ドラマ『イノセンス』最終回でKing Gnu“白日”はいかに降りしきるのか?

日テレ系ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』がいよいよ最終回を迎えようとしている。今作は若き弁護士・黒川拓(坂口健太郎)が、科学者である秋保恭一郎(藤木直人)やジャーナリストの有馬聡子(市川実日子)らの協力を得ながら、冤罪事件を解き明かしていく物語。シリアスな題材だが、弁護士としては凄腕なのに片付けが苦手で服装にも無頓着な変わり者という黒川のキャラが親しみやすく、いつも損得勘定抜きに真実を追い求める姿勢は見ていて惹き込まれるものがある。


見どころは何より、黒川が思いもよらぬ意外な着眼点で捜査を進め、秋保准教授の協力を得て科学的に実証実験し、事件の矛盾点を突くところ。火災現場を再現したり、プールで波のうねりを再現したリ、練炭自殺の現場を再現したり、時に命がけで実証に挑む。それにより裁判で冤罪が晴らせた時のスカッと感が毎回面白い。

しかし、この黒川と秋保准教授のふたりが協力関係にあるのは互いに悲しい過去を共有しているから。11年前に秋保准教授の妹が何者かに殺され、その犯人とされた恋人・浅間大輔(鈴之助)が獄中で自殺した。浅間は黒川の幼馴染であり、当時大学生だった黒川はこの事件をきっかけに検察官ではなく弁護士になることに決めた。そして秋保准教授は、警察の捜査が科学的実証を軽視している現状に危機感を抱いたことから黒川に協力するようになったのだ。過去に、互いに大事な人を亡くし、そのことは弁護士として科学者として生きていく原動力でもあったかもしれないが、第9話でその協力関係が大きく崩れてしまったのは衝撃的だった。最終回で黒川はこの窮地をどう乗り越えるのだろうか。

King Gnuによる主題歌“白日”も、ここに来てドラマの中での存在感を増してきている。《時には誰かを/知らず知らずのうちに/傷つけてしまったり/失ったりして初めて/犯した罪を知る》と唄われる冒頭は、井口理(Vo・Key)による美しく柔らかな声で、まるで人の魂を清らかに癒やすような印象を受ける。しかし、やがてビートが加わって曲の印象がガラリと変わり《今の僕には/何ができるの?/何になれるの?》と常田大希(G・Vo)の声で唄われるパートへ。“白日”は単なるレクイエムではなく、悲しみを抱きながら今を生きる者の決意を歌っており、それはまさに黒川と秋保が苦しみながら闘ってきた姿にも重なる。King Gnuはもともとツインボーカルのバンドではあるが、“白日”ではふたりの声により曲が内包する優しさと激しさの両面を唄い分け、このドラマに効果的に寄り添っている。


毎回、豪華なゲスト俳優たちが名演を見せてくれるのもこのドラマの面白さのひとつだが、最終回は武田真治が登場することが発表されており、強烈なインパクトをもたらしてくれそうだ。黒川弁護士は、自身の生き方を変えた11年前の事件の真相に迫ることができるのだろうか。最後に鳴り響く“白日”はどんな感動をもたらすだろうか。このドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』を祈るような気持ちで最後まで見届けたい。(上野三樹)
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