優しくて、ちょっと不思議な愛の歌を歌う、名誉伝説。臆病な恋心を見事に代弁した新曲“ポルトロン”を聴いて


《プロポーズ文句を反省/・「死ぬまで居たいよ」/これじゃ超シンプル少し捻って》というインパクト絶大なフレーズで始まるのは、今年結成されたばかりの5ピースバンド、名誉伝説の“プロポーズ文句”という曲。
冒頭の歌詞の通り、プロポーズの決め台詞をたくさん並べては、あれも違うこれも違うとどれもしっくりこなくて、大切な人に伝える言葉に悩んでしまう様子をコミカルに描き、独特な世界観で愛を伝えるほっこりした気持ちになる歌だ。


名誉伝説には、こんなふうに優しい気持ちになれる歌が多く、1stシングル“ラヴィング”から既にこの持ち味は発揮されている。柔らかな音色と、ボーカル・こたにの包容力ある歌声で彩られた愛の歌は、複雑でアップテンポな曲が増えている今の時代だからこそ新鮮さをおぼえる。


そして、今月配信された新曲“ポルトロン”。フランス語で「臆病」を意味するこの曲は、《あなたの惑星》《銀河鉄道》といったワードとシンセのアレンジで、ファンタジックな雰囲気を纏いつつ、《必ず受け止めてもらえる場面以外/想いは伝えられない厚化粧でもギリだ》《せっかくの大きい好意をね/私は小分けにしてしまう》と、伝えられない恋心を代弁する秀逸なフレーズが光っている。

個性的でいて、同時に普遍性も兼ね備える名誉伝説が、これからどんな愛の歌を紡いでいくのか、今後も目が離せない。(有本早季)
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