv』は、『ラヴレス』の22年越しの続編のようなアルバムだった。でも今回の新作は、そんな『mbv』と異なる本当の「新」作になるかもしれないのだ。(粉川しの)
●この3曲が聴きたい!
マイブラは今年、新作の予定に加えて1月には『イズント・エニシング』と『ラヴレス』のアナログ・リイシューがあり、今回の来日はこの2作品の回顧的意義もある。『イズント~』からは“ユー・ネヴァー・シュッド”をやって欲しいしやるだろうし、『ラヴレス』の不動の布陣から1曲選ぶなら“オンリー・シャロウ”(異論は認める)、そしてラストはもちろん“ユー・メイド・ミー・リアライズ”で(異論は認めない)。「終わり」を奪い、ライヴ後の日常を侵食するこの曲のノイズの洪水なくしてマイブラ・ライヴは語れないのだから。もちろん新曲も期待だし、前回ツアーで突然定番入りした“ハニー・パワー”のようなサプライズもウェルカムです!
「SONICMANIA」のタイムテーブルは公式サイトでご確認ください。