CUT新編集長としての所信表明


今日はカンバラクニエ単行本『すりばち眼鏡』の発売日。
大ヒット&品切れ続出だった浅野いにお『おざなり君』の重版もそろそろ店着。
そして明日は、いよいよCUTの発売日です。
巻末の編集長通信に書いたことを1日早いですがここにもアップします。
是非、今日と明日、書店へ。

-----

 3年ぶりにCUTに編集長として戻ってきて最初の話題としてふさわしいのかわからないのだが、この1ヶ月は悲しい訃報が相次いだ。Dragon Ashのベーシスト・馬場育三氏、漫画家の土田世紀氏、ビースティ・ボーイズのアダム・ヤウク氏、『かいじゅうたちのいるところ』の作者として知られる絵本作家のモーリス・センダック氏。それぞれ亡くなられた報せを受けて改めて思いを馳せる自分に強い影響を与えた作品が数多くあった。しかし、それぞれのアーティストが自分に残してくれたものに、これまで常に意識的でいられたわけではなくて、このようなことになって改めて自分の中に湧いてくる言葉があることに悔しさも感じた。また、それと同時にCUTのような雑誌を作れていることの幸福にも改めて気付かされた。
 私たちは、自分の全存在をかけて表現活動を行っている実に数多くのアーティストと同じ時代を生きることができている。その数も、それらの表現が自分に影響を与えている度合いも、私たちが普段意識しているよりも実際は遥かに大きい。CUTという雑誌を編集することで私たち編集者は、まず自分自身がそれらに最大限気付くことができる。そして私たちは、この雑誌を読んでもらうことで読者のみなさんに、それらに最大限気付いてもらえると信じている。
「PHOTO MOVIE ISSUE」の撮影現場で私たち編集者が感じたチャン・グンソクや綾野剛のエネルギーは凄かった。俳優としてのプロ意識というだけでなく、「写真で映画を作る」というこちらの無謀なアイデアに最大限のクリエイティビティで応えてくれたのである。「アニメ最前線2012」特集からは、現在のアニメ界のクリエイターたちが放つ新たな躍動を感じてもらえると思う。「コミックヒーローたちの襲来を迎え撃て!」特集からは、この夏、ハリウッドから押し寄せる3本の大作に脈々と受け継がれてきた物語の巨大さを感じてもらえるはずだ。この号から、最も「生きている」パワーに溢れた雑誌としてのCUTを作り続けていこうと思う。

(古河)
CUT 編集部日記の最新記事