さらに前回の続きです。
この『アンヴィル!』、『〜夢を諦めきれない男たち〜』という副題が付いているように、
30年間バンドという夢を諦めていない人たちが主人公なわけですが、ただし。
確かに「夢を諦めていない」とも言えるが、その言い方だけだときれいすぎる、とも思う。
僕も、これまで、売れなくても、食えなくても、ずっと音楽をやり続けている人を、
プロもアマも含めて何人も見てきた。
それは「夢を諦めていないから」とも言えるけど、同時に、
やめる勇気がない
やめどきを逃した
もうやり直しがきかない
あるいは、やり直しきくけど、それは大変そうでめんどくさい
生活を変えるのが怖い
惰性
というようなことでもあったりする。
下手をすると、「あきらめていない」けど、
「でも大して必死にやってるわけでもない」なんて場合まである。
つまりですね。
「でもバンドを(あるいは音楽を)続けている」というのが、
免罪符になっているところも、あるわけです。
たとえ売れなくても、「まかり間違えばなんとかなるんじゃないか」みたいな、
根拠のない、可能性もないに等しい、ほとんど自己催眠みたいな、うすっぺらい希望。
希望というか、言い訳だな。自分に対する。
要は、バンドをやっているということが、心の安心材料であり、
心の居場所であるわけです(身体もか)。
だからやめられない。
やめてしまうと、この先に何の希望もない、本当にろくでもない人生になってしまうので。
「今はろくでもないけどこの先何かあるかもしれない人生」じゃなくなってしまうので。
でも、そういう理由で続けることによって、もっとろくでもない
人生になっていったりするんだけど、頑なでバカだから、
「それでもいい、俺はやりたいことをやっているんだから」
とか言ったりするんだ、また。
で、自分がひどいことになるだけならまだいいけど、挙句、周囲にまで迷惑かけたりするのね。
そういうところまで、ちゃんとリアルに描くことに成功しているから、
「夢を諦めない中年バンドマンたちの素敵なお話」なんてきれいごとじゃないから、
この映画は本当にすばらしいし、本当に感動的なのです。
と、音楽誌編集&ライター生活18年の中で、最も深く濃く付き合ってきたのが、
「20年やって売れていない、一発屋ですらない、でも続けているバンド」
であり、こないだの土曜に、そいつらの20周年ライブに行ってきた私は、
思うのでした。
昨日の試写、上映直前に、TOKIOの長瀬智也の推薦コメント映像が流れた。
とても感動しておられた長瀬くんだったが、彼の100倍リアルに、
この映画を理解することができると 思うので、その20年売れてない
日本のバンドの4名は、必ず観に行くように、この映画。
今週土曜、10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開。