聴いた人それぞれの中に、この2年弱にあったたくさんのことが生々しく色鮮やかに思い出されるようなアルバム。
この期間もRADWIMPSが、何が「正解」で何が「不正解」か全くわからない状況に対して一歩も引くことなく、泣いたり笑ったり苦しんだり恋したり、全力で「生きる」ことを止めずに殴り書きでもいいからという気迫で音楽を作り続けたからこのような作品になったのだろう。
膨大な試行錯誤の痕跡を残しながらも、その果てで痛快なくらい吹っ切れて、不思議なくらいシンプルな答えを手にするまでのドキュメントになっている。
世界は永遠じゃないどころか今にも壊れそうだし、僕らの命も永遠じゃないし、季節はそろそろ冬で、世界を覆う霧もまだ晴れないけれど、このアルバムには永遠に続くような「夏」が鳴っていて僕たちに希望と生命力をくれる。（古河晋）