コロナ禍の先にある洋楽来日公演の行方は? 一度きりのフェス「スーパーソニック」やこれからの洋楽シーンについて、クリエイティブマンプロダクション代表の清水直樹氏に訊いた!

これからの洋楽来日公演事情は? 主催者が語る、一度きりの「スーパーソニック 2020」が決まるまで


――これからの来日公演の状況ってどうなんですか?

「まず僕らは、スーパーソニックが行われる9月を出発点として考えているんですよ。それに対してアーティストは、向こうから(日本に)来ないっていう人はいない。ポジティブに、日本の状況を知りたがっている。このままスーパーソニックはやってくれるの?って訊いてくるんで、それに対して明確な答えを出していかないといけない。

僕らの中で、これをやらないというような意思決定は何もしていない。実際、これができなかったら今年1年は何もできないっていうくらい腹を括るしかないから、そこに照準を合わせてやっていることを皆に理解してもらったうえで、様々な交渉に入っているっていう状況ですね」

――海外のアーティスト、マネジメントも、スーパーソニックに出演予定の人は、ポジティブな構えでいるっていうことですよね。

「もちろん」

――素晴らしい。スーパーソニック以外では、今後の単独などの来日公演の予定は、まだ明確には見えていない感じですか?

「スーパーソニック以降は、10月ぐらいから(今回の延期の)アーティストの振替公演と、新しく来日を計画している大物アーティストを2、3交渉していて、それに対してはアーティストも来る気で話が進んでいますね。さいたまスーパーアリーナ・クラスや幕張メッセ・クラスでやれるライブっていう大きいものを、今年後半に向けて粛々と進めています」

――じゃあ、5月末までは中止や延期という線を引いた分、9月以降はまた新たにはじまっているということですね。

「そうだね。リスタートしています」

――わかりました。じゃあスーパーソニックの話をしましょう。今年はサマーソニックが(開催予定だったオリンピックの影響で)お休みというのは、前々からアナウンスされていて、でも、それに対してスーパーソニックをやるというのはサプライズだったんですけど、どのようにして決まったんですか?

https://www.youtube.com/watch?v=QrD7zPeaEb8

「これ、実は前から決まっていたわけじゃなくって、去年サマソニが20周年でいろんなインタビューを受ける中で、『サマソニは来年休みます』って明確に答えていたし、本当に何もやる気はなかったんです。で、20周年が大成功して、区切りになったと思っていて。その打ち上げを9月にやった時に、(サマーソニックの会場のZOZO)マリンスタジアムさんが(来年の)9月ぐらいにスケジュール出せますよって言ってくれて、ええ!?って。でも、さすがに幕張メッセはとれないだろうなって、一応話をしたら案の定無理だと。

はて、どうしたものかといろいろ考えた時に、今年クリエイティブマンって30周年なんですよ。1990年にはじまって。サマソニ20周年をやって、クリエイティブマン30周年で何もやらないって(笑)、さびしいなって。だったら何か違うものを……キャパとしてもサマソニより大きくないし、今からでもやれるんじゃないかって予測もできたので、30周年に向けて一回限りの新しいフェスを考えようと思って、10月ぐらいから計画をスタートしたんです。マリンスタジアムだけを使うイメージはあるじゃない? スタジアムを使って、ビーチも使って、外周も使って、3ステージって、サマソニでもやっているし、EDC JAPANがそうだったんだよね。

あのコンパクトに野外でやる開放感も、自分たちで気に入っていたんだ。あとこれってサマソニの大き過ぎるうえでのマイナス部分――屋外と屋内を行き来するタイムロスもなくなるフェスを作れるよなって。それで、これは作るうえでやりがいがあるって思いはじめて。ステージやラインナップのイメージを、自分の中で考えながら交渉を進めていきました」

――結果、非常にいいラインナップですよね。ポスト・マローン、スクリレックス、The 1975、リアム・ギャラガーファットボーイ・スリム

「ヘッドライナーは2020年感が出るラインナップだよね」

コロナ禍の先にある洋楽来日公演の行方は? 一度きりのフェス「スーパーソニック」やこれからの洋楽シーンについて、クリエイティブマンプロダクション代表の清水直樹氏に訊いた!

――しかもウータン・クランも出る。これ、どういう感じで決まっていったんですか?

「サマソニ20周年が成功したイメージが自分の中に残っていて、そのひとつは日にちで明確にジャンルを分けていったことによるものがあるんじゃないかなって。じゃあスーパーソニックもそういうものにしようと、まずはロックとエレクトロの日に分けて進めたんです。実は、最初はミューズが出るって言っていたんだよね。だからミューズありきでスタートして、じゃあもう一日はエレクトロだなって話している中でスクリレックスが出てきて、それぞれのヘッドライナーはミューズとスクリレックスで完璧だと」

――え、じゃあ最初は2日間の予定だった?

「そうそう。3デイズってやっぱり、サマソニでも20周年ぐらいの時にしかやれないものだから。無理をしたくなかったんで、2デイズでスタートしたんだよね。そういう中で、ポスト・マローンのエージェントから、ちょうどこの時期、毎年シンガポールでF1のイベントがあって、いつもマルーン5だったり大物を呼んでいるんだけど、今年彼らがそれに呼ばれているから、日本でもぜひライブをやりたいと。じゃあどうしようかなって。ポスト・マローンって、自身で主催するフェスティバルをやっているんだよね。じゃあ、その日本版をやろうかって話もしていたんだけど、でも、ポスト・マローンのフェスティバルとしてやるのは、まだ日本では早いかなと思ったところもあって」

――逆に閉じちゃうかもね。

「んー。だったらもう一日スーパーソニックにして、ヒップホップとポップスのアーティストを集めて作っちゃおうと。だから3デイズっていうのはポスト・マローンありきで決まったっていう」

――清水さん、そういうラッキー・パターン多いですよね(笑)。でも、ミューズはどうなったんですか?

「昨年末ぐらいの時点でダメになっちゃったんだよ。最初、東京と大阪でやって、さらに福岡、名古屋、仙台、札幌のZeppクラスのハコを全部ブッキングして全国ツアーをやりたいっていうから、そこまでアレンジして、決定でいいよね?ってなった時にドタキャンっていう。去年の(サマーソニック出演を決めてくれた)レッチリのマネージャーから来た話なんだけどさ。去年助けてくれたのに、今年はなんだよって(笑)。

それでThe 1975なんだけど、実は9月に単独のツアーをほぼ決めていたんですよ。ただ、スーパーソニックと日程がぶつかっちゃうってことで、アーティストも、チケット食い合っちゃうんじゃないの?って心配していたんだ。それで、ミューズがダメになった時、彼らの去年のライブを思い出して、あれはとてつもないレベルだったし、サマソニで育った彼らがいよいよヘッドライナーをやるストーリーって、アークティック(・モンキーズ)が(サマーソニックで)ヘッドライナーやった時みたいに、なんかドラマチックだなって。The 1975にスーパーソニックのヘッドライナーやらない?って言ったら、すぐにやるという返事をもらえて。そこはとんとん拍子で決まった」

――ワールドワイドなフェスの常識から見たら、The 1975はヘッドライナーだから、ドンピシャですよね。

「そうだね。The 1975、スクリレックス、ポスト・マローンは、新しいフェスの予感をさせるっていうところで、並んだ時にワクワクするね」

――リアムはどう決まったの?

「リアムも、タイトルをスーパーソニックって決めたら声をかけなきゃかなって(笑)、スーパーソニックっていうフェスやるんだけどどうってオファーして。彼も、最初は(同じ日が)ミューズで進んでたんだけど、The 1975に変わることを伝えたら、奴らだったら全然いいわって言ってくれた。最初の交渉はミューズとリアム(の日)って感じで進んでいて、(リアムも)なかなか決まるまでは時間がかかったけど、最終的にはイアン・ブラウンも含めて、マンチェスター寄りな日になりました」

コロナ禍の先にある洋楽来日公演の行方は? 一度きりのフェス「スーパーソニック」やこれからの洋楽シーンについて、クリエイティブマンプロダクション代表の清水直樹氏に訊いた!

――確かに。ファンを代表して言いますけど、このラインナップは最高!

「だよねえ。イギリスだったら、両方ヘッドライナーだよね」

――そうだよねえ。実現したい!

「実現しますよ」

――しましょう!

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