八番筋カウンシル
2009.05.29 15:27
「津村記久子とロック」ネタ、もう一発。
津村記久子 「八番筋カウンシル」
朝日新聞出版 2009年2月28日刊行 ¥1,400+税
これは、芥川賞受賞後第一作となる長編作品。
大阪の街を舞台にした、一応小説家デビューははたしたものの、限りなく無職に近い、30歳くらいの男が主人公なのですが、そして作品全体を流れる「ものすごく言いたいことがあるけど決して声高には言わない、物語から自然にそれを伝える」感じが、本当にいいなあと思うし、何度も読み返したくなるのですが。
その主人公の名前がですね。「タケヤス」なのです。
と書いても、読んでいる方の10人中9人ぐらいはわからないと思いますが、フラワーカンパニーズのギタリストの名前、竹安堅一といいます。
最初に読んだ時、ちょっと驚いたが、さすがにこれは偶然だろうと思った。
これまでの作品からうかがえる彼女の音楽趣味に、フラカンって、はまりそうにないし。
それに、グレートマエカワや鈴木圭介ならまだわかるが、竹安の名前、使うか?
と思ったが、偶然にしては珍しい名前だし、気になったので、一応、津村さん本人にきいてみた。
偶然ではないそうです。
主人公の名前を決める時、ギタリスト竹安堅一のことが、念頭にあったそうです。
嘘ぉ。
驚きのあまり、それ以上詳しいことはききそびれてしまったが、とりあえず、「とにかく本人に伝えないと」と思った。
喜ぶと思います。プロのミュージシャンという職業であるにもかかわらず、ロック・シーンにおいて1,2を争うほど「晴れがましいことに縁のない男」なので。
少なくとも、フラカンファンは全員読みましょう。
タケヤスのことをどけても、内容は保証します。