フー・ファイターズ、2日間で13万人を集めたミルトン・ケインズ・ライブ・レポートが到着

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ロンドンから約100キロ、歴史に残る数々の大コンサート(クィーン、デヴィッド・ボウイ、マイケル・ジャクソン、グリーン・デイ、エミネム他)を見守ってきた野外円形劇場の名門:ミルトン・ケインズ・ボウル。全米、全英はもちろん世界12カ国で1位を記録した最新作『ウェイスティング・ライト』を引っ提げての欧州ツアーの英公演として、この会場でのコンサートチケット2日分を昨年秋に発売するや否や即時にソールド・アウトさせたフー・ファイターズ。7月2日と3日の週末に行われた、この巨大なコンサート会場での2時間半にわたるロックンロール・マラソンのレポート&セットリストを一挙掲載します。


「グレイトなロック・ショウが欲しい奴はいるか?」――4曲目“マイ・ヒーロー”までほぼノン・ストップでぶっちぎった後にデイヴ・グロールが発した問いに、6万5千の大観衆が「YES!」の3文字を力いっぱい投げ返した。ロンドンから約100キロ、歴史に残る数々の大コンサート(クィーン、ボウイ、M・ジャクソン、グリーン・デイ、エミネム他)を見守ってきた野外円形劇場の名門:ミルトン・キーンズ・ボウル。最新作『ウェイスティング・ライト』向け欧州ツアーの英公演として、この会場を堂々2日間ソールド・アウトさせたフー・ファイターズは、2時間半にわたるロックンロール・マラソンで人々を存分に沸かせ、踊らせ、笑わせ、歌わせ、驚かせ、泣かせてみせた。

イベントの規模/チケット数で比較すれば、3年前のウェンブリー・スタジアム2公演(計17万人動員)に軍配が上がる。しかし、すり鉢型の形状でオール・スタンディングのこの会場は、近代的なスポーツ施設に較べ、臨場感とステージとの一体感が高い。その一種オールド・スクールな醍醐味は、デジタル技術に頼らずガレージで録音された『ウェイスティング~』の原点回帰志向、そして彼らのクラシック・ロックへの愛情とも相性が抜群だ。スペシャル・ゲストとしてロジャー・テイラー(クィーン)、そして御大アリス・クーパーと、若き日のデイヴのヒーロー達が登板。マンモス・ライブにしては珍しいほど映像やライト・ショウ、ド派手で目を奪う演出といった「仕掛け」が控えめだったのも、優れたバンドの熱演とオーディエンスこそ主役、という真理を改めて提示するものだろう。

初っ端からハイ・オクタンな演奏が爆発し、花道でヘッド・バングしながら青いギターをかきむしる「お祭り男」ことデイヴを、大観衆が総立ちと合唱で迎える。ほぼ全曲で花道を往復、ピットに降り、ステージの端まで出てアピール。驚異的なスタミナを振りまくデイヴと、惜しげなくヒット曲・人気曲を連打するバンドの馬力に、フィールドの熱は上昇しっぱなしだ。しかし、サポート奏者を含む6人が叩き出す音は、疾走する蒸気機関車ばりにパワフルで重い。鍛え抜かれた鋼のキレと王道な厚みを最後まで維持しつつ、グランジな陰りから豪快なパワー・ポップまで、完璧かつ安定した走りをみせていく。

中盤のハイライト“スタックト・アクターズ”では、花道の先=ミキシング設備の裏手に設置された第2ステージにデイヴが現れ、会場後方を煽りつつ、熾烈なハード・ロックを展開。“ベスト・オブ・ユー”のエピックかつエモーショナルなコーラスで盛り上がりは頂点に達し、演奏が終わっても合唱をやめない観客を称え、感謝する意味で、ビールを一気飲みしてみせるデイヴに爆笑と喝采が注がれた。

FF節真骨頂とも言える“オール・マイ・ライフ”のタテノリな沸騰で本編を終え、アンコールは再び第2ステージで、デイヴの弾き語りがしみる“ホィールズ”からスタート。“ヤング・マン・ブルース”のカヴァーはザ・フーの決定打バージョンに迫る勢いだったし、アリス・クーパーとの“スクールズ・アウト”共演でパーティー気分にラスト・スパートをかけ、オーラス(待ってました!)“エヴァーロング”で巻き起こったシンガロングの渦は、時にデイヴの声が聞こえなくなるくらいデカかった。

アンコールでデイヴが洩らした「自分はロック・スター、なんて感じがしない。俺も君達のひとりだ、そんな気分だよ」という感動的な言葉は、リップ・サービスではない、素直な本音に聞こえた。それは、彼が大きな悲劇と挫折から立ち上がり、自らを再生し、アルバム+ツアーの実直な積み重ねでここまで来た、生存者であり苦労人だからだと思う。

彼のガッツを支えてきたDIY精神とリアリズム、そして「汗水たらしてなんぼ」なプロ根性は、会場に集まったごく普通の、善き老若男女の日常感覚とも共鳴する。その同志愛に近い結びつきがあるからこそ、世界最大のロック・バンドのひとつでありながら、フー・ファイターズはいまだに「遠さ」を感じさせないのだろう。何より、悪い奴らやズルい奴ばかりが得をする世の中で、デイヴみたいに真っ直ぐでいい奴がちゃんと輝くのを見るのは、それだけでも最高にポジティヴじゃないだろうか?フィナーレに打ち上げられた数十発の美しい花火と共に、彼らは人々の心に励ましの火も灯して去っていった。


July2/2011 The National Bowl in Milton Keynes
1.Bridge Burning
2.Rope
3.The Pretender
4.My Hero
5.Learn to Fly
6.White Limo
7.Arlandria
8.Breakout
9.Cold Day in the Sun (Roger Taylor)
10.Long Road to Ruin
11.Stacked Actors
12.Walk
13.Dear Rosemary(Bob Mould)
14.Monkey Wrench
15.Let It Die
16.Generator
17.Best of You
18.Skin and Bones
19.All My Life
Encore:
20.Wheels
21.Times Like These
22.Young Man Blues
23.School's Out(Alice Cooper)
24.I'm Eighteen Play(Alice Cooper)
25.Everlong
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