アンヴィル! その4

アンヴィル! その4

さらに前回の続きです。

この『アンヴィル!』、『〜夢を諦めきれない男たち〜』という副題が付いているように、
30年間バンドという夢を諦めていない人たちが主人公なわけですが、ただし。
確かに「夢を諦めていない」とも言えるが、その言い方だけだときれいすぎる、とも思う。

僕も、これまで、売れなくても、食えなくても、ずっと音楽をやり続けている人を、
プロもアマも含めて何人も見てきた。
それは「夢を諦めていないから」とも言えるけど、同時に、

やめる勇気がない
やめどきを逃した
もうやり直しがきかない
あるいは、やり直しきくけど、それは大変そうでめんどくさい
生活を変えるのが怖い
惰性

というようなことでもあったりする。
下手をすると、「あきらめていない」けど、
「でも大して必死にやってるわけでもない」なんて場合まである。

つまりですね。
「でもバンドを(あるいは音楽を)続けている」というのが、
免罪符になっているところも、あるわけです。
たとえ売れなくても、「まかり間違えばなんとかなるんじゃないか」みたいな、
根拠のない、可能性もないに等しい、ほとんど自己催眠みたいな、うすっぺらい希望。
希望というか、言い訳だな。自分に対する。
要は、バンドをやっているということが、心の安心材料であり、
心の居場所であるわけです(身体もか)。

だからやめられない。
やめてしまうと、この先に何の希望もない、本当にろくでもない人生になってしまうので。
「今はろくでもないけどこの先何かあるかもしれない人生」じゃなくなってしまうので。
でも、そういう理由で続けることによって、もっとろくでもない
人生になっていったりするんだけど、頑なでバカだから、
「それでもいい、俺はやりたいことをやっているんだから」
とか言ったりするんだ、また。
で、自分がひどいことになるだけならまだいいけど、挙句、周囲にまで迷惑かけたりするのね。

そういうところまで、ちゃんとリアルに描くことに成功しているから、
「夢を諦めない中年バンドマンたちの素敵なお話」なんてきれいごとじゃないから、
この映画は本当にすばらしいし、本当に感動的なのです。

と、音楽誌編集&ライター生活18年の中で、最も深く濃く付き合ってきたのが、

「20年やって売れていない、一発屋ですらない、でも続けているバンド」

であり、こないだの土曜に、そいつらの20周年ライブに行ってきた私は、
思うのでした。

昨日の試写、上映直前に、TOKIOの長瀬智也の推薦コメント映像が流れた。
とても感動しておられた長瀬くんだったが、彼の100倍リアルに、
この映画を理解することができると 思うので、その20年売れてない
日本のバンドの4名は、必ず観に行くように、この映画。


今週土曜、10月24日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開。
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