『SOMEWHERE』の音楽について

『SOMEWHERE』の音楽について

ソフィア・コッポラの新作『SOMEWHERE』を観た。
素晴らしい映画だった。
それについては公開時に本誌で色々と述べるとして、ここでは音楽についてチョット。

ハイスクールにELOや東京の夜景にスクエアプッシャーと、サントラのセンスが抜群のソフィアだが、この映画でも彼女のセンスがまぶしく光っている。
ハリウッド・スターの“空虚”が描かれた映画なのだが、そんな主人公の人生が喜びと愛に満ち溢れた瞬間に流れるのが、ストロークスの“I'll Try Anything Once”。詳しくは書かないが、まさにこの映画のエモーショナルなクライマックスだろう。
前作『マリー・アントワネット』でもストロークスの楽曲を絶妙に使っていたソフィアだが、今回もバンドに対する彼女の愛情がスクリーンを通して伝わってきて、同じストロークス好きとしてぐっとくるものがあるし、彼女の映像作家としての力量を感じさせられる。
静かではあるが、実に素晴らしく構築された場面だった。

逆に、酷い使われ方をしているのがフー・ファイターズの“My Hero”。
主人公の“空虚”を象徴するかのように使われているのだが、もうそれはゲラゲラ笑えちゃうほど悪意に満ちている。本当に酷い。
デイヴ・“いい人”・グロールはあれを観て、果たしてどう思うのだろうか。ちょっと気の毒。(内田亮)

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