チープ・トリックは2011年7月に出演中にステージが崩落したカナダのオタワ・ブルースフェストに対して100万ドル(約1億円)の損害賠償を請求する訴えを起こしたと『ビルボード』誌が伝えている。
バンドが出演したのは7月17日で、この日強風に吹き飛ばされてステージ屋根が崩落するという事故に見舞われることになった。バンドは7月8日の時点で会場の風除け幕が強風によって破損させられた事実があったにもかかわらず、バンドに対して強風の危険について知らされることがなかったとフェスティヴァル側と、ステージを製作したグループ・バーガーとプロジェクトX・プロダクションを訴えている。また、7月8日に風除け幕が破損された後に取りつけられた幕は元のものとは取りつけ方が違っていたため、17日の強風の際に幕を取り外して風圧を緩めようとスタッフが処置にあたった際にも手間取ってしまい、ステージ崩落に繋がったと指摘している。この事故ではスタッフ3名が怪我を負うことになった。
また、チープ・トリック・ツーリングは声明も発表していて、この中でフェスティヴァル側はオタワ州建築物規制法で取り決められたガイドラインの順守を怠り、資金面の流用についてもパフォーマンスを行うアーティストの安全を確保することよりもイヴェントの開催ばかりが優先されたと主張している。
訴えでチープ・トリック側は賠償金の40万ドル(約4000万円)はバンドの機材をツアーができる状態に戻すためにかかった経費としていて、アンプ類、ギター類、ドラム・セットなどにかかった高額な修理代が含まれているという。残りの60万ドル(約6000万円)については「特別経費」とされていて、事故後の2年の間にかかった機材の代用費や移動費、人件費が含まれているという。
なお、事故はステージの屋根部分が客席とは反対側に崩落したことで大惨事を免れたが、その際ステージの背後に停められてあったチープ・トリックの機材トラックが崩落したステージの下敷きになった。ただ、このトラックがしばらく支えとして機能したため、その後30秒ほどの間にスタッフが無事に避難する余裕も生まれたと『シカゴ・トリビューン』紙では伝えていた。
また、チープ・トリックのトラック運転手のサンディ・サンダーソンもステージの構造のため機材設置の際に怪我を負うことになったと10万ドル(約1000万円)の訴えを起こしている。
フェスティヴァル側は公式にはまだコメントしていないが、事故に関するオンタリオ州労働局の報告書を参考にしてほしいと表明している。報告書では、ステージを製作したグループ・バーガーの対応のまずさを事故の原因として指摘していたが、それ以上の責任追及や告発の必要はないとしていた。
チープ・トリックはサマーソニック2013出演のため、来月の8月に来日することが決定している。
2011年のオタワ・ブルースフェストのステージ崩落の様子はこちらから→
http://www.youtube.com/watch?v=BSQsSV0QL3c