Battles

Battles

正確無比で圧倒的な演奏がそこに約束されているからこそもたらされる、そこから逸脱するものが降りたときに沸き上がる、その得体の知れないものへのあらがいようのない畏怖。まだみたことのない世界に連れていってくれるのは、そのような、まさに神がかり的所業だけなのだけど、Battlesとはつまり、それである。

いつ終わるとも知れぬ反復の音楽は、いつしか幾層にも異なるパルスを放ちだし、そして、まったく違う世界からの恐ろしい音を聞く。その瞬間の、恐怖と解放の喜びは、まさに現実を相対化する闘い、なのだ。

ただ、そういう意味では、やはり現代の逸脱者、タイヨンダイの不在は、この闘いの射程を近くした感はある。あるにしても、やはり破格。いまなお高く掲げられたシンバルがそれを示していた。(宮嵜広司)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする