花村想太(Da-iCE)の歌声はいともたやすく「想像」を超える――映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』主題歌”ピュア・イマジネーション”MVを観て

ミュージシャンをアスリートにたとえることはよくあるが、飽くなき音楽的探究心と日々の鍛錬によっていつだってハイスコアを叩き出す花村想太もまた、そのひとりだ。
だが、その探求によって彼が行っているのはあくまで緻密で繊細なクリエティブであり、その鍛錬に伴うのは圧倒的なイマジネーションである。

4オクターブを自在に操る、脳天を貫くように突き抜けるハイトーンボイス。
寸分の狂いもなく届けられる声、メロディ、呼吸、鼓動……そのすべてが折り重なったときに生まれる「花村想太」という音楽。
その音楽を、彼はさまざまな場面で演じわけてきた。

――若きウィリー・ウォンカはいかにしてあのチョコレート工場をつくったのか。
という触れ込みでまもなく公開を迎える映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でも新たな一面を見せてくれている。
監督・脚本をポール・キングが、主人公のウィリー・ウォンカ役をティモシー・シャラメが務めるというだけでも申し分ないのだが、今作におけるもう一つの見どころが「完全吹替版」である。
今作ではさまざま分野のスペシャリストたちがキャストに名を連ね、日本語吹き替えに加えて劇中に登場する全13曲の楽曲を歌唱するという。

そんな今作でウォンカ役の吹き替えに抜擢されたのが、声優には初挑戦となる花村想太である。
所属するグループDa-iCEは近年、“CITRUS”や“スターマイン”と立て続けにヒットソングを放ち目覚ましい活躍を見せ、2024年1月にはメジャーデビュー10周年を記念した日本武道館公演を控える。
グループのボーカル兼パフォーマーとしてDa-iCEを牽引しながら、花村は今年、ソロ活動のギアも1段階も2段階も上げているように思う。

花村がボーカルを務めるバンド「Natural Lag」は11月8日に初のフルアルバムをリリースして全国ツアーも開催。
YouTuber・ヒカルとのユニット「UPSTART」ではアニメ『範馬刃牙』2期エンディングテーマを担当。
さらには、今年の春先に公開となったブロードウェイ・ミュージカル『RENT』では2020年に続き、見事に主演を務めあげた。
そしてこのウォンカ役である。


吹き替えの模様は現在公開されている本予告で垣間見ることができるが、公開に先んじて、映画本編の映像で構成された花村が歌う主題歌“ピュア・イマジネーション”のMVが公開された。
この楽曲はコメディ俳優ジーン・ワイルダー主演の『夢のチョコレート工場』(1971年)で、工場長のウォンカが招待した子供たちにチョコレート工場を披露する場面で披露された楽曲だ。


花村がウォンカというキャラクターに命を吹き込んで歌い上げた“ピュア・イマジネーション”。
公開されているのは1分半ばかりだが、《一緒に 叶えよう》《夢見ることから始まる》という歌いだしからして、胸の奥、心臓のすぐ近くあたりを名前のつかない慈愛にも似た感情たちが静かに沸き立つのを感じる。
続く《はじめよう》の《め》に大きく息をのんで、《旅を 僕が作った世界へ》という短いワンフレーズだけでもどれほどの「想い」が言葉に、音に乗っかっているのか計り知れなくなった。
そしてグッと高まる《ここはもう最高》で我々の想像力は限界を超えて、夢が、希望が、笑顔が、未来が、優しさが、すべての幸福が解き放たれて今眼の前にある。確かにそう思えたのだ。

花村想太が唯一無二なのは、その歌声で我々のイマジネーションを極限まで掻き立て、どんな景色も見せてくれるからである。
映画本編の公開が待ち遠しい。(橋本創)

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