サカナクションが実験的ライブ「暗闇」で教えてくれた「音を観る」ということ

サカナクションが実験的ライブ「暗闇」で教えてくれた「音を観る」ということ

とんでもない体験をしてしまった。国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の音楽プログラムとして開催されたサカナクション「暗闇 -KURAYAMI-」。
最新音響システムが導入され、完全暗転で視覚を奪われた状態で鑑賞する実験的ライブ、その8月8日昼公演を観てきた。

文字通り演目中のほとんどが一寸先も見えない真っ暗闇。時折、ほんの一瞬照明や映像の演出が差し込まれるが、かえって闇の深さを強調する効果があったように思う。
したがって、「観てきた」というと語弊がある。だが、音に飲み込まれるような感覚、ダイレクトに身体に染み込む空気の震えがあまりに鮮やかで、あたかも「音を観る」ような不思議な体験であり、発見だった。見えないものを第3の目で視るような……音が飛んでいく方向に思わず顔が向き、その残像を追うような感覚は初めての経験で本当に驚いた。管楽器のチューニング音、電子メトロノームの単調なリズム、降り注ぐ雨の表情、そして聴き慣れたはずのフレーズまで、生々しい温度で襲いかかってくる。

本公演では、「暗闇」の妨げとなる服装は避けるように事前に通達がされており、この日集まった観客の多くが黒い衣服を身につけていたのも印象的だった。未知の体験に臨み、緊張感がいっぱいに漂う開演前の客席すら作品の一部のよう。演目の終了とともに舞台が少しずつ明転し、緊張の糸が解けたように客席から拍手が湧き上がる。それが、不意にもう一瞬だけ暗転したタイミングでひときわ大きくなったとき、この実験は大成功だと確信した。音楽の未知なる可能性に、胸の高鳴りが止まらない体験だった。(徳永留依子)

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