映画『るろうに剣心』について

『るろうに剣心』の主人公の緋村剣心は、誰よりも人を斬る力を持っていながら、「不殺(ころさず)」の誓いを立てている、つまり自己矛盾と戦っているキャラクターである。
そういう意味では、クリストファー・ノーランのバットマンなどとも共通するところがある。

大友啓史監督は、ハリウッド級のスピード感と破壊力をもって日本人の「心」の深い部分を表現することができる、これまで日本にいなかった新しいタイプの演出家。
そんな大友監督と、実際に剣心に影響されて育った佐藤健だからこそ、この矛盾したキャラクターに映画としての肉体的な説得力を持たせ、その存在そのものをメッセージにすることができたのだろう。

大友監督は、間違いなくこれからいろいろな形で映画に革命を起こしていく演出家である。(古河)
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