3月1日から公開する映画『52ヘルツのクジラたち』。2021年本屋大賞を受賞した町田そのこさんのベストセラー小説を映画化した本作で、過酷な家庭で孤立する主人公・貴瑚(杉咲花)の声なきSOS聞き、救い出そうとするトランスジェンダー男性・岡田安吾を演じる志尊さん。「すべてを出し切った瞬間、やっぱり役者は本望だなと思った」と語ってくれるほど、志尊さんにとって大きな出会いとなった岡田安吾という役、そして本作への思いに迫りました。
以下、インタビューの一部を抜粋してご紹介いたします。
僕、今回はリハーサル前にものすごく考えたんですよ。誰に何を聞かれても、この時はこういう気持ちでいると答えられるように準備をしていて。でも実際に現場に立ったら、それらはすべて忘れて、とにかくキナコ(貴瑚)の呪縛を解きたい、キナコに対して「そばにいるよ」という気持ちしかなかったんです。こういうふうに演じようとか、ひとつも思わなかった。
ほかにも、繊細に作りあげた役へのプロセス、その過程の葛藤などもじっくりとお話を伺っています。公開前に、そして映画を観た後にも振り返りながら読んでいただきたいインタビューとなりましたのでぜひご確認を。ここ数年、自分にできることはなんだろうと考えるんです。役者の仕事としては、観てくださる方を楽しませたいという気持ちがある。大切な人たちの叫びに気づけていないかもしれないけれど、愛は注ぎ続けようと思いました。声をかけるとか、そんな些細なことでも救われることはあります。この作品が、大切な誰かの声に耳を傾けようとする、ちょっとしたきっかけになれたら、やった甲斐があるなと思います
また、撮り下ろしポートレートもご紹介。
↑超近距離カットも掲載しています。風を吹かせながら撮影したのですが、前髪がふわりと靡いているのが素敵ですよね。(阿部文香)
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